まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第10番「三室戸寺」~西国三十三所めぐり3巡目・32(宝勝牛に日本シリーズ必勝の願いを・・)

2021年12月01日 | 西国三十三所

日本シリーズ第6戦の当日となった11月27日、球場に行く前に京都の札所めぐりである。順番として、西国三十三所第10番の三室戸寺から始め、西国四十九薬師第38番の法界寺、そして西国三十三所第11番・西国四十九薬師第39番の醍醐寺とたどることにする。ちょうど三室戸から北に向かうルートだ。

広島6時26分発の「のぞみ90号」で出発。JR西日本の「どこでもきっぷ」の効力発動ということで、「のぞみ」で一気に東に向かう。指定席の中でも新大阪寄りの端の車両だが、始発の広島から、さらに駅ごとに乗客があり、窓側の座席がほぼ埋まるくらいの乗車率である。一時のことを思えば乗客も戻りつつある。

7時55分、新大阪に到着。ここで宿泊用の荷物を在来線コンコースのコインロッカーに入れる。京都を回った後に神戸に向かうわけだが、どのみち新大阪を通ることになる。

三室戸寺の最寄り駅は京阪宇治線の三室戸。これまでの感覚で、新大阪から淀屋橋に出て京阪に乗り、中書島乗り換えが最速かなと思っていた。ただ改めてスマホで検索すると、JR京都線で京都まで行き、奈良線で黄檗まで南下、そこで京阪宇治線に乗り換えと出た。やはり新快速のスピードは大きい。また、新大阪から黄檗までJRに乗ることで「どこでもきっぷ」を有効に使える。

京都で205系の4両編成に乗り換える。車内は満員で発車したが、次の東福寺で下車する客が多い。京阪に乗り換える客もいるだろうが、それよりも紅葉が目当ての客が多い様子だった。東福寺は例年11月下旬から12月上旬が紅葉の見ごろだという。次の稲荷でも伏見稲荷に向かう客が下車する。

20分ほどで黄檗に着く。JR側で下車するのは初めてだ。正面に京都芸術高校があり、こちらに向かう生徒で出口はあふれている。

京阪の黄檗駅のホームはすぐ向こうにあるのだが、連絡通路があるわけでなくいったん外の歩道を歩いて回り込む。黄檗から1駅乗って三室戸に到着。宇治線は日中おおむね15分に1本の運行で、結果的に淀屋橋経由で行くより1本早い便で着いたようだ。

駅から一本道で寺の入口に到着。三室戸寺は花で知られるところで、特に春から夏にかけてのしゃくなげ、つつじ、あじさい、蓮の名所である。この時季、紅葉はどうなのかな・・と来てみると、紅葉も立派である。

その昔、西行法師は「暮はつる秋のかたみにしばし見ん 紅葉ちらす三室戸の山」という歌を詠んだそうだ。また「三室戸の紅楓」として宇治十二景の一つにも数えられていたという。それにしては三室戸寺にあまり紅葉のイメージはなかったのだが、周囲に紅葉の名所はいくらでもあるし、寺としてはあくまであじさいをはじめとした花を売りにしているのだと思われる。

それでも隠れたスポットというのか、カメラを手にした参詣者もそこそこ見かける。

石段を上がったところで出迎えるのは宇賀神。体は蛇で頭が翁という造りで、耳を触れば福が来て、ひげをなでると健康長寿、蛇のしっぽをさすると金運がつくという。特に耳たぶのところが、多くの人が触れたことで黒ずんで見える。

そして本堂の前には、「福徳の兎」に並んでその名も「宝勝牛」・・・またの名を「勝運の牛」が祀られている。勝ち運の牛・・・この夜バファローズの日本シリーズを観戦するのを前に、縁起のいいスポットである。大きく開いた口の中に石の玉があり、これをなでると勝ち運がつくという。別にこの日を狙ったわけではなく偶然だが、これはしっかりと勝利を祈らなければ・・・。

改めて、なぜ三室戸寺で牛なのか。

その昔、宇治の地に農夫の夫婦が住んでいた。やっとのことで子牛を手に入れたが弱々しく、三室戸寺の毎月の観音講に連れて行っては境内の草を食べさせていた。そんなある時、牛が何やら丸いものを吐き出した。それは牛の腹の中にできた「牛玉(ごおう)」で、牛は玉を吐いたあとはすくすくと大きくなり、立派に育った。その牛が闘牛に勝ったことで富を得た富右衛門はこれを観音様のご利益として、牛の木像を作らせて三室戸寺に奉納したという。

この後で本堂にてお勤めだが、最後には改めて牛への願いである。果たしてその結果は??

改めて境内を一回りして紅葉を楽しみ、寺を後にする。ここからは京阪の三室戸から六地蔵まで移動し、京阪バスに乗り換える。この先、法界寺、醍醐寺はそれぞれこのバスの沿線である・・・。

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