「スーパーおき3号」で鳥取から新山口まで5時間乗り通すその後半。11時24分、出雲市を発車。新山口までは3時間である。
今年の8月の豪雨で地滑りが発生して不通になり、10月に運転再開した江南~田儀を通過する。このところ毎年のように発生する豪雨災害だが、今年も起こった。中でも8月11日からの豪雨は被害も多く、山陰線のこの区間もそうだし、住んでいる広島市でも河川の氾濫、土砂災害が発生した。ちょうどお盆休みの時季と重なったが、豪雨で各地の路線が不通になり結局遠出せず(緊急事態宣言の影響もあったが)、1日中広島のローカル局が流す豪雨特番をずっと見ていた。後は、ワクチン接種かな。この夏の思い出の一つである。
大田市に停車。世界遺産の石見銀山の玄関口である。せっかく中国地方に来たのだから、この銀山にも行かなければならないだろう。
江津近くの風力発電所を見て、江の川を渡る。江津は石州瓦発祥の地とされる。
しまね海洋館アクアスの最寄り駅である波子にも停車した後、12時29分、浜田到着。石見地区の中心で、ここで下車する人も出る。出雲市から広島に向かうなら、浜田で下車して高速バスに乗り換えるのも一つの手である。
浜田から益田までの区間が、山陰線の中でもっとも海岸に近く、素朴な景色を楽しむことができる。特急で飛ばすのがもったいないくらいだ。途中の折居では特急同士がすれ違う。時間からして、益田発鳥取行きの「スーパーまつかぜ10号」のようだ。
この日は多少風があったが、何よりも快晴に恵まれているのがよい。この絶景を魚に飲み鉄というのもいいものだ。
13時04分、益田に到着。ここで日本海ともお別れで、山の景色が広がる山口線に入る。もっとも、向かいのホームに停まっていた13時11分発の長門市行きに乗り換えると、長門市、小串と乗り継いで下関まで山陰線を乗り通すこともできる。空席があれば長門市から観光列車「○○のはなし」を利用することも可能だ。「スーパーおき3号」、停車駅ごとにさまざまな選択肢を与えてくれる。
浜田、益田で下車した人も多く、自由席はまた空席が目立つようになった。新山口で新幹線に乗り継ぐために利用する客もいるが、多くは鳥取、島根両県内の移動で使われているようだ。
高津川沿いにさかのぼり、津和野に入る。ちょうど「SLやまぐち号」のD51の入換作業中で、転車台の周りに見物客が集まっている。津和野で下車して2時間ほど見物した後、「SLやまぐち号」に乗り継ぐことも可能だ。この秋はD51が使われているが軒並み満席のようで何より。ただ、修理に入っているC57 1号機が復活することはあるのだろうか。
津和野から新山口方面へ特急で抜けるのは初めてで、「SLやまぐち号」が煙を精一杯吐きながら上る勾配も一気に駆け抜ける。
島根県から山口県に入り、徳佐に到着したところまでは覚えているが、この先はさすがに乗り疲れたか、あるいは飲み鉄の酔いが回って来たか、山口、湯田温泉といったところは爆睡していた。気づけば新山口が近く、駅の手前の車両区に停まる気動車たちが目に入って来た。
14時41分、新山口到着。鳥取から5時間乗り続けたが、最後に爆睡したのはともかくとして意外と飽きることなく移動できた。日本海の景色も楽しむことができたし、どっぷり鉄道の旅という感じだった。「どこでもきっぷ」のおかげである。
新山口ではすぐ連絡の15時01分発「こだま856号」に乗る。これで広島までは通過待ちの停車時間を含めても54分。16時前に広島に到着した。
この時間なら、帰宅してちょうど大相撲九州場所の千秋楽の終盤戦をテレビ観戦することができる。横綱照ノ富士はすでに14日目に優勝を決めていたが、この日の結びの一番で大関貴景勝を破って初の全勝優勝を決めた。今回、めでたくオリックス・バファローズが日本シリーズに進出し、大阪、神戸で観戦することができたのでそちらにスケジュールを合わせたが、元々は福岡まで大相撲を観に行こうと思っていたところである。果たして来年の11月には行くことになるのかな・・・?