【tv】ぶらぶら美術博物館「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」(前編)
開催中の美術展や博物展を紹介する番組。今回は「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」で、本来ならば開催中の放送だったのはずだけど、新型コロナウィルス対策のため閉館中😢 これ会期はどうなるのだろう?🤔 とにかく、コロナが落ち着いて再開されたら絶対見に行く予定! メモ取りながら見たので記事にして残しておく。
山田五郎氏曰く西洋美術展では今年一番と言われていて、そもそも国外に持ち出されたのが史上初という作品ばかり。当然ながら全品日本初公開。点数こそ少ないけれど全作品見どころだらけで、2週に分けたいくらい! という熱意が伝わったのか、今回は前編で次週後編が放送される。
解説は主任研究員の川瀬佑介さん。ともすると解説者よりも解説してしまう山田五郎氏にも負けない情報量で、メモが追いつかないうれしい悲鳴💦 イヤ年々字が書けなくなってるわ~😫
ナショナル・ギャラリーは年間600万人が訪れる英国を代表する美術館。現地では入場無料で見れる。何故、無料なのかというと1824年に国民が議会を通して設立したから。国民の国民のための美術館。市民から寄付された作品もある。西洋美術の教科書。時代ごとに展示してあり、近代美術館の模範となっている。
15世紀 イタリア・ルネサンス絵画
初代館長チャールズ・ロック・イーストレイク卿はイタリアに滞在したことがあり、その際に触れた初期ルネサンス絵画を再評価した。出演者よりルネサンスとはそもそも何なのかという質問。ルネサンスとはフランス語で再生という意味。古代ギリシャ・ローマの考え方に帰るということ。中世は神中心の世界観だったが、人々が旅行などで古代の遺跡などを見て、昔は違ったのではないかと考えた。古代は人間中心の世界観だったのではないか。そこに帰ろうという動き。
中世の絵画は"神が人間世界をどう見たか"を描き、ルネサンスは"目に見える世界をそのまま"描く。解剖学・遠近法・陰影法を使ってリアルに描く。現在に通じる西洋絵画の基本はルネサンス期に確立された。宗教絵画もリアルになった。
パオロ・ウッチェロ「聖ゲオルギウスと竜」
パオロ・ウッチェロ(Wikipedia)の作品自体が少ないので今回の展示は貴重。馬上の人物である聖ゲオルギウス(Wikipedia)は英語ではSt.ジョージ。グルジアから国名を変えたジョージアは守護聖人が聖ゲオルギウスだったから。これは元のグルジアも聖ゲオルギウスのことなのかな?🤔 そんな気がする。聖人なのに頭上に円環がない。
ウッチェロは遠近法オタク。三角形の線状に奥行きを描く線遠近法が使われている。画面中央は山を頂点として幾何学模様的に描かれた芝を底辺として▲の遠近法。ゲオルギウスや竜にも線遠近法が使われている。数学的な遠近法を追求するあまり、人間を描くことはおろそか。でも馬は上手い。ウッチェロというのは実はあだ名で、鳥=ウッチェロを描くことが好きだったことに由来するけれど、鳥を描いた作品は残っていない。
1470年に描かれた作品。当時は板に描くことが主流だったため、割れてしまい残っていない。今作はカンバスに描いているため良い状態で残っている。油彩画。カンバスや油彩は当時最先端の技術。パイオニア精神こそ初期ルネッサンス。
カルロ・クリヴェッリ「聖エミディウスを伴う受胎告知」
カルロ・クリヴェッリ(Wikipedia)は15世紀ベネツィアの重要な人物。人妻との不倫で有罪になったことでも有名。女性をエロティックに描く。マリアが妖艶。女性の指を細長く描くのが特徴。怖いくらい細い💦
油彩とテンペラをミックスして描かれている。油彩が油で絵の具を溶くので伸びがある。テンペラ画は卵で溶くためねっとりしていてディテールを描くのに向いている。
受胎告知しているのは大天使ガブリエル(Wikipedia)。頭上の円を描く代わりに、円がついた輪のようなものを被っている。妙な現実味。出演者からは大天使ガブリエルを演じている役者のようになってしまっているとの声も。リアルにこだわり過ぎて、天から差し込む光が通る穴も描いてしまっている。
大天使ガブリエルは通常単体で描かれるが、隣にいる人物は誰なのか? 何故、街のジオラマを持っているのか? この人物は聖エメディウスでアスコリ・ピチェノの守護聖人。アスコリ・ピチェーノ(Wikipedia)はローマ教皇の支配地であったが、自治権を与えられたお祝いに描かれた。この自治権を与えられた日が3月25日だったが、この日が受胎告知の祝日であったため。お祝いを2つ重ねている。
画の下の部分に書かれているのは「教会の下の自由」という文字。手紙を読む人物や鳩が象徴的。鳩は平和だけでなく伝書鳩をイメージ。この事実が伝わるようにということ?🤔 画面に余白を残さずモチーフで埋める意図もあったのかも。
今作も線遠近法が使われている。アーチ状の通路奥の壁が頂点。後年のように奥をぼかして描いていないのは? まだその手法が確立されていなかった。
ドメニコ・ギルランダイオ「聖母子」
ドメニコ・ギルランダイオ(Wikipedia)はミケランジェロ・ブオナローティ(Wikipedia)の師匠で、レオナルド・ダ・ヴィンチ(Wikipedia)の兄弟子。多くの弟子がいた。マリアの後ろの景色にボカシがかけられているが、これを空気遠近法という。遠くを青っぽく描くのも空気遠近法。15世紀に確立した。とメモにあるけど、もしかしたらどちらか違うかもしれない🤔 とにかく字が書けなくてメモがちゃんと取れていない💦
マリアはどこに立っているのか? 厳密に描くより錯覚を起こさせる方がリアル。遠近法・陰影法・リアルな人間の手法がルネサンス期に完成した。「モナ・リザ」っぽい。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、ラファエロ・サンティ(Wikipedia)はルネサンス三巨人と呼ばれ、この時代を盛期ルネサンスと呼ぶ。
17世紀 オランダ絵画の黄金時代
17世紀オランダはスペインから独立し、東インド会社(Wikipedia)など貿易で繁栄した。中産階級が社会の中心となる。また、宗教改革が起きプロテスタントとなる。プロテスタントは礼拝に絵画や彫刻を使わないため、宗教画が描かれなくなった。市民は身近なテーマを好み、風景画、肖像画、静物画が好まれる。また、部屋に飾ることを考慮し作品が小型化した。画家たちはそれぞれに特化したスペシャリストになっていく。
ウィレム・クラスゾーン・ヘダ「ロブスターのある静物」
写実的。以前は静物画や風景画は下に見られていたが、ジャンルとして確立した。グラスに映り込んだ窓を描くなど細かい。静物画には明確なストーリーがないのでディテールにこだわっている。世界中の贅沢品が描かれている。ロブスターとパンはオランダ、オリーブとレモンは地中海産、器は中国、よく見るとコショウが描かれており、これは東南アジア産で東インド会社によるもの。
レンブラント・ファン・レイン「34歳の自画像」
レンブラント・ファン・レイン(Wikipedia)の作品は何故自画像が多いのか? 本来画家の自画像は売れないが、芸術家の形が変わった。レンブラントの初期の自画像は変顔が多いが、それはモデル代を節約のため自分で表情をつけていたから。その変顔がドヤ顔に変わっていく。中でも今作は一番のドヤ顔。何故ドヤっているのかといえば、この時期のレンブラントは結婚し、オランダ一の人気画家として絶頂期であった。この2年後に「夜警」を描くが、妻が死亡し人生が暗転してしまう。
手の組み方に注目! ルネサンス期のアルフレヒト・デューラー(Wikipedia)やラファエロの自画像で取っていたポーズ。もう一人画家の名前が出ていたけどメモ間に合わず💦 とにかくルネサンス期の大画家たちと同じポーズを取ることで、彼らの後継者であることを示したかった。そのためわざわざ100年前の衣装を着せている。
右下に書かれたサインも大きい。レンブラントというのは実は名字。何故? ラファエロ・サンティやミケランジェロ・ブオナローティなどルネサンス期の芸術家のマネ。マーケティングとメモがあるけど内容は忘れてしまった😅
ヨハネス・フェルメール「ヴァージナルの前に座る若い女性」
ヨハネス・フェルメール(Wikipedia)の今作も初来日。出演者よりフェルメールっぽくないという指摘。左側に窓のある室内というお得意の構図なのに何かが違う。光が感じられない。カーテンで閉じられている? 夜?
今作はフェルメール最後の作品と言われている。音楽がテーマ。ヴァージナルは小型の鍵盤楽器でチェンバロの一種。壁にかけられた画中画でにはリュートを弾く女性、髭の男性、老婆が描かれているが、これは売春宿を表す代表的なモチーフ。かつて音楽は快楽であったが、音楽の扱われ方が変わった。
ヴァージナルを弾く女性は商売女ではない。手前にヴィオラ・ダ・ガンバが置かれており、女性が振り向いていることから誰かが部屋に入って来た。誰が入って来たのか? 答えは描かない。風俗画の特徴。おそらく男性。
フェルメールの特徴といえば「真珠の耳飾の少女」の唇に描いたしずくを落としたような光点。それが弱い。晩年の作品は力が衰えたと評価が低いが、新しい表現を模索していたのではないか? フェルメールは43歳で亡くなってしまったが、あと10年生きていたら違う作品が生まれていたのではないか?とのことだった。
18世紀 ヴァン・ダイクとイギリス肖像画
アンソニー・ヴァン・ダイク「レディ・エリザベス・シンベビーとアンドーヴァー子爵夫人ドロシー」
アンソニー・ヴァン・ダイク(Wikipedia)はオランダ人。英国王チャールズⅠ世(Wikipedia)に宮廷画家として招れた。肖像画を描く際に理想化し盛るのが上手い。エレガントに盛れる。描かれているのは姉妹。妹(右)の結婚に際して描かれた。キューピッドが描かれているのは、神話に描かれるような高貴な人物たちであることを表している。
二重肖像画(ダブルポートレート)となっているが、イギリス人に好まれた。姉(左)が白のドレスを着ているのは未婚を表している。妹のサフラン色のドレスは婚礼衣装とも言われている。
ヴァン・ダイクはイギリスに10年しかいなかったが、100年後でもヴァン・ダイクのような肖像画を描いて欲しいと言われる存在。
ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー「トマス・コルトマン夫妻」
ジョゼフ・ライト・オブ・ダービー(Wikipedia)はダービー地方で活躍した画家。ヴァン・ダイクから130年後、産業革命が起こり新興の地主など成金が胎動し、こぞって肖像画を描かせた。コルトマン夫妻も成金。
この肖像画はカンバセーション・ピースと呼ばれる会話をしているような自然な雰囲気で描く手法。リアルな自分を描いて欲しい。自分たちが住んでいる地方で、自分たちが借りている屋敷を背景に描かせている。トマス・コルトマンは画家の友人で、ピッタリしたパンツの太腿にはポケットに入れたコインが浮き上がっていたりとリアル。遊びを描ける相手だった。
グランド・ツアー
18世紀イギリスで流行。当時のお金持ちの卒業旅行。上流階級の子息がイタリアに行き文化、教養、マナーを教師同行で学んだ。日本でも明治時代の家族の子息が教師同行でヨーロッパに遊学した。
カナレット「ヴェネツィア:大運河のレガッタ」
当時、風景をポストカード的に画家に描かせることが流行った。その中でもカナレット(Wikipedia)本名ジョヴァンニ・アントニオ・カナルは人気があった。ヴェネツィアにイギリス人の商人がいて仲介していた。ほとんどの作品がイギリスに渡り、イタリアにほとんど作品が残っていない。後にイギリスに渡りイギリスの風景を描く。
人気の理由は? 現代同様、当時の人々も旅先の風景など土産話をしたかった。写真を見せる的な行動。なのでリアルでなければならなかった。
この後、イギリスでは風景画が流行し、ターナーが登場する。そして、フランス印象派へと続く。ということで、番組も後編に続く!
わー💦 番組内で紹介された作品点数としては少な目なのにこのボリューム! 来週も楽しみ😍 この企画展は絶対に見に行くつもりなので、早くコロナ落ち着いてくれーーーー😫
次週から放送時間が変更になるそうです😌
ぶらぶら美術博物館:毎週火曜日 20:00~21:00 @BS日テレ
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