日本シリーズを前にした西国めぐり、2ヶ所目は法界寺。西国四十九薬師めぐりの第38番である。
京阪の六地蔵からバスに乗る。法界寺には門前に日野薬師というバス停があるのだが、そこに行くのは40分に1本ほど。ただその他に、醍醐寺方面に向かうバスが走っていて、石田バス停から歩いても10分くらい。着いたタイミングでやって来たのが醍醐寺方面のバスだったのでとりあえず乗り込み、石田で下車する。場所は宇治市から京都市伏見区に移る。
バス停の角に、「乳薬師日野法界寺」と「親鸞聖人日野誕生院」の石碑が建つ。薬師の文字があるのはわかるとして、親鸞聖人の文字があるとは。
住宅が並ぶ中を歩く。周囲には各政党のポスターが目立つ。写真は撮らなかったがその中で目立つのは「泉ケンタ」。正面に向かい、右手を差し出すポーズである。先日立憲民主党の新代表に選出された泉健太議員である。こちらの選出だったのね。
この辺りは藤原北家の流れを汲む日野家の領地で、法界寺はその菩提寺として平安中期に建てられた。日野資業という人が薬師如来を祀り、その胎内に伝教大師作と伝えられる薬師如来の小さな仏像を納めた。そのことから子授り、安産、授乳のご利益があるとして「乳薬師」の信仰を集めた。
また、当時は末法思想の影響で浄土教が流行したこともあり、合わせて阿弥陀堂も建てられた。法界寺の本堂はこちらの阿弥陀堂である。
さてまずは本堂にお参りしようと思うと、拝観料が必要である。納経所も兼ねていて、先に西国四十九薬師のバインダー式の朱印をいただく。
「本堂を案内しますので」と扉を開けていただき、通される。中は撮影禁止なので画像はないが、中央に国宝の阿弥陀如来が祀られている。平等院鳳凰堂の本尊に近い定朝様式の仏像である。さらに内陣には天人を描いた壁画が残されている。ありがたく拝む。
本堂の前に薬師堂が建つ。「乳薬師」の薬師如来立像は東京国立博物館で11月21日まで開かれていた特別展「最澄と天台宗のすべて」に出展されていて、帰りを待つところだった。外陣にてお勤めとするが、多くのよだれかけが奉納されている。住所を見ると京都市内はおろか、関西、さらには東京からの祈願もあった。私には経験がないのでわからないのだが、母親たちの子どもに対する思いの強さというのを感じる。私の母も、どこかでこうした祈願をしてくれたのかな?
さて、法界寺を建てたのは日野氏だが、そこから出たのが親鸞である。生誕の地には日野誕生院という別の寺が建てられたが、親鸞が幼い頃に初めて仏との縁を結んだのがここの阿弥陀如来だという。もっとも、法界寺じたいは現在は真言宗の別格本山なのだが・・(パンフレットを見て初めて気づいた)。
ちなみに日野氏といえば、時代が下るがもう一人有名なのが、室町8代将軍義政の正室・日野富子である。
この次は醍醐寺である。先ほど下車した石田バス停まで戻り、そこから乗り換えなしで行ける。醍醐寺は西国四十九薬師の札所でもあるが、西国三十三所めぐりの札所である。そして、西国三十三所の3巡目は醍醐寺で満願を迎えることに・・・。