10月9日、JR「秋の乗り放題パス」を手に山陽線で東に向かう。このパスは「青春18きっぷ」の秋バージョンというべきものだが、「青春18きっぷ」とは異なり、購入時に使用開始日を決める必要があり、その日から連続3日間が有効である。そのためフルに使うなら10月8日~10日の3連休が最適だが、私は8日に購入したものの、実際に使用するのは9日、10日の2日間のみ。それでも、元は十分に取れる。サイズは通常の乗車券、特急券と同じなので、自動改札もそのまま通すことができる。
岡山からは11時05分発の「やくも9号」に乗る。旧国鉄型の塗装が復活した編成で、岡山~出雲市間を1日2往復するうちの1本である。「秋の乗り放題パス」では乗ることはできないが、「鉄道の日」を前に乗り鉄で出かけたお目当ての一つである。
折り返しとなる出雲市からやって来た「やくも8号」が到着し、早速両側のホームからカメラが向けられる。そして折り返しのためいったん側線へと引き上げる。
この「やくも9号」だが、日程が決まって「e5489」で予約しようとチェックしたところ、この9日に限り指定席が満席だった。前後を含めて他の日、あるいは9日の他の時間帯だと空席が目立っていたが、この列車に限って何か理由があるのだろうか。そのため、さらに課金して「秋の乗り放題きっぷ」の貯金を取り崩すのだが、期せずしてグリーン車を確保することになった。まあ、特急のグリーン車に乗る機会はほとんどないのでいいだろう。
発車直前にゆっくりと入線。写真撮影の塊ができ、その中をグリーン車に進む。
「鉄道唱歌」のオルゴール音とともに、まずは直線区間の多い山陽線を走る。端の席に座っているためか、グリーン車といえども結構揺れる。テーブルの上に置いた飲み物の缶が倒れないかと常に手を添えておく必要がある。
倉敷を発車。ふと、隣接した水島臨海鉄道の倉敷市駅ホームを見ると結構多くの人が列車を待っている。そこに入線してきたのは、かつての国鉄型であるキハ37首都圏色+キハ30八高線色の2両編成である。何かイベントでもあるのかと調べると、10月9日は終日、水島臨海鉄道の「全線無料デー」とのことだった。水島地区でイベントがあり、周辺の渋滞緩和の一環として臨海鉄道もフリーに、そして応援として旧型車両もお目見えとなったようだ。
伯備線に入り、高梁川に沿って走る。今後はカーブも増えるところで、車両が振り子の傾きを見せるのもわかる。終点出雲市まで3時間ほどのうち、今回はその3分の1、約1時間を新見まで過ごす。車内では昼食として、サワラ、ママカリ、黄ニラという岡山名物がネタの握り寿司のセット。途中では車掌により特急「やくも」の歴史や、旧国鉄色に塗装されたことの案内放送もある。
12時07分、新見に到着。数人の客とともにここで下車する。改めて旧国鉄色を先頭部から眺め、出発を見送る。乗っている分にはどの編成も同じような内装なので外の塗装は関係ないが、やはり外から眺めるとこちらのほうが絵になるし、旧国鉄の列車に乗って来た!とイメージを膨らませることができる。そんな列車だからか、「やくも」旧国鉄色の撮影をめぐって、沿線でも撮り鉄の迷惑行為がたびたび報じられるようだが・・(この線区に限ったことではないだろうが)。
いったん改札を出る。駅前の観光管内所にて、千屋牛、いのししのレトルトカレーを土産として購入する。
ちょうどこの時間帯は、新見から姫新線の12時51分発津山行き、そして芸備線の13時02分発備後落合行きが相次いで発車する。特に後者は芸備線の超閑散区間(日中は実質1往復のみ)を行く列車ということで、やはり「秋の乗り放題パス」を使って乗車しようという客が多い。列車が入る前から乗車口に列ができていて、入線するとロングシートもあらかた埋まるくらいの混み具合となった。そこに、倉敷方面から12時46分着の鈍行が到着して、さらにそれなりの数の乗客がこちらのホームに来て芸備線に乗り継いだ。立ち客も出たようである。