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【cinema】『ミラーズ』(試写会)

2008-12-24 01:08:01 | cinema
'08.12.17 『ミラーズ』(試写会)@九段会館

これshowbiz countdownか何かで見て気になっていた。シネトレのサイトでお世話になっている、たーくん.さんのおかげで試写会で見ることができた。たーくん.さんありがとうございました!

「同僚を誤って射殺してしまい、休職中の警官ベン・カーソン。事件が原因で彼の生活は荒れ、医者の妻と2人の幼い子供達とも別居状態。妹のアパートに居候しながら見つけたバイトは、5年前に警備員の放火により全焼し、廃墟となったデパートの見回り。そこで彼はある鏡を見つけて…」という話でホラー映画。これはおもしろかった。

主人公は同僚を射殺してしまい心に傷を負い、強い薬を服用しているらしい。この設定は見ている側に今見ている超常現象は、本当に起きていることなのか、彼の妄想なのかと思わせる為かとも思うけれど、意外にそういう感じでもない気がする。もちろんそういう狙いはあると思うけど、むしろそのことが原因で周囲の人に理解されないばかりか、自分自身も信じられなくなったりする事の伏線なのかもしれない。個人的には超常現象を全く否定はしないけれど、全面的に信じてもいない。その方が怖くないし(笑) でも、映画として見る場合、それをどれだけ違和感なく受け入れられるかってことが重要な気がする。その点は素直に受け入れられた。

作りとしてはシンプルで特別いろんな伏線が張り巡らされているわけではないし、話としても割りと単純。でも、ベンの前任者が何かに追われてるように地下鉄構内に逃げ込んでくる冒頭からテンポが良く引き込まれた。彼は鏡に囲まれ、鏡によって命を落とすことになる。そのシーンも死に方はグロイけど、適度に怖くて、適度におもしろい。ここでの展開に違和感がなかったので、その後のストーリーにもすんなり入り込めた気がする。タイトルどおり鏡が重要アイテム。鏡の中に別の世界が広がっていたり、霊的なモノが宿ったりするのは、映画などで数多く描かれている題材である事も受入れやすかったのかもしれない。

廃墟となったデパート内部のデザインがいい。豪華な装飾のデパートだったことが想像できる。焼けただれたマネキンが不気味で、その中で一切の汚れもなく美しく輝く鏡が妖しい。主人公のベンが思わず引き寄せられてしまうのも分かる。女性の悲鳴に導かれるように辿り着いたフィッティング・ルームの鏡の中だけに存在する苦しむ女性など、この辺りはドキドキしておもしろい。そして鏡は次第に主人公の周りに触手を伸ばし始める。妹がバスルームで鏡によって殺されるシーンがすごい。ここは怖くてホントにおもしろかった。あんな風に死ねるのかどうかは別として、とんでもない姿になってしまう。すごくグロイけど、すご過ぎて逆におかしい。って変な言い方だけど。この殺人は鏡がある目的を果たすために行ったもの。それはベンに"エシィカー"を探させること。

エシィカーとは何なのか? そして鏡の本当の目的は? という謎解きへベンが向かう間、鏡の攻撃は彼の愛する家族へ向けられる。鏡に魅せられていく幼い息子マイケルの姿は『シャイニング』のREDRUMと呟く少年を思わせるけど、あちらの方が不気味。ベンの美人の奥さんエイミーが、常に必要以上に胸の開いた服を着ているのが気になっていたけれど、最終的には白いキャミソールがびしょ濡れになって、ブラがすけすけになるという大サービスで盛り上げてくれる(笑) 鏡がエシィカーにこだわっている理由は、無宗教の人間からするとかなり荒唐無稽だけど、それはそれで受入れられた。そこまでのテンポのよさと、その映像の迫力のおかげもあるし、そうでもしなければオチもつかないでしょうということもある。

エシィカーを探し出し、鏡と対決するシーンの舞台となる鏡張りの部屋のデザインがいい。エシィカーの悲しい運命と、決断を思い感慨にふけっていると、対決後とんでもないことになって主人公を襲う。ここのスピード感はスゴイけど、正直どんなことになっているのか、早すぎてほどんど見えなかった(涙) ラストのオチは別にハッピーエンドでもいいんじゃないかと思ったりするけれど、彼が家族を守りたい一心でしたことは、もちろん間違ってはいないけれど、実は世界を破壊しかねない事であって、それは突き詰めるとエゴであることを思えば、これは当然なのかもしれない。そしてある人物の思いが作用しているのかも。復讐ではなく・・・。

役者さん達は、主役のキーファー・サザーランドくらいしか特別印象に残らなかった。妹役のエイミー・スマートは『バタフライ・エフェクト』のケイリーだったそうだけど全く気づかず・・・。妻エイミー役のポーラ・パットンは絶叫する美女役としてはハスキーだけど、子供達を守る強い母としてはOK。そして胸の谷間に釘付け(笑) キーファーといえば『24』のジャック・バウアー。役どころも近いので、もうジャックにしか見えない。いつもはテレビの吹替え版で見ているので、脳内では小山力也さんの「くそーっ!」などと変換してしまっていたけど、ジャックよりはあきらかに弱い。そして『24』の時は気づかなかったけれど意外に小柄。でも、この荒唐無稽な話を飽きずに見ていたのは、彼のジャックっぽい演技(褒めてます!)と、映画のスピード感のおかげだと思う。

霊的なモノを扱いつつも一応コチラが納得できる説明がなされているのが良かった。例えば、何故火事から5年も経っているのに未だにそのままにされ、さらに見回りまでしているのかの理由も説明される。そいう、ホラー映画にありがちな強引さがないところがいい。オチにしても特別「やられた!」みたいな感じもしないし、ストーリーも別に目新しくはない。でも、おもしろかった。CGはあまり多用していないようで、エシィカーと対決する鏡の動きなど人工っぽくてよかった。オープニングの鏡を使ったトリックアートみたいなNYの街並みの映像がおもしろい。子供のころスケールこそ違うけど、似たような遊びをしたことってあるはず。この映像はいい。

特別、何かが残るわけでもないけど、荒唐無稽な存在を描いた作品でありながら、嘘っぽくなかったのがいいし、適度にお色気を入れたりして楽しめる。謎解きもあるし、適度にドキドキして怖すぎない。全てが適度な感じでおもしろかった。褒めてます(笑)


『ミラーズ』Official site

コメント (3)
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