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【cinema / DVD】『トロッコ』

2012-04-01 23:01:13 | cinema / DVD
録画しといた『トロッコ』見た。良かった… 台湾の方々の背負ってきたもの、そして思い… 幼い兄弟の兄が背負うもの… 林老人の挨拶で号泣(涙)美しい台湾の風景とともに、心にしみた。 #eiga Posted at 04:39 PM

公開時気になっていた。WOWOWで放送していたので録画。嵐の中見てみた(笑)

「父親を亡くした幼い兄弟。母親と共に父の故郷である台湾へやって来る。祖父や祖母の複雑な思い。母への思い・・・」という感じ。これはよかった。じっくりと見られる作品。

見たかった理由は、台湾の方々が日本へ向けて下さる思いが、どこからきているものなのか知りたかったから。台北には2回行っていて、台湾の方々が親日家である理由は漠然とは知っていた。第2次世界大戦中、日本は台湾を統治下に置いた。それは中国や韓国も同じ。でも、なぜ台湾の方は親日家なのかと言えば、その頃、日本が拓いた温泉地が今も台湾の観光名所になっているなど、日本のおかげで発展したと考えてくれているとのことだった。個人的にこの考え方がすごく素敵だなと思った。もちろんそれは、まだ国(正式に認められてはいないけれど・・・)が発展していなかったこと、中国への複雑な思いなどもあったかと思うし、中国や韓国の方々の考え方が間違っていると非難するつもりもない。ただ、そういう考え方ができたら、人を憎んだり嫌ったりすることが少なくて済むかなと、自分に置き換えて思っただけ・・・ 前置きが長いけれど、その辺りのことを知りたくて、この映画を見たいと思っていた。結論から言ってしまえば、この1本の映画を見ただけで、全てが分かってしまうほど簡単ではないと思うので、どの程度理解できたかは不明だけど、少なくとも田舎で育ち日本軍に従軍した方々の、複雑な思いはほんの少し理解できたように思う。

幼い兄弟が母に連れられて、父の故郷である台湾の山村を訪れるところから始まる。小学校低学年らしい2人。冒頭、自宅の布団の中でのシーン。弟はまだ無邪気で夜もぐっすり眠れるようだけれど、3~4年生と思われる兄は感じるところがあるらしく、なかなか眠れない様子。布団の中でゲームをし、様子を見に来る母の気配で慌てて隠す姿は、一見子供らしい無邪気さや反抗心にも見えるけれど、少し不安げな表情は、彼なりに抱えている思いが感じられたりする。こんな感じで、多くは説明しないけれど、何気ないシーンでそれぞれの思いを見せるのが上手い。物語はこの幼い兄弟の兄が”兄”になっていく過程を中心として、台湾人である祖父の孫や日本に対する思いを描くことで、前述した問題を見せていくという形。そして、兄弟が知り合った林業に従事する若者の姿を通して、台湾の山村の現状も伝えるという感じかな・・・ どこに共感するか、何かに思いを込めて見るかは人それぞれだと思うけれど、年齢的に近い甥っ子がいる身としては、兄に思いを込めて見ていた。

甥っ子達の関係が今まさにこんな感じで、自我が芽生え、個性が出てきて思い通りにならなくなった弟と、ケンカするたびに自分がより怒られてしまう甥っ子1号。「どうせみんなKくん(2号)の味方なんでしょ!」が口癖になってしまっている。この気持ち長子としては本当に良く分る! 大人になってみれば、長子なのだからしっかりして欲しい気持ちも分るし、親だって不安なのだから頼りたい気持ちも分る。大きな駅での乗り換えのシーン。母親も初めての土地、しかも海外。それも外国人の義父母のもとへ行くのだから、不安でいっぱいだろうし、焦る気持ちもよく分る。やっとの思いで戻ってくれば、弟はどこかに行ってしまっている。「ちゃんと見ていてくれなきゃ困るじゃない!」と、言いたい気持ちもよく分る。でも、まだ幼く自身も母親に甘えたい年頃の兄には、悪いのはどこかに行ってしまった弟なのに、何故自分が叱られているのか腑に落ちない。ここら辺が辛いところ・・・ この辺りのことを、どうやって甥っ子1号に伝えてあげたらいいのか・・・ 現在、悩み中(笑)

山村で静かに暮らす祖父母。祖母は体が弱いらしく、おそらく入院していたのかな? 3人が訪ねた時点では不在で、後に義弟が迎えに行っていた。優しいけれど厳格な祖父と、控えめで包み込むように優しい祖母。今では失われつつある家族の形。祖父母と一緒に囲む食卓。いいなぁ・・・ 核家族化した家庭で育った身としては、急にこの生活は無理だろうとは思いつつも、開け放たれた窓から見える小さな食卓の風景は、実体験はないのになんだかとっても懐かしい気がして不思議。この祖父は第二次世界大戦中、日本人として日本軍に従軍した過去を持つ。台湾のお年寄りの多くが日本語を話すのは、日本が統治していた時代に日本語を公用語としていたからだけど、台湾の方々は日本という国に希望を見出し、日本について学びたいと考えてくださったそう。もちろん一概には言えないけれど、少なくともこの祖父はそう考えていた。まだ発展中の台湾の貧しい山村で育った祖父にとって、圧倒的な技術力を持つ日本に憧れと希望を持つ気持ちは分る。祖父は日本人になりたかったと言う・・・ でも、そんな思いは2度裏切られる。日本が戦争に負け、台湾から引き上げる際、彼らは見捨てられた。そして今また・・・ 祖父のもとに日本から封書が届く。旧日本軍の恩給申請について、日本国籍を有していないため却下するという通知。お金が欲しいんじゃない、日本人として従軍した思いを認めて欲しかった・・・ 第三者としては線引きが必要なのはよく分る。でも、やっぱり切ない・・・

少しずつ村の生活にとけ込んでいく兄弟。今後のことについて母親は悩む。台北に住む義弟夫婦には子供がいない。義妹は山村の暮らしが嫌でたまらないという雰囲気。義弟の方が母親には優しい。やっぱり兄の奥さんだからかな・・・ まぁ、女性の方が現実的だから、同情はするけど面倒は背負いたくないという事かも・・・ 悲しいけれど、その気持ちも理解できる。健気に嫁として振舞う母に祖母は、優しく無理をし過ぎていないかとたずねる。あなたの無理のしわ寄せが兄に行ってしまっているように思うと・・・ うん。分る・・・ おばあちゃんはちゃんと見ててくれてるんだね・・・ 祖母は2人を少し預かろうと申し出る。母の答えは映されない。この会話を立ち聞きしてしまった兄。翌日、祖母は体調を崩し入院してしまう。昨夜の会話から、自分達は捨てられてしまうと思い込んだ兄は、弟を連れて日本に帰ろうと考える。この辺りは、いくら幼いとはいえ小学生中学年(って言う?)と思われる兄が、飛行機にも乗らず日本に帰れると思うかな?というツッコミはしないでおく(笑) まぁ、無謀ではあったわけで・・・

ここでタイトルにもなっているトロッコに乗ることになる。父が大切に持っていた写真には、まだ少年の祖父とトロッコが写っていて、兄はトロッコに惹かれていた。何度か登場するけど乗るのは初めて。土砂崩れで家が流され両親を亡くし、林業を営む林老人に育てれた青年と、トロッコで山林を駆け抜けるこのシーンは本当に美しい。木を伐採し過ぎたため、地盤が弱り大雨が降ると毎回大きな被害が出るという・・・ 青年は日本に行き林業を学び、故郷を守りたいと語る。この青年の言葉が今の若者の日本に対する思いなのか・・・ いわゆるCOOL JAPANが好きという側面が大きいとは思うけれど(笑) 兄弟はここで一度怖い思いをした林老人と再び会う。「日本名ナカムラミツオです。遠い所をよくいらっしゃいました」と、幼い兄弟に直立して挨拶する林老人に涙が止まらない・・・ その思い・・・ 日本人として申し訳ない・・・

そんな思いが兄弟の心にもよぎったのか、逃げ出してしまう2人。ここからは大冒険。林老人と青年が幼い兄弟を探さなかったのは、ちょっとツッコミたいところではあるけれど・(笑) もう歩けないと泣きじゃくる弟をなだめ、足が痛いと言えば自分のビーサンを履かせ、裸足で歩く兄。自分も心細いのに頑張っている。巻き込んでしまったのは確かに兄だけど、兄として頑張る姿にちょっと感動。これ長子の方とそうでない方では思い入れが違うかも。素直になれずトラブルばっかり起こす兄にイライラする人もいると思う。個人的には素直になれない気持ちも、全てが裏目に出ちゃう感じも、すごくよく分ってしまい、逆に泣いてばかりいる弟にイライラした(笑) まぁでも、兄が厄介なのは間違いない。でも、こんなに頑張ったのに、家に着いたらいきなり怒鳴られちゃったのは切なかった。もちろん身を切られる思いで心配していた母の気持ちも分るので、つい怒ってしまうのも分るのだけど・・・ こうして叱ってしまうのは、あなたが嫌いなのじゃなく、あなたを頼りに思っているからなのだってことを、どうしたら兄(甥っ子1号)に伝えられるんだろうと思ったら、切なくて涙が止まらなかった。

キャストは皆良かった。幼い兄弟の演技は拙い部分も含めて、とっても健気だった。兄の虚勢を張った姿には泣かされた。祖母のメイ・ファンがふっくらと穏やかで優しい、でも芯の強い祖母を好演。出演シーンは少ないけれど、この祖母のやわらかい優しさに皆が救われているのがよく分る。祖父のホン・リウも優しいけれど厳格な”昔の父親”像を好演していた。同時に未だに抱える日本に対する憧れと、裏切られた悲しみという複雑な思いを、少年のような純粋さで表現していて見事。メイ・ファンとホン・リウは20年ぶりの夫婦役なのだとか! 素敵 少年達の祖父母にしては若干年を取り過ぎている気がしないでもないけど、そこは父が晩婚だったということで(笑) 林老人の人も短いシーンながら強烈な印象だった。主演の尾野真千子がいい。この作品を見ようと思ったのは尾野真千子が出ていたから。こういう物静かで芯の強い役は本当に似合う。ちょっと生真面目なあまり、やや柔らかさにかけてしまうのも、母も悩んでいるのだと思える。その感じがすごくいい。いわゆる美女ではないけれど、女性らしい品の良さと色気がある。ずっとワンピース姿だったのも好き。実際はまだ母親ではない尾野真千子が、どんどん難しい年頃になっていく息子達と真剣に向き合い、悩みながら母になっていく姿は、若いお母さん達の共感を呼ぶのではないかと思う。

これ、知らずに見ていたけど、原作は芥川龍之介の「トロッコ」 原作は未読だけど、おそらく内容は大きく違っているのだと思う。台湾が舞台ということはあり得ないわけだし。なので、全く別の作品として見た方がいいかも。台湾の山村の古い民家が素朴で素敵。尾野真千子のワンピースがシンプルだけど女性らしくて好き。トロッコが駆け抜ける山林の緑が美しい。リー・ピンビン撮影の映像が静かで、芯が強くて、品があって美しい。

じっくりと静かに見られる作品。祖父母、母、義弟夫婦、兄弟のそれぞれの切ない思いがしっかり伝わってくる。オススメ!

『トロッコ』Official site



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【Googleのロゴ:番外編】Google map

2012-04-01 01:42:13 | Google's logo
毎度のGoogleロゴは変わらなかったけど、
Google mapがこんなことに!



右上の"ぼうけん"をクリックすると・・・


ドラクエバージョンに!

すごいぞ! Googleの人


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