9月24日、この旅2泊目の伊万里に到着。今利益はかつて松浦鉄道とJR筑肥線が同じ構内で乗り換えとなっていたが、周辺の再開発で道路建設等もあり、それぞれが終着駅として分断され、現在の造りになっている。一応、道路をまたぐ連絡通路で結ばれているが・・。
駅周辺の歩道にはオブジェとして伊万里焼が並ぶ。先ほど有田にてさまざまな有田焼の作品を見てきたが、隣接する伊万里焼とはどこがどう違うのだろうかと思う。現在は作られた土地の名前が冠せられているが、江戸時代では、有田で焼かれた磁器も伊万里の港から運ばれたことから伊万里焼という名前で普及したという。「古伊万里」という呼び方もあるが、それは江戸時代に伊万里から運ばれた有田焼のことを指すそうだ(他にも見方はいろいろあるそうだが)。
この日の宿泊は、駅から7~8分歩いたところの「ビジネスホテル新天」。伊万里には他にもホテルは数軒あるようだが、プランニングの時点で空いていたのがこちらである。
駅から南に向いて歩くとホテルの建物と看板が見えてきたが、これはホテルというよりワンルームマンションのようだ。
そして敷地に行ってみると、「株式会社伸建設工業」とある。玄関前には創業者とおぼしき人の胸像と社訓が書かれた石碑が建つ。こちらから入ると完全に会社の建物である。「ビジネスホテル新天」のフロント入口は会社玄関の奥にある。ホテルじたい、この伸建設工業が経営しているそうだ。
チェックインの後、部屋に上がる。外玄関の造りで、扉を開けると中はやはりワンルームマンションだった。リビングも広く、クローゼットも1間の幅がある。
他にもバス、トイレ、洗面台がそれぞれ独立しているし、ミニキッチンもある。さすがに洗濯は共同のコインロッカーで行うようだが・・。ひょっとしたら、元々建設会社の寮だったのをホテルにリニューアルしたとか、あるいは一部の部屋には実際に社員が住み込んでいるとかいうことがあるのかな。
この日は伊万里の町で一献とはせず、駅から来る途中にあったマックスバリュにてさまざまな食材、酒を買い込んで部屋でゆっくりする。大相撲中継を見た後、バスルームが独立しているのでバスタブに湯を張ってドブンと浸かる。
大手のスーパーだと刺身がお買い得なことがあり、この時は2パックより取りで500円というのがあった。そこで選択したのが長崎沖のカツオ、そしてサバの刺身。しめサバではなく刺身というのが産地に近いところならではである。
焼き物はレンコ鯛の塩焼き。小ぶりだが身が詰まっていて食べ応えがあった。
佐賀の酒の冷酒、その名も「古伊萬里」も含めて、あれこれ飲み食いした。すぐに横になることができるのも部屋飲みならではだ。なお、先ほど有田駅で購入した「有田焼カレー」の出番はなく、マックスバリュで購入した寿司に軍配。
さて翌朝、1階のレストランは6時から開いており早めの朝食とする。レストランというよりは寮の賄いといった雰囲気である。
最終日(9月25日)は唐津の北波多地区にある第28番の常安禅寺を訪ねる。伊万里と唐津の間には路線バスが出ており、常安禅寺もバス停の近くにある。そのため、伊万里からバスで向かい、途中下車して次の便に乗れば唐津にもスムーズに移動できるが、同じ唐津に行くのなら久しぶりにJR筑肥線にも乗ってみたい。
ただ、筑肥線で唐津に行った後に常安禅寺までバスに乗るとすると、ダイヤが合わない。日中の時間帯、唐津から向かうのに手頃だなと思った便が土日祝運休だったり、行きは良くても折り返しの便が土日祝運休だったりで、現地で2時間ほど滞在を余儀なくされる。寺の周囲を見ても他にこれというスポットもない。ということで、唐津まで筑肥線で行った後はレンタカーを利用することに。常安禅寺だけだとすぐに終わってしまうが、せっかくなので唐津近辺のスポットを他に回ることにする。
松浦鉄道と道路を挟んで反対側のJR伊万里駅に着く。伊万里焼に交じってある銅像が立っている。森永製菓の創業者で伊万里出身の森永太一郎である。手にしているのはミルクキャラメルの箱。
松浦鉄道の伊万里駅は有田、佐世保の両方向に向かうターミナルの役割があるが、これから乗る筑肥線は行き止まり式のホーム1本だけである。乗車するのは7時40分発の唐津行きで、この便の次は11時05分までない。筑肥線の唐津~伊万里間じたい1日8往復しかない。
2両編成の黄色いキハ125が2両でやって来る。平日なら通学利用もそこそこあるのだろう。その車両には「ロマンシング佐賀」というロゴとキャラクターがデザインされている。これは、ロールプレイングゲームソフトの「ロマンシングサガ」のもので、佐賀県の観光名所もあしらったコラボ企画だという。