まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第12回九州西国霊場めぐり~西九州新幹線と大村線で佐世保へ

2022年10月01日 | 九州西国霊場

9月24日、九州西国霊場めぐりのメインである。今回の目的地は佐世保にある第27番・清岩寺、そして唐津にある第28番・常安禅寺である。札所めぐりのコマは前回長崎まで来ており、ここから北上するコースとなる。今回で長崎、佐賀の両県が一気に終わりとなり、舞台は最終版、福岡県の筑前国エリアに移ることになる。

まずは長崎から佐世保に向かう。長崎から佐世保への鉄道は大村線経由である。同じ長崎県内の移動だが、およそ2時間かかる。途中大村湾の海岸線に沿って走ることもあるが、長崎県も結構広いものである。当時とは車両ががらりと変わっているが、久しぶりの乗車が楽しみである。

その一方、せっかくなのでもう一度西九州新幹線にも乗ってみたいと思った。ただ武雄温泉まで行ってしまうと大村湾の景色は見えないので、西九州新幹線で新たに開業した新大村まで乗り、駅前を一瞥した後で大村線に乗り継ぐことにした。

24日は朝から好天である。宿泊した東横イン長崎駅前にて、まずは簡易朝食。ロビーには多くの宿泊客がいて料理を取る列も伸びている。荷物の中に大きなカメラがある客もちらほらいて、新幹線の撮影に来たのかなと想像する。

長崎駅に向かう。九州西国霊場めぐりで長崎市内は前回訪ねたことになっており、今回は一献と宿泊のみで後にする。

乗るのは7時45分発の「かもめ8号」博多行き。新幹線の車両が走るのは武雄温泉までで、博多へは「リレーかもめ8号」に乗り継ぐわけだが、何度も触れるようにあくまで「一つの列車」の扱いである。長崎駅のホームでも、「かもめ博多行き」というのが強調されている。前にも書いたが、在来線区間の沿線事故やトラブル等で「リレーかもめ」が運休となると、新幹線区間も運休してしまうという路線である。

当初は予定していなかった2回目の新幹線乗車だが、朝の時間帯だし、始発駅からということで自由席に乗ってみることにした。乗車口には列ができているが問題なく着席できるくらいの人数である。

自由席は2列-3列の通常のタイプ。シートが黄色というのが独特のセンスである。シートの快適さは指定席が断然上だが、武雄温泉まで30分の乗車と割り切れば、自由席でも十分快適に移動できるのではないか。

時刻となり発車する。ホームを出てすぐ、坂に広がる街並みを見たかと思うとトンネルに入る。このまま、長いトンネルが連続して一気に諫早に向かう。諫早まではわずか9分。

次の新大村へは諫早からわずか5分で到着。加速したかと思うとすぐに減速する感じである。何だか、新型車両の性能を持て余すかのようだ。私は長崎からの合計15分ほどの乗車で下車するが、驚いたことに、先ほど諫早から自由席車両に乗って来たばかりなのに、新大村で下車する人が複数いる。おそらく、その筋の人だろう。

ホームに降り立ち、出発する「かもめ8号」を見送る。

次の大村線は8時11分発の佐世保行き。「かもめ8号」との接続時間は10分ほどだが、この駅に関してはそれだけあれば十分だった。大村線の新大村駅じたいが西九州新幹線に合わせて開業した新駅で、スマホの地図にも23日になって突然表示されたところである。

それでも駅前広場では開業イベントの準備中で、地元の人たちも集まっていた。この新大村だが、開業にともないあることでその筋からは注目された。それは、稚内を起点とするJRの「最長片道きっぷ」の終点駅が肥前山口(現・江北)から新大村に変わったことである。かつて、1978年に宮脇俊三が「最長片道切符の旅」でたどった時と比べればローカル線を中心に大きくキロ数は減っているが、またこうした旅が注目される機会にもなったようだ。

さて、在来線である大村線の新大村だが、新幹線の高架下に寄り添うようにホーム1本だけ設けられた駅である。ホームへの上り口にはICカードの読み取り機はあるものの、利用可能区間は次の竹松までで、その先に行くにはあらかじめきっぷを買うか、整理券を取っての精算が必要である。せめて長崎からハウステンボス、佐世保くらいはICカードが使えたほうがよさそうに思うのだが。

やって来たのはYC1系というハイブリッド気動車である。これまでのキハ47やキハ66・67のような「いかにも気動車」という外観と比べるとスマートで、なるほど、こういう車両だとつい「電車」と呼んでしまうだろうなと思う。ディーゼル・エレクトリック方式と蓄電池の併用ということで、これからの非電化区間はこうした車両が中心となるのかなと思う。なお、「YC」とは何の略かというと「やさしくて 力持ち」のローマ字の頭文字である。なお、この列車の始発は長崎で6時35分発。「かもめ8号」の長崎発が7時45分だったから、新幹線と長与回りの鈍行の差というのは十分感じられた。

車内はロングシートで、長崎側の車両の中央部にはバリアフリー対応のトイレが備え付けられている。その反対側は座席がないスペースだ。

大村車両基地駅を過ぎる。こちらも西九州新幹線開業に合わせて開業した駅で、そのまんまの駅名である。西九州新幹線の大村車両基地は「かもめの巣」という愛称があるそうで、駅で降りて車両基地の外観を見に行こうという人らしき姿が見える。

新幹線の高架橋と別れ、松原を過ぎると大村湾沿いの区間である。

ロングシートの席に座っていたのでは景色が見にくいので、あえて席を立ってドアの窓から景色を楽しむ。実に穏やかな水面が広がる。

その途中の千綿に停車する。ドアのすぐ下が海である。日本全国に「海の見える駅」、「海に近い駅」があるが、千綿はその中でも上位に入るくらいの景色と言われている。今回下車しなかったが、駅舎も昔の面影を残して改築された木造のもので、わざわざ訪ねてくる人も多いそうだ。

棚田の景色が紹介される彼杵に到着。

そういえば、西九州新幹線の開業に合わせて誕生したもう一つの観光列車がある。「ふたつ星4047」という列車で、武雄温泉~長崎間の往復で長崎の海を楽しむことができる。午前の往路では有明海、そして午後の復路では大村湾。1日何本も走る新幹線よりも「ふたつ星4047」のほうが指定席の入手が困難なようで、もちろん今回の九州行きでは乗ることはなかった。

ハウステンボスに到着。観光客らしい客も多く乗って来る。先日、旅行会社のHISが、自ら保有するハウステンボスの全株式を香港の投資会社に売却することが発表された。コロナ禍で業績が悪化したHISが経営立て直しのためにとった策だが、売却先が中国系ということで波紋も広がっている。ハウステンボスのテーマパーク事業はそのまま継続されるそうだが・・・。

佐世保線と合流する早岐に到着。江北方面からの列車待ちのために数分停車する。先ほど到着する時に珍しい車両を見かけたのでのぞきに行く。同じく観光列車の「或る列車」である。本来なら久大線経由で博多~由布院間を走る列車だが、先日の台風14号の影響で久大線の豊後森~由布院間が運休となっており、ここに避難しているようである。

佐世保線の列車からの乗り継ぎ客も加え、そのまま佐世保市内に入る。9時20分、高架の佐世保に到着する。

コインロッカーに荷物を預け、いったん駅前に広がる佐世保の港の景色をのぞいた後、目指すのは九州西国第27番・清岩寺である・・・。

コメント