【tv】100分de名著「風と共に去りぬ」(第1回)
一筋縄ではいかない物語
1回25分×4回で1つの作品を読み解く番組。2019年最初の作品はマーガレット・ミッチェル(Wikipedia)の「風と共に去りぬ」(Wikipedia)で、講師は2015年に新訳をした翻訳家の鴻巣友季子さん。今回はその1回目。
映画版『風と共に去りぬ』(Wikipedia)は大好きで何度も見ている。映画版の豆知識もあるので、ちょこちょこ入れ込んでいこうかな😌
「風と共に去りぬ」は南北戦争(1861-65年)(Wikipedia)を描いた作品で、1936年に原作刊行。作者はマーガレット・ミッチェル。1937年にピュリツァー賞小説部門受賞、1939年には映画化されアカデミー賞9部門を受賞している。ベストセラーとなった時代背景として、19世紀から続いた不況と、KKKことクー・クラックス・クラン(南北戦争後に生まれた白人優勢主義秘密結社。20世紀初頭に再建され活発化)(Wikipedia)の再活発化があった。人々は物語に他人ごととは思えないものを感じたのではないか。ノスタルジー小説ではなく「私たち」のことが書かれている。
【設定】
物語の舞台:アメリカ南部ジョージア州 1861-1873(南北戦争開戦から戦後の復興期)
主人公:スカーレット・オハラ(映画版主演:ヴィヴィアン・リー) 綿花プランテーション<タラ>の長女
映画では美人女優のヴィヴィアン・リー(Wikipedia)が演じたことにより、スカーレット・オハラは美女だというイメージがあるが、原作では違う設定になっている。"Scarllet O'Hara was not Beautiful,but・・・"(スカーレット・オハラは実のところ美人ではなかったが・・・)という記述がある。原作での設定は、①背が低い、②つり目、③エラ張り、④首が短い、⑤バストは並外れて大きい。5つの特徴を踏まえると・・・
こんな感じになるらしい。男性には人気がありそうだけど、女性ウケは悪そう😣 美人だからモテるとは限らないけど、映画化するならやっぱり絶世の美女設定にした方が説得力はあるよね。実際この映像を見た伊集院光氏は、このイメージで主演女優を探して映画化してヒットするかな?という疑問を呈していたので😅
冒頭では16歳のスカーレット・オハラはモテモテ。伊集院光氏は美人ではないスカーレットが生き生きしてモテモテなのは何故か?という部分に意味を持たせているのではないかと考える。
また、原作と映画で屋敷のイメージがかなり違っているのだそう。映画に登場する<タラ>の豪邸はミッチェルのイメージとは違っていたらしい。ミッチェルが本当に描きたかったのは開拓されていないジョージア北部の暮らし。垢ぬけていない。
【映画豆知識】
スカーレット・オハラ役探しは難航していた。当時、イギリスの名優ローレンス・オリビエ(Wikipedia)のパートナーであったヴィヴィアン・リーもこの役を密かに狙っていた。オリビエがハリウッドに招かれ『レベッカ』に出演することになったため、彼について渡米。この『レベッカ』の製作者が『風と共に去りぬ』の製作者でもあったデヴィッド・O・セルズニック(Wikipedia)であったため、オリビエはヴィヴィアンを連れて、『風と共に去りぬ』の撮影現場に挨拶に行った。『キングコング』のセットを燃やし、スカーレットたちが南部から逃れるシーンを撮影していたが、セルズニックはその燃えるセットを見つめているヴィヴィアンを見て「スカーレットがここにいる!」と叫んだと言われている。
裕福な家庭で不自由なく育ったスカーレット・オハラ。狙った男性を虜にするすべを心得ており、町中の男が彼女に夢中。しかし、スカーレットには芸術や文学を愛する貴公子アシュリ・ウィルクスという本命がいた。自信家のスカーレットはアシュリと結ばれることを疑っていなかった。しかし、ある朝タールトン家の双子が信じられないニュースを届けた。ウィルクス家の舞踏会でアシュリとメラニー・ハミルトンの婚約発表があるらしいというのだった。表情も変えずに聞いていたスカーレットだが、心の中では嵐が吹き荒れていた。婚約パーティの日、自分から告白すればアシュリの気が変わるはずと、書斎で2人きりになり告白するも撃沈。アシュリを罵り平手打ちし、陶器をつかんで暖炉に投げつけた。すると、暖炉の前のソファからスキャンダラスな社交界ののけ者レット・バトラーが起き上がった。
華麗に登場したレット・バトラーは刊行当時から人気があったが一方で批判もあった。人物造形に対してステレオタイプ(類型的)なのではないかという批判。これに対してミッチェルはストック・フィギュア(既存のキャラクター)だし、コンポジット(合成物)だと反論した。要するに過去のキャラクターの合成物だということで、ミッチェルは「19世紀の名作のキャラクターを借りて合成している」と明言しているらしい。この方法は今見ると新しいのではないか?
文芸評論家・千野帽子さん提案「レット・バトラーをアニメキャラとして消費せよ」を実践! レットの"愛を語りながら金の算段か。女の本性ってやつだな"というセリフが似合うアニメキャラは?
伊集院光氏:「巨人の星」の花形満
鴻巣友季子氏:「ガラスの仮面」の速水真澄、「ルパンⅢ世」の石川五エ門
なるほど。どれも納得だけど、自分は「機動戦士ガンダム」のシャア・アズナブルだな🤔
ミッチェルの文体はスタイリッシュだが、キャラクターには既視感がある。組み合わせで新旧の「化学反応」を起こしている。
※映画の字幕ではアシュリーとなっていたけど、番組ではアシュリと表記されていたので当記事でもアシュリ表記とします😌
アシュリとメラニーの結婚にあてつけ、その前日にメラニーの兄チャールズ・ハミルトンと電撃結婚。その後、アシュリとチャールズは南北戦争に行き、チャールズは野営地で病死してしまう。スカーレットは妊娠が発覚し出産。しかしスカーレットはアシュリを諦めていない。
えっ スカーレットって最初の結婚で出産してるの?😲 その子はその後どうなったんだろう?🤔
アシュリがスカーレットを拒んだ理由は、自分とスカーレットはかけ離れすぎている、メラニーとは似ているから結婚すると語っていて、結婚というのはふたりが似た者同士でないと丸くおさまらないものだよとも言っているのだそう。この「似た者同士」というのがキーワードとなっていて、レットがスカーレットに愛を告白する時にも使っている。
当時の南部は白人裕福層という「似た者同士」が結束し、それ以外を虐げていた。排他性と差別を生む。トランプ大統領のアメリカファースト政策により、再びアメリカで姿を現しているのではないか? レットとアシュリは南部の危うさを見抜いている。
【似た者同士相関図】
〇 スカーレット - レット
〇 アシュリ - メラニー
〇 レット - メラニー : ある要素で似ている
〇 スカーレット - メラニー : 物語が進むと意地悪な「黒メラニー」が登場する
〇 レット - アシュリ : お互い似ていると語るセリフがある
× スカーレット - アシュリ
基本的に南部は同質の者どうしが調和と絆を築く社会。スカーレットは同調圧力に屈しない。全体主義や排他主義を常に冷めた目で見つめている。アウトサイダー。アウトサイダーの目を通して南部社会やアメリカを批判的に描いた物語であるということ。
なるほど。スカーレットとレット、アシュリとメラニーが似ているというのは映画を見ていても理解できていたけど、レットとメラニー、アシュリとレットが似ているとは思わなかった。そして、スカーレットとメラニーが似ている理由が意地悪な「黒メラニー」が登場するからっていうのは、スカーレットが意地悪で黒いということ? 主人公なのにその扱い😅
【映画豆知識】
映画版でメラニーを演じたオリヴィア・デ・ハビランド(Wikipedia)は、ヴィヴィアン・リー出演のきっかけとなったローレンス・オリビエ出演の『レベッカ』主演女優であるジョーン・フォンティーン(Wikipedia)の姉。2人は日本生まれ。美人姉妹だけど個人的にはジョーンの方が好き。
夫亡き後のスカーレットは南部の習慣では喪服でおとなしくしている必要があった。しかしそもそも夫を愛していないスカーレットにとってそれは退屈以外のなにものでもない。病院の寄付金集めのバザーに駆り出されたスカーレットは華やかないでたちの男女が楽しそうに踊る姿をムカムカしながら見ている。
病院への寄付金集めのために、一緒に踊りたい女性に入札する企画が持ち上がる。次々と入札されるが、レット・バトラーが金貨150ドルを申し出て値を一気に吊り上げる。しかもこともあろうに入札相手はスカーレットであった。喪中の女性を入札する非常識に場は凍りつくが、スカーレットはこれを受ける。
伊集院光氏:世間的には非常識だけど、スカーレットにとっては一番したいこと。
スカーレットとレットは異端者同士。ピカレスクロマン(悪漢小説)である。生き抜くために手段を選ばない。
金貨150ドルとは? 現在の日本円で40万円くらい。ただし、金貨であるというのがポイント。当時南部は南部紙幣という南部連合国が発行した紙幣を使用していたが、価値が下落しつつあった。金は価値がブレない。なのでレットが金貨で支払うと申し出たことは大変意味がある。
鴻巣氏はこのパーティの描写の中で、翻訳家として気になったシーンがあったらしい。それはレットがメラニーの目の奥の奥まで覗いたという描写で、何故そこまでするのかという疑問がわいたのだそう。その答えは第4回で発表するとのこと😌 レットとメラニーはこの後友情を育み、お互いを理解し合ったとのことなので、その辺りが関係しているのかな?
【映画豆知識】
このパーティでスカーレットとレットが踊るシーン。実はレット・バトラーを演じたクラーク・ゲーブル(Wikipedia)はダンスが苦手だったため、2人は回転する台に乗って踊っている演技をしている。
いい番組だから毎回見たいのだけど、せっかく見るならメモ取って記事にしたい。でも、記事にするならちゃんとしなきゃとなると、録画してメモ取る作業が25分番組なのに1時間半くらいかかる。そこから記事にするとなると、さらに2時間くらいかかっちゃって負担が大きい💦 ということで、気になる回しか手を出せない😣 今回は大好きな映画の原作ということで見てみることに。原作未読だから楽しみ😍
100分de名著:毎週月曜日 午後10:25~10:50 Eテレ
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