【tv】ぶらぶら美術博物館「ロマンティック・ロシア展」
開催中の展覧会を取り上げる番組。今回はBunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「ロマンティック・ロシア展」。自分は年末に見に行ってきた。感想記事はコチラ。復習のためメモ取りながら見たので記事にしておく。
解説者はドイツ文学者で、西洋文化史家の中野京子先生。ロシア絵画はあまり知られていないという質問に対しては、ソ連時代が長くて絵画が外に出なかったことが理由だと答えている。
アレクセイ・サヴラーソフ「田園風景」
アレクセイ・サヴラーソフ(Wikipedia)は、ロシア風景画家の創始者。1867年の作品なので印象派が生まれる頃。それ以前はロシア正教の影響でイコン画しか描かなかった。フランスなどへ行くようになり19世紀に絵を描くようになった。
移動派(Wikipedia)と呼ばれる自分たちの絵を持ってロシア各地で展覧会を開く活動を行う。第1回移動派展が1871年、第1回印象派展が1874年と印象派展より3年早い。
イサーク・レヴィタン「春、大水」
イサーク・レヴィタン(Wikipedia)はサヴラーソフの弟子。雪解けを描き、もう直ぐ春が訪れることを表している。家も水没しており、移動も舟だったらしい。これはロマンティックなのか?と矢作からの質問。ロシアのロマンティックには哀愁が入るのだそう😌
イワン・シーシキン「正午、モスクワ郊外」
風景画といえばイワン・シーシキン(Wikipedia)。ロシアの大地は何もない。
イワン・シーシキン「松林の朝」
シーシキンの作品の中では1番人気。ロシア人は熊が好き。メルヘンである😳 本来はもっと大きな作品があるけれど、それは借りられなかった💦 小さくても欲しい人用に描いた。
イワン・シーシキン「雨の樫林」
大きな作品だけど何故? ロシアの絵は大きい作品が多い。家が大きいから? 道がぬかるんでいる。ぬかるんでいる作品も多い。銃を持った自人物を描き足した。皆が通る道だから。何故銃を持つ人物なのかは不明😅 木は大切な財産なので森を描く作品は多い。
ニコライ・ドゥボフスコイ「静寂」
ニコライ・ドゥボフスコイ(Wikipedia)のこの作品が山田五郎氏の一番好きな作品。雲の威圧感が怖い😱 大雨が降るのじゃないかとドキドキする。吊り橋効果でロマンティックなのでは?
イワン・アイヴァソフスキー「嵐の海」
イワン・アイヴァソフスキー(Wikipedia)は、海の水を透明に描くことで有名。嵐なのだから水が濁っているはずなのに、透明感のある海を描ている。ロシアは広大で内陸が多く、海が見えるのはサンクトペテルブルグや黒海など限られた地域で、生涯海を見ずに亡くなる人も多かった。なので海の絵が人気だった。
イワン・アイヴァソフスキー「海岸、別れ」
アイヴァソフスキーは海を見慣れていたのではないか。山田五郎氏の学生時代にアイヴァソフスキーとイリヤ・レーピンは人気があった。
グリゴーリー・ミャソエードフ「秋の朝」
グリゴーリー・ミャソエードフは没落貴族出身。詩人アレクサンドル・プーシキン(Wikipedia)の「黄金の秋」のような作品。矢作や高橋マリコからロマンティックなのか?という疑問が。カレンダーっぽくないかという意見が出て笑った🤣
ワシーリー・バクシェーエフ「樹氷」
印象派っぽい作品。ロシアは冬が長く厳しいため冬の絵はあまり好まれない。「樹氷」という言葉はロシアには存在しない。霜と呼んでいる。矢作から空の色が印象派っぽいという意見が。ロシアの空の色なのでは?とのこと。鑑賞記事には載せなかったけれど、この作品も美しくて好きな作品だった。
ミハイル・ゲルマーシェフ「雪が降った」
クロード・モネの「積みわら」を転用? 分かりやすい絵が人気だった。日常を描くことでその中の美に気づかせる。それにより祖国愛を芽生えさせる。画家としてはガチョウの配置や扉の開き具合など、構図を計算している。北海道出身の中野京子先生によると、この雪は春まで解けない根雪だそう。
ニコライ・サモーキシュ「トロイカ」
トロイカというのは3頭立ての橇ことを言うのだそう。トロイカ体制(Wikipedia)というのもこのトロイカから来ているらしい。このトロイカは上手い人が御するととても早く走れるそうで、雪が降った方が橇で行けるから早いと心待ちにしているという話も? この日、歌がどんどん出て来た山田五郎氏は、ここでも「トロイカ」を歌う。この「トロイカ」実は原曲は失恋の歌なのだそう。地主に恋人を奪われた御者が客に愚痴っている歌とのこと😢
※番組ではアレクセイ・ステパーノフの「鶴が飛んでいく」も紹介しておりましたが、画像が見つからないので割愛します🙇
アントニーナ・ルジェフスカヤ「楽しいひととき」
アントニーナ・ルジェフスカヤ(英語版Wikipedia)は女流画家。女性だとバレてしまうと作品を公正に評価してもらえないので、サインを入れなかった。当時のロシアでは絵画を教えるのも、描くのも、批評するのも男性で、男性の価値観で成り立っていた。また、貴族なので商業画家になれないという背景もあった。移動派の2人の女性のうちの1人。
イワン・クラムスコイ「月明りの夜」
イワン・クラムスコイ(Wikipedia)肖像画の第一人者。元々のモデルは元素の周期表を作った科学者ドミトリ・メンデレーエフ(Wikipedia)の妻で、トレチャコフ美術館の創始者の弟が自分の妻の面影を加えて欲しいと依頼したのだそう。寓意は特にない。大きなお屋敷の庭園で、パーティを抜け出して休んでいるのか、密会の相手を待っているのか? 出演者は後者の意見を支持😀
イリヤ・レーピン「画家イワン・クラムスコイの肖像」
イリヤ・レーピン(Wikipedia)はクラムスコイの弟子。40代のクラムスコイを30代のレーピンが描いている。真面目そうな印象との意見が出ていた。
イワン・クラムスコイ「忘れえぬ女」
9年ぶり8回目の来日。そんなに来てたのねビックリ😲 出演者は肌のツヤや、毛皮の質感に感心していた。背景の描き方についても、女性と目が合った瞬間に背景が見えなくなる感覚を表している。「北のモナ・リザ」と呼ばれているが、発表当時はスキャンダルでもあった。この女性が冬なのに無蓋馬車に乗っていることから、顔を出して自分を買って欲しいとアピールしている高級娼婦なのではないかとの憶測によるもの。このためトレチャコフも今作を買うのをためらったらしい。
この女性については中野京子先生の説によると、クラムスコイは当時「アンナ・カレーニナ」を執筆中だったレフ・トルストイ(Wikipedia)の肖像画を描いており、「アンナ・カレーニナ」発売から6年後に今作を発表している。「アンナ・カレーニナ」の中にアンナを描く肖像画家を登場させているが、これはクラムスコイがモデルなのではないか? また、アンナについて黒い髪と黒い瞳でロシア人っぽくないという描写があり、これがこの絵の女性像に一致している。芸術家同士が刺激し合った結果生まれた作品なのでは?
ただし、クラムスコイとしては誰でもない人として見て欲しかったようで、「Unknown Lady(見知らぬ女)」と名付けている。日本公開時に「見知らぬ女」ではちょっとということになり、「忘れえぬ女」というタイトルがつけられたのだそう。
出演者たちはアジア人っぽい印象もあり、よく見ると瞳が潤んでいるようでもあり、こちらを見下しているようでもあると語っていたけど、自分は瞳の潤みまでは見えなかった💦 単眼鏡持っていくの忘れちゃったからなー😣 確かにテレビ画面で見ると潤んでいるように見える。となると全然印象が違ってくる。見え方が単一的ではないのが名画の証なのでしょう😌
中野京子先生によると「アンナ・カレーニナ」の中に"幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである"と書かれているそうで、これが山田五郎氏の思うロシアのロマンテックであるのだそう。日本人はソ連は嫌いだが、ロシアは好きな傾向にあるそうで、湿っぽいところも似ているらしい😌
ということで、自分が好きだった作品も、特に思い入れのなかった作品もおさらいすることができて楽しかった。特に「忘れえぬ女」にトルストイとの交流が深く関わっているらしいこと、さらに瞳の潤みにより印象が変わったことは大変興味深かった。
ぶらぶら美術博物館:毎週火曜日 21:00~22:00 @BS日テレ
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