
一昨日に横型エンジンレジェンドのヒグマさんから電話があり、
どうやらお客さんがW212を買って積んで20キロ程走ったら、
帰って来たらブローバイホースからオイルが吹いていて中はすっからかんになっていたみたいで、
今までこんなケースがあったか質問されたんだが、
確かにブローバイでもエアーは出るがオイルは吹いた事は無く、
とりあえずエンジンは借りれる事になったからバラしたら連絡をいただけるって事になった。
そして今日また電話をいただいて、
腰上を開けた結果はピストンの抱き付きを起こしていたみたいだ。
肝心の原因なんだがいくつかあり、
先ず積まれた車体はバギーだがトライクのエンジン搭載位置が奥まった場所にあるみたいで、
ヒグマさん曰く走行風がほとんど当たってなかったんじゃないかとの事。
エアロとかでコテコテにしてあると性能は2の次3の次になってしまうから、
恐らくこれが1番の原因みたいだった。
次はオイルクーラーの小ささ。
W190を購入するとオイルクーラーが付属されて来るんだがデカさがハンパないのだ。

コレが実物なんだがNSR50のラジエターとほぼ同じサイズで、
しかし装着されていたのはミニモトなどで安く売ってる3段のクーラーで、
さらにオイルクーラーにも走行風が当たっていなかったんじゃないかな。
そして最後はオイルのグレード。
どうやらお客さんが入れたオイルはホンダの安い鉱物油だったみたいで、
ここら辺は結構無知だったみたく安いオイルを入れたのも良くなかったみたいだ。
よって私が偉そうに総括してみるとだ、
先ずW190や212、デイトナアニマなどの大排気量エンジンは空冷ではなく空油冷エンジンと認識する事。
とくに212ccなんてほぼ250ccクラスになってしまうため、
元はチープな横型エンジンを無理矢理デカくした物だから冷却が不足気味で、
さらに本体とクーラーに風がほとんど当たってなかったなんてブローしても全くおかしくない。
アニマ系エンジンのヘッドにはカムやロッカーアームにオイルを噴射するオイルジェットがあり、
さらにクランクケースにもピストンの裏にも噴射するジェットが標準に付いているからオイルポンプもバカデカく、
しかしエンジンのフィンは控えめだから油温は上がり易いのに無風走行だからこの結果は仕方がないと思う。
対策としてはオイルクーラーはもっと大きいのを車体前部に取り付けて、
エンジンに風が当たらないなら風導管や電動ファンで風を当てまくるしかない。
それが嫌ならカッコだけのエアロなんぞ要らん!
あとW212は空油冷のメッキシリンダーのためオイルは必ず100%化学合成油を入れていただきたい。
今は車も当たり前になったメッキシリンダーだが、
そもそも車は水冷エンジンだから油温も比較的安定しているが、
空冷のエンジンだと渋滞にハマるとブローする危険性が増すから、
オイルが高温でも蒸発し難い100%化学合成油が不可欠と言っても良い。
グレードとしては説明し難いが価格は1リッター2,000円くらいの物で、
私としてはどちらも販売店だからワコーズならプロステージの10w-40やスピードハートの同粘度、
あとはヤマハのプレミアムも結構安いし、
カムイさんだとリキモリやパノリンなど皆さんが知らなさそうなモータースポーツ用オイルも置いてある。
ただ高いオイルの中にはモチュールの300Vなど水冷エンジン専用みたいなオイルもあるため、
とびきり高額ではないオイルの方が良いかもで、
ワコーズだとトリプルアールまで行くと流石に水冷エンジン用な雰囲気はあるが、
粘度さえ守れば空冷でも構わないとの説明は受けたかな。
ちなみに私の場合は横型エンジンなら最低でもワコーズのプロステージで、
スピードハートの4MINIも良いんだが量は800ccまでだから、
オイルクーラーを装着したW212とかだとオイルが足りないんだよねぇ。
あとオイルメーカーって結構存在してるから、
各自お気に入りのメーカーや銘柄を探してみるのも面白いし、
オイル添加剤も色々あって内部洗浄効果が高い物や、
粘度はそのままに粘性だけを足してオイルを少しネチョネチョにするルーカスのオイルスタビライザーなど色々ある。
ただ横型エンジンは乾式クラッチ以外は湿式だからバイク用から選んでいただきたいかな。
よってまとめるとアニマ系エンジンは空油冷エンジンですよって事と、
少しでもチューニングしたエンジンには必ず100%化学合成油を入れる事、
そして当たり前だがエンジンとオイルクーラーにはちゃんと風を当てる事だw