まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

サイコ未亡人の闇友活

2019-12-25 | イギリス、アイルランド映画
 メリークリスマス!
 楽しく華やかな聖夜って感じは、私の周囲ではまったくしませんいつも通り、バタバタと素っ気なく味気なく一日が終わろうとしています。皆さまはハッピークリスマスだったことでしょうか。サンタクロースよりもインフルエンザが来そうな寒い夜、元気にお正月を迎えるために何卒ご自愛ください(^^♪もうすぐ今年も終わり…

 「グレタ GRETA」
 ニューヨークの高級レストランで働くフランシスは、仕事帰りの地下鉄でバッグを拾い、落とし主である未亡人グレタに届ける。グレタの孤独な境遇に同情し、彼女と親交を深めるフランシスだったが、やがてグレタの恐るべき秘密と狂気を知ることに…
 やっと観ることができました~(^^♪イザベル・ユペール、期待通りのイカレっぷりでした!彼女はやっぱ、こーでなきゃね!還暦を過ぎた大物女優が、まったく守りに入らず過激に軽やかに攻め続けている。もう畏怖と敬服あるのみです。好感と共感ばかり欲しがってるような役や演技しかできない女優なんか、ほんとつまんない。媚や無難とは無縁、常に人々を唖然とさせ戦慄させ、そして魅了し笑わせてくれるなんて、世界広しといえどイザベル・ユペールだけです。

 「Violette Nozière」や「沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇」「ピアニスト」そして「エル ELLE」etc.冷酷で性悪、不可解で不道徳で変態な女たち。フツーなら映画のヒロインになどなりえない狂女や凶女を、強烈で魅惑的なヒロインにしてしまう唯一無二の女優イサベル・ユペール。今回のグレタ役も、彼女でなければありがちなB級映画の異常者になっていたことでしょう。イザベル・ユペールの素晴らしすぎる独特さは、激ヤバな役をすご~く軽やかに楽しそうに演じてるところ。決して深刻に重苦しく大熱演なんかしないんです。おぞましい奇行や凶行も、常にシレっとスットボケてる。これってもうイザベル・ユペールの専売特許になってます。

 これまでのトンデモヒロイン同様、グレタもやることなすことイっちゃっててヤバすぎるのですが、これまで同様明らかに笑いを狙ってやってる確信犯的なイビツさ過激さに、ユペりんファンならニヤリ。笑えるシーンや演技はたくさんあるのですが、レストランの前に一日中地蔵のように立ってる姿や、フランシスに向かってチューイングガムを吐き飛ばしたり、エリカを尾行して画像をフランシスに送りつける時にエリカに見つからないよう素早くピョコっと隠れる敏捷さ、そしてレストランに客として押しかけテーブルをひっくり返すという星一徹も真っ青なプッツン行為、などインパクト強烈。踊りながら探偵の首に注射をブスっと射したり、フランシスへの鬼のようなピアノレッスン強制もイカレてて笑えたわ~。隠し部屋や恐怖のお仕置きボックスなど、グレタの家も狂ってて笑えた。

 軽やかで毒々しいユーモア、そしてヨーロッパの香り高いエレガンスも、ハリウッドのどんな美しく演技の巧い大物女優にもないユペりんの魅力です。彼女もすっかりおばあさんになりましたが、軽妙で毅然としてるので老いさらばえた感は微塵もありません。グレタのフェミニンで上品なファッションも素敵でした。フランシスとエリカもファッション、そしてシェアしてる部屋もオシャレだった。

 フランシス役のクロエ・グレース・モレッツは、すごいぽっちゃり顔とがっちりガタイ。ガリガリに痩せた女優よりも好き。石原さとみを素朴に強靭にした感じに見えた。すごく強そうなので、小柄で華奢な老女グレタなんか簡単に撃退できそうだったけど、見た目と違って心は弱いので騙されたり利用されたりして痛い目に遭うフランシスみたいな子もいますよね~。落とし物を届けに落とし主の家に直接出向くなんて、フツーなら絶対しませんし。純粋すぎ、お人よしすぎるのもいかがなものかです。フランシスの親友エリカが、すごくチャーミングなキャラでした。一見チャラいパリピ娘だけど、言動が男前でカッコいい。友情に厚く、ラストはヒロインを救い出すヒーローのような大活躍!演じてるマイカ・モンローの好演も特筆ものです。グレタ、フランシス、エリカの絡みや関係性に、うっすらとレズっぽいものを感じたのは私だけでしょうか。みんな男っけ全然なかったもんね。

 かなり穴だらけな脚本といい、決して秀作でも佳作でもないけど、私はこういう笑えるイカレ映画、そして女優が好演してる映画、大好きです。ニール・ジョーダン監督の作品なのですが、ジョーダン監督といえば傑作「クライング・ゲーム」以外は駄作凡作が多い一発屋?ジョーダン監督作の常連、スティーヴン・レイが探偵役でチョコっと出演してます。ニューヨークの風景がとても美しく撮れていて、どことなくジョーダン監督といえばのアイルランドの匂いがしました。

 ↑こういうのが似合う女優って、彼女以外思いつかんわ~
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パリのイケメン掏摸

2019-11-28 | イギリス、アイルランド映画
 「フレンチ・ラン」
 パリで逃亡生活を送っていたスリのマイケルは、盗んで捨てたカバンの中に仕掛けられていた時限爆弾が爆発し死傷者が出たため、テロリストとしてCIA捜査官のブライアーに身柄を確保される。無実を訴えるマイケルにブライアーは、事件の捜査協力を強制するが…
 「ボディガード 守るべきもの」でMY イケメンレーダーを激しくビビビとさせたリチャード・マッデン出演作、ということで観ました~。リチャマ、やっぱいい男ほどよく濃ゆい男くささがいいですね~。カッコいいんだけどカッコつけてなくて、男前で有能なのに全然イケイケじゃないところが「ボディガード」と同じ。すごく悲しそうな不幸顔。クールにスマートなヒーローよりも、よってたかって非道い目に遭って満身創痍な男の役が似合います。

 今回もリチャマ、テロ事件の犯人にされたり、怖い捜査官に追っかけられたりボコられたり、さんざんな目に遭いまくってます。でもすごいイケメン!あんなイケメン、どこにいても目立つのでお尋ね者生活は無理!カフェで煙草吸ってるだけなのに、周囲とは違う雰囲気を醸してるもん。容姿と才能をひけらかしていいとこどりしてる幸せな男よりも、美点が災いになってるような不器用で不幸な男のほうに、私は興味をかき立てられ魅力を感じます。

 不幸イケメンなリチャマ。大人の男っぽいけど、よく見ると若い。肌とかツヤツヤ。大学生の役もまだできそう。子どもっぽいけどよく見たら老けてる嵐とは真逆ですね。リチャマと嵐が同世代ってのが驚きです。可哀想でカッコカワいいリチャマですが、激しいアクションとか死闘などは主役のイドリス・エルバが担当しており、わりとおとなしいのがちょっと物足りません。でも、パワフルで俺様なイドリスに守られながら、おどおどしたり素直に従ったりするリチャマが可愛い!巨漢のイドリスと並ぶと、すごく小柄に見えるリチャマもキュートでした。何でも手際よく頂戴するマイケルのスリの技、まさに神業!褒められたものではないにも関わらず、すごい才能だと感嘆。

 ♂フェロモンむんむんなリチャマなので、性的なシーンが全然ないのはかなり残念。女がダメなら男と!なんて腐の期待も、熟年マッチョのイドリスともBLの気配は微塵もなしで裏切られます。見た目からして親分と子分な二人だったので、もうちょっと年が近い違うタイプのイケメン同士だったらな~。でもまあ、相手が魁夷なコワモテおじさんだから従ったけど、同世代のイケメンだったらマイケルは絶対言いなりにはならなかったでしょうから、必然性のある組み合わせではありました。

 ブライアー役は「ワイルド・スピード スーパーコンボ」の悪役も記憶に新しいイドリス・エルバ。彼もカッコいい!ほんと強そうで頼りになる漢(おとこ)。ぜったい大丈夫、負けるわけがないな無敵感、安心感がハンパなくて、ピンチシーンになっても全然ハラハラもドキドキもしませんでしたゴツい風貌、荒っぽい演技の中にも、ハリウッドのアクションスターにはないスマートで洗練されたものが感じられるイドルス、さすがブリティッシュ俳優。英国俳優のイドリスとリチャマをアメリカ人役で起用、というのが謎です。テロに利用される女の役は、「イヴ・サンローラン」などのフランス女優シャルロット・ルボン。いしだあゆみ+ウィノナ・ライダー、みたいな顔です。凱旋門やエッフェル塔など有名な観光地だけでなく、移民が多いゴミゴミした区域など、パリの風景も目に楽しかったです。

 すっかりmy heartthrobになったリチャマ。いい男!不幸そうな顔がたまらん!

 ↑ キット・ハリントンとゲーム・オブ・スローンズに続いて共演したアメコミ映画“Eternals”の日本公開が待ち遠しい!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロンドン探偵物語

2019-10-11 | イギリス、アイルランド映画
 「シティ・オブ・タイニー・ライツ」
 ロンドンの裏町で小さな興信所を営むトミーは、失踪したロシア人娼婦の行方をつきとめる依頼を受ける。調査の最中に娼婦の常連客だった男の他殺死体をホテルで発見したトミーは、やがて土地開発をめぐる陰謀や宗教団体の不穏な動きに行き当たるが…
 最近ハリウッドの大作に立て続けに出演し、知名度もじわじわ上がってきてるイギリス俳優のリズ・アーメッド主演作です。出ずっぱり、バリバリの主役な彼を見たのは初めて。会うたびに美男になっていってるような気がします。彼を初めて知った「ナイトクローラー」では、フツーのインド系青年としか認識しなかった、ほぼ気にもとめなかったのですが、「ジェイソン・ボーン」の彼にはイケメンレーダーがビビビと反応。ナイトクローラーの青年と同一人物と知って驚いた記憶が。「ヴェノム」の彼も洗練された美男だった。男優も女優同様、売れるとあか抜けますよね~。

 この映画のリズは、下層階級の移民でショボい仕事で食いつないでる3流探偵役なのですが、全然うらぶれ感とか荒んだ雰囲気とかがなく、ちょっと愁いがあって粗野だけど、どちらかといえば爽やかな優しい好青年って感じ。ハードボイルドな探偵役には、ちょっとイケメンすぎるかなとも。インド系移民の役といえば、白人や金持ちから怪しまれたり冷たくされたりするのがパターンなのですが、聞きこみするリズを誰も邪険にしたり無視したりしないんですよ。イケメンってやっぱ得!

 まだ若いせいもあるけど、一匹狼的な哀愁とかニヒルさは希薄。でも、雨の中で煙草を吸う姿とか、すごくフォトジェニックな美しい佇まい。インドに行ったことがあるM子にリズの画像を見せて訊いてみたのですが、こんなイケメン全然見なかった!と即答されました。インドだろうがイギリスだろうが、やっぱそんじょそこらにはいないイケメンなんですね。今回も思ったけど、リズってピエール・ニネに似てる!超小顔(坊主頭なので余計に小さく見えた)と大きな美しい瞳、優しそうな雰囲気など、ニネっちとカブる部分が多い。でもリズは意外と小柄?そういうところも、無駄な威圧感がなくて親近感。

 イギリスでは犬も歩けば棒ではなくスパイとテロに当たる。今回も事件の裏にその二つの影が浮かび上がってくるのですが、実は…な真実。スパイとテロを無理やりミスリードに使った感じがしないでもなかったけど、ロンドンを舞台にした犯罪ドラマにはもはやお約束、イギリスならではの魅力にもなってます。ロンドンが舞台といっても、観光名所にもなってる有名な場所はほとんど出てこず、生活感たっぷりな庶民の家とか店とか、イギリスといえばの貴族や名家とは真逆な底辺社会が主な舞台となっています。「マイ・ビューティフル・ランドレット」の頃から変わってない、人種や宗教の問題で物騒、不穏なロンドン。やっぱ住むのは怖いな~。

 事件の謎と並行して、トミーの少年時代の話も挿入されるのですが。あまり必然性を感じなかった。初恋の女とのロマンスとかも、かなり取ってつけたかのようだった。ヒロインとは呼び難いほど、見た目はニューハーフでキャラはビッチな女だったのも残念。トミーがどんな経緯で探偵になったのかが、全然説明がなかったのも気になった。

 ↑ 新作の“Sound of Metal”では、肉体改造して熱演してると評判!早く観たい!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ひざまずくのは貴女よ

2019-09-29 | イギリス、アイルランド映画
 「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」
 18歳で未亡人となり、嫁ぎ先のフランスから故郷に戻ったスコットランドの女王メアリーは、従姉であるエリザベス女王に親愛を示しながらも、イギリスの王位継承権を主張。エリザベスはメアリーへの警戒心と情愛の間で苦悩するが…
 劇場に観に行きたかったのに行けなかった作品を、ようやくDVDで。時代劇大好き、特にイギリス王室ものは大好物!血で血を洗う骨肉の権力争い、複雑で愛憎にまみれたロイヤル人間関係は、凡庸な平民の私からするとファンタジー以上の別世界。美しい非日常にいざなってくれます。英国王室には映画やドラマにうってつけの史実が豊富ですが、中でも最も有名かもしれないのはエリザベス女王とメアリー・スチュワートの悲劇的な対立でしょうか。「女王陛下のお気に入り」のアン女王もでしたが、栄光と栄華の代償は人間として女としての幸せ。それを剥奪され、常に奈落の底に落ちそうな崖っぷちを歩いている不安と恐怖を味わい尽くさねばならない不幸な人生で、ちっとも羨ましくありません。凡庸な平民でよかった!と心の底から安堵します。

 イギリス王室ものといえば、負ければ問答無用に斬首の権力争いなのですが、この映画は私が好きな血なまぐさい陰謀劇ではなく、エリザベスとメアリーという二人の対照的な女性の、それぞれの女ならではの感情や苦悩、悲しみがメインテーマになっていました。現代の女性とカブる部分も多々ある描き方をされているので、それ私もあるある~と共感できるのはいいのですが、そういうのって私はちょっと苦手なんですよね~。日本の大河ドラマじゃあるまいし、女子受けを狙ったスウィーツさやライトなフェミニズムではなく、もっとシビアでハードな政争が見たかったです。

 エリザベスもメアリーも、女王なのにいるいるこんな女~なキャラでした。エリザベスはコンプレックスの塊で、自信のなさと不安で欝々としてるけどギスギスと強がってるメンヘラ女。あの時代、よい精神科医いなかったのでしょうか。ウジウジとメアリー処断を迷う姿にイラっとしました。自分よりすべてにおいて上な女は、不愉快だけど憧れるので仲良くしたい…そんな悩める女子高生みたいでした。

 一方のメアリーは、魅力的だけど人に愛される魅力ではなく、自分だけ輝ければいい的な身勝手な魅力。エリザベスと仲良くしようとしてたけど、あれって美人がブスを手なずけて自分の引き立て役にしようとするのに近いアプローチ。かなりKYで、結婚や出産といった自分の幸せアピールに、未婚のオールドミスであるエリザベスがどれほど複雑な気持ちになるかなんてまったく忖度なしな無神経さに、エリザベスじゃなくてもイラっ。最初で最後の対面シーンでは、はっきり言ってましたもんね~。私のほうがあんたより上!と。自尊心は誰よりも強いけど、女王としては無能。常に相手より優位に立つことに固執するあまり自滅する、愚かなマウンティング女みたいでした。

 感情的で狭量。これだから女ってダメなんだよ…そんなトホホ女王たちでした。誇り高い=自分の我を通す、我慢するぐらいなら周囲を巻きこんで自爆、じゃないと思うのだけど。宮廷劇としてはイマイチでしたが、ガール映画としては面白かったです。善い女よりヤな女のほうが見ていて面白いもんね。二人の女王を熱演したのは、同じ年に違う映画でそれぞれアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされた旬の女優、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビー。シアーシャを見たのは、彼女が少女の時にオスカー候補になった「つぐない」以来久々。まだ少女っぽい透明感は残ってますが、ムチムチした体つきとかはもう熟女みたい。シアーシャからは何となくですが、ジョディ・フォスターやシャーリーズ・セロンみたいな男まさり、男嫌いのにおいがするのは私だけでしょうか。
 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でのチャーミングな好演も記憶に新しいマーゴット、なぜアメリカ女優の彼女がエリザベス女王役?と思ってましたが、なかなか堂に入った女王ぶりでした。美貌とともに女であることもかなぐり捨てて、どんどんバケモノみたいな面相になっていくのが怖かったです。白塗りメイクと赤毛、まるで昔のマクドナルドのマスコットキャラだったピエロみたいで笑えましたが。

 メアリーの二番目の夫となる貴族の青年ヘンリー役は、最近お気にの英国男子ジャック・ロウデン。この映画の彼もすごくカッコカワイかったです!優しそうで背が高くて、スラっとした長身に貴族の衣装が似合ってました。でも役は、とんでもないクズ男、情けないダメ男!メアリーをロマンティックに口説いて結婚したかと思いきや、すぐに本性を現すんですよ。軽薄で節操のないヤリチン、しかも相手は女ではなく男!BLキター!つっても、男同士のラブシーンなどはなし。ヘタレで無能なくせに欲張りで、メアリーほんと男運がないというか男を見る目がないというか。まあ、気が強い賢女にかぎって、ダメ男にハマっちゃうってことよくあるみたいですが。取柄はイケメンなことだけという最低な亭主だけど、ロウデンくんが可愛いので何か憎めないキャラになってました。

 もう一人、注目のイケメンが。エリザベスの恋人ロバート・ダドリー役は、「女王陛下のお気に入り」にも出ていたジョー・アルウィン。柔和なロウデンくんとは逆に、目つきが鋭く悪賢そう。ダークな貴公子として悪だくみするわけでもなく、いてもいなくてもいいような存在だったのが残念。エリザベスの側近セシル役は、大好きなガイ・ピアース。枯れたシブい熟年になりましたけど、まだまだ女っけのある役もイケそう。
 時代劇といえば、やはり楽しみなのが衣装とかセット。イギリスは質実剛健というか、華美ではなく派手でもないところが好きです。スコットランドの荒涼としつつも美しい自然にも魅了されます。スコットランドにもまた行きたいな~。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ディナイアルの女!

2019-09-08 | イギリス、アイルランド映画
 「否定と肯定」
 アメリカのホロコースト研究者リップシュタット教授は、ナチス研究者のアーヴィングから名誉を棄損されたとイギリスで告訴される。リップシュタット教授と彼女の弁護団は、アーヴィングの著書や主張が誤っていることを法廷で立証しようとするが…
 ナチスを断罪する世紀の大裁判かと思いきや、荒唐無稽なトンデモ思想おじさんに因縁つけられたプライドの高い女教授が、自分こそが正しい!と必死になっておじさんを叩き潰そうとするだけの小さい話でした。そもそもホロコーストなどなかった!ユダヤ人虐殺などナンセンス!という説がトンデモすぎて、よく一笑に付されなかったなあ、こんなのが大真面目に扱われるなんて、と驚かされました。日本人に向かって広島に原爆は落とされなかった!と言ってるようなもんですし。とはいえ、ユダヤ人にとってはタワゴトとして笑って無視できない、被害者を愚弄し軽視するにもほどがある暴言・暴挙。理性的に論破するというより、怒りにかられての反撃みたいな裁判でした。

 最初っから相手は頭のおかしい危険なネオナチで、こんな説が認められるわけがないと分かっているので、裁判の行方や勝敗がどうなるかハラハラ、なスリリングさが全然なくて予想通りすぎる展開と結末は、映画としてはちょっと物足りませんでした。え?ほんとはホロコーストはなかった?!と、少しは観客に疑念を抱かせ胸がザワつく内容にしてほしかったかも。ネオナチなんてまったくもって理解不可能で、キ〇ガイとしか思えない連中ですが、この映画は正しいはずの女教授と弁護士団のほうが、歴史を歪曲してるアーヴィング氏よりも何だか感じが悪くて不快でした。

 アーヴィング氏はもうトンデモすぎて、UFOやUMAがいると大真面目に唱えてる変人みたいで失笑するだけでしたが、女教授と弁護士はインテリ特有の上から目線な自信と高慢さが鼻もちならなかった。法廷でのアーヴィング氏へ向ける冷ややかな蔑み、嫌悪の目線や素振りが感じ悪かった。氏への攻撃も、トンデモ説よりもだんだん氏自身の人格否定になっていって、氏のほうが名誉を棄損されまくって哀れだった。もしアーヴィング氏が文在寅みたいな見た目とキャラだったら、ざまあ!と少しは溜飲がさがったかもしれません。おかしなネオナチ発言してる時以外のアーヴィング氏は、トボけた感じの人の善さげなおじさんだったし、法廷では弁護士もおらず孤軍奮闘、孤立無援だったので、何だか弱い者いじめに見えてしまった。
 この映画を観たのは、最近気になる英国イケメン、ジャック・ロウデンが出演してるからです(^^♪

 若手弁護士役のロウデンくん、メガネ男子で可愛い!誰といても頭ひとつ高いスラっとした長身にスーツやコートがよく似合って、ブリティッシュの香り高い優しさと品のよさ。画面にはよく映るのですが、台詞はほとんどなくモブに近い役です。でも可愛いので目立ってます。小さくて地味な役でも目を惹く、役者はやっぱこれが大事です。

 ヒロインのリップシュタット教授役は、「ナイロビの蜂」でオスカーを受賞し、今年は「女王陛下のお気に入り」でも強い印象を残したレイチェル・ワイズ。精神力と行動力がある気が強いインテリ女の役が似合う女優ですね~。ギスギスカリカリした役でもそんな感じを与えず、颯爽としつつフェミニンな魅力も備えたハンサムウーマン(死語)なカッコよさが、さすが英国女優です。その英国女優の彼女が、イギリスの司法や国民性に当惑したりイラついたりするアメリカ人女性の役とか、何で?アメリカ女優じゃダメだったのかしらん?

 アーヴィング氏役は、英国の名バイプレイヤーのティモシー・スポール。大真面目にトボけた感じで何か憎めない不思議おじさんを珍演してます。狂気的な信条の持ち主というより、お騒がせキャラ、注目され目立つことが目的なのかなと、うっすら思わせるセコさもなかなか珍妙。そういう演技ができる俳優も貴重ですよね~。弁護士役のトム・ウィルキンソンも味わいあるいぶし銀の存在感。英国のいい役者たちのいい演技、そしてロンドンの街並み、いかめしくも美しい裁判所の外観と内装も、英国映画ファンの目を楽しませてくれます。

 ↑ 「ファイティング・ファミリー」(プロデューサーはドウェイン・ジョンソン!)が11月日本公開のロウデンくん。何とレスラー役!似合わねぇ~!けど、きっとそれがまた可愛いに違いないので早く観たい!
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自虐と栄光のYOUR SONG

2019-09-04 | イギリス、アイルランド映画
 「ロケットマン」 
 少年レジーは両親に愛されずに育ったが、音楽の才能には恵まれていた。ロックに傾倒しバンド活動を経て作曲家となったレジーは、作詞家のバーニーと組みエルトン・ジョンという芸名でソロ歌手としてデビュー。「僕の歌は君の歌」が大ヒットし、アメリカでの公演も大成功を収め瞬く間にスターとなるエルトンだったが…
 フレディ・マーキュリーの次はエルトン・ジョンだ!大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディー」の2匹目のドジョウを狙ったかのような、英国レジェンド歌手の自伝映画。ガンガン使用される大ヒット曲と派手なライヴパフォーマンス再現、ピアノ、ゲイ、容姿へのコンプレックス、ジェットコースターな成功、悪い色男に惚れて食いものにされて信頼していた人たちと軋轢・断絶、クスリとアルコール、孤独と挫折、そして復活。ボヘミアンと内容も展開もほぼ同じです。でもテイストが全然違ってました。ボヘミアンは、かなり関係者に忖度してる感じの、NHKドラマ的いい人いい話な映画でしたが、ロケットマンのほうはまだご健勝のエルトンがよくOK出したな~エルトンの家族や関係者の許可よく得られたな~と驚くほどズバリ言うわよ!な告白&暴露映画でした。

 エルトンご自身がこの映画のプロデューサーと知り、驚くとともに納得も。ご自分の不幸でスキャンダラスな人生を、惜しげもなくネタとして差し出して映画ビジネスでもガッポリ儲ける。音楽の才能のみならず、商才にも恵まれてるエルトンは本当にスゴい人。壮絶な半生を可哀想な話、お涙ちょうだいな感動秘話にしてなかったことに好感。フツーの男女だと絶対に耐えられない絶望や失望、心身の痛みを笑いのネタにできる自虐とメンタルの強さを尊敬。とにかくエルトン姐さん、数本は映画が作れそうなほどネタ宝庫な人生です。

 その富と栄光、波乱万丈で破天荒で激しくて悲しくたくましい生きざま、同じ人間に生まれてもこれほどの差があるなんて。淡々と地味な我が人生を顧みてしまいますが、羨ましいとは思えないんですよね~。あんな人生、しんどすぎるわ。でも、音楽の才能には羨望。あんな風にピアノを弾けたり曲を作れたり、まさに神さまからのギフトです。

 フレディもですが、不幸な私生活は才能の代償だったのでしょうか。明らかにカネ目当てな男たちに騙され利用されるのも、金もってるオネエが避けて通れない道。マツコデラックスやイッコーさんも、同じような目に遭ってそう。もしバーニーがゲイだったら、エルトンも幸せで穏やかな人生を歩めたかもしれませんが、その代わりに数々の名曲も生まれなかったかもしれませんね。孤独でズタボロだったからこそ、多くの人に胸に響く歌を作れて歌えたんだろうな~。

 ボヘミアンとの決定的な違いは、この映画が完全にミュージカルだったことでしょうか。エルトンも他のキャラもみんな歌って踊って、感情や心情がエルトンの名曲に合わせて伝わる演出になってます。アメリカでの初ライヴシーンでエルトンも観客も宙に浮かんだり、コンサートシーンでエルトンがロケットになって飛んでったり、沈んだプールの底でエルトンがレジーと出会ったり、ファンタジックなシーン満載で目に楽しいです。私が特に好きなのは、少年から青年になったレジーが初めて現れる、遊園地での「土曜の夜は僕の生きがい」シーンです。ノリノリで心踊るウキウキ感!ここで主演のタロン・エガートンが登場するのですが…

 タロン、か、可愛い!キングスマン」シリーズの彼も好きですが、ここまで才ある役者だったとは!と、その入魂の熱演に瞠目。ボヘミアンのラミ・マレックと違って、タロンは全部自分で歌って、しかも踊ってるのが驚異。ラミよりタロンが劣っているとは思えません。タロンにもオスカーを!渾身の演技もですが、見た目もチョベリグ(死語)なタロン。

 キュートなメガネ男子!デブ&ハゲおやぢ化しても、可愛さは損なわれてないんです。ムチムチガッチリしたガタイがええわ~。歌って踊りながら着替えるシーンでは全裸も披露。容姿に自信がないブサイク設定にはちょっと無理がある。レオナルド・ディカプリオとクリス・プラットを足して二で割ったようなイケメンだし。雰囲気が男らしいしオネエっぽい言動もしないので、ゲイっぽさは希薄でした。

 男同士のラブシーンも頑張ってたタロン、エルトン姐さんにはまったく似てませんが、見ているうちにエルトンに見えてくるのが不思議。タロン起用は正解。非現実的なほどキレイな美男だと失笑するだけだし、エルトンそっくりなブサイクだと観る気起きないだろうし。トンデモ衣装も見事に着こなしてます。それにしてもエルトン、ステージ衣装もプライベートファッションも、唯一無二というか唯我独尊な趣味ですよね~。紅白に出て欲しい。美川憲一なんか敵じゃないセンスだし。バーニー役のジェイミー・ベルもすっかり大人になって、しかもちょっといい男にもなってました。バーニーとエルトンのブロマンスがビタースウィートでした。

 エルトンの恋人兼マネージャー、ジョン役のリチャード・マッデンが、濃厚な色男!こんな男が甘い言葉で近づいて来たら、エルトンじゃなくてもクラっとくるわな。もう出てきた瞬間からエルトン気を付けて!騙されないで!と観客のほうが警戒しちゃう怪しさですが、善人は本当の意味で色男になはれないんですよね~。悪くて危険な香りこそ色男の必須条件です。エルトンの骨までしゃぶる狡猾で不実な蛭野郎を好演した、TVドラマで人気のリチャード・マッデンの匂いたつ色気ときたら!わしも惚れたわ~ゲスいけど下品さがなく、スマートでダンディなところが素敵でした。

 ジョンもですが、エルトンの毒親も非道いんですよね~。あの無関心さと無神経さ、立派な精神的虐待です。ジョンもご両親も存命なの?訴えられたりしないのか心配。ボヘミアン同様、誰もが耳にしたことがある有名な曲がたくさん使用されてます。あ、これもエルトンの曲だったのか!な発見も、ボヘミアンの時と同じ。私が大好きな「ダニエル」が、チョコっとだけ歌ってすぐに暗い!とプロデューサーにダメ出しされてガクっクイーンもでしたが、エルトン・ジョンの熱烈なファンというわけではなく、存在は知ってるけど詳しくは…な私みたいな映画ファンのほうが、あれこれ細かいことが気にならなくて楽しめる作品かもしれません。

 ↑ タロンはもう一本、ロビン・フッドを演じた「フッド:ザ・ビギニング」が近日日本公開!ぜったい観に行く!「キングスマン ゴールデン・サークル」にゲスト出演したエルトンおばさん、タロンにロックオン!タロン逃げてー!

 ↑ 「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ボディガード」などTVシリーズで人気のリチャード・マッデン。い、いい男じゃの~今まで知らんかったなんて、迂闊じゃったわ。ベネディクト・カンバーバッチ共演の新作や、ゲーム・オブ・スローンズで共演したキット・ハリントンも出てるアメコミ映画もめっちゃ楽しみ!
 
 ↑ こんなイケメンが出とるゲーム・オブ・スローンズ、やっぱ観んといけんのお。長いドラマはでも苦手なんよのお~
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イケメン狩り

2019-08-02 | イギリス、アイルランド映画
 「最悪の選択」
 親友同士のヴォーンとマーカスは、狩猟を楽しむためにやって来た森の中で、誤って少年を射殺してしまう。逆上したその父親までも殺してしまい、発覚を恐れた二人は死体を埋めてアリバイを工作するが、やがて村人たちに疑われ始め…

 「ダンケルク」でMYイケメンレーダーをビビビとさせた注目の英国俳優、ジャック・ロウデン主演ということで観ました~。ロウデンくん、ダンケルク同様カッコカワいかったですパイロット役だったダンケルクよりも、素に近いカジュアルな感じ。小顔で童顔、スラっとほっそりした185㎝の長身なので、大学生みたいでした。現在29歳だそうですが、実年齢より若く見えます。顔はちょっとだけ、懐かしのマイケル・ビーンに似てる?マイケル・ビーンをもっと優しくスマートに上品に薄くして、セクシー♂フェロモンを抜いた感じとでも言いましょうか。エロさが全然ないところが欠点かも。

 恐ろしい過ちを隠そうとすればするほど事態は悪化、どんどん悲惨な状況に落ちていく愚かな若者役のロウデンくん、優しそうで真面目そうな彼が身も心もズタボロになっていく様子に、嗜虐的なM心をソソられます。泣いて喚いて許して助けて~な情けない姿も、イケメンなら絵になるのです。ロウデンくんファンは必見の窮鼠っぷりですが、役者として瞠目させるような実力発揮な演技はしてません。ぶっちゃけ、日本の某事務所タレントやイケメン俳優でもできる役、演技でした。もっと観る者の胸をザワつかせるほどの愚姿や狂気が見たかったかも。

 主導権はマーカスが握っていて、気の弱いヴォーンがズルズルと引きずられる、という共犯関係。ロウデンくんはヴォーン役のほうです。マーカス役のマーティン・ナッキャンは、バックストリートボーイズのケヴィン似?それにしても。ヴォーンとマーカス、やらかすことが非道すぎてドン引きです。あんな惨いことをしておいて逃げおおせられるわけがない。あまりにもバカすぎ、そして卑劣で凶悪なので、早くバチが当たればいいのに!と心底思いました。ラストに地獄の制裁が待ち受けているのですが、ちっとも同情できませんでした。むしろ溜飲がさがったわ。

 ヴォーンとマーカスほどの重すぎる過ちではないにせよ、人はみんな大なり小なり過ちを犯すもの。嘘やごまかしは後々ろくなことにならなりません。辛くても怖くても、正直であることが身のためです。
 過疎化に不安や焦りを抱いていた村人たち。何となくいけ好かなかった都会人が、とんでもない悪人とわかった瞬間、血に飢えたハンターのように始める人間狩りは、まるで閉塞感やストレスのはけ口のように思えて怖かったです。とんだ地獄村でしたが、美しく神秘的な森の中とか、スコットランドの田舎で暮らしてみたいな~と思わせてくれました。

 ↑ジャック・ロウデン、1990年生まれの現在29歳。俳優になる前はバレエをやっていて、弟は有名なバレエダンサーなんだとか。「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」「イングランド・イズ・マイン」観逃したのが残念!トム・ハーディが老いたアル・カポネを演じてる新作“Fonzo”に出演してるみたいなので、今から公開が楽しみ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

うつ妻の家出

2019-06-05 | イギリス、アイルランド映画
 今日はカープは勝ーち勝ーち勝っち勝ちライオンズに快勝!昨夜の雪辱を晴らした!
 バティスタの豪快すぎるホームランには目がテンになってしまいました。そして、今夜のヒーロー田中コースケ!鬼のような覚醒でしたね!今までの不振いったい何だったのな、八面六臂の躍動でした。カッコよかった!

 そしてリョーマの27連続ヒット記録!すごい!打ったリョーマも千両役者ですが、彼まで打席を見事に回し、舞台のお膳立てをしたセイヤもあっぱれ!カープってほんと、ドラマティックじゃのお。大瀬良くんVS源田くんの勝負にも胸熱!源田くんの盗塁を阻止した大瀬良くんに軍配!源ちゃんの盗塁失敗もなかなか見られないので、貴重なシーンを見させていただきました。3タテ食らうことを覚悟してましたが、驚喜の1勝1敗。明日もきっと激戦じゃ!

 「パリへの逃避行」
 ロンドン郊外で夫のマーク、二人の幼い子どもたちと暮らす主婦のタラは、育児と家事に埋没するだけの生活に疲れと虚しさを覚えていた。発作的に家を飛び出し、独りパリへと向かったタラは…
 妻、母親って、本当に大変だな~と、子育てと家事でいっぱいいっぱい、自分の時間、いや、自分の人生などないに等しいタラを見ていて、あらためて思いました。タラみたいに疲れ果て絶望に沈む主婦って、世の中いっぱいいるんだろうな~。自分を犠牲にして家族に仕えるのが妻、母の役目だという古来からの理不尽な不文律は、女性の権利が叫ばれ保障されていく中においても、まだまだ消えずに残ったままです。でもタラの場合は、女性の権利といったフェミニズムな問題提議ではなく、妻にも母親にも向いない女性が結婚して子どもを授かってしまった悲劇、みたいでした。妻って母親って、やはり覚悟と資質が必要なんですね。女性なら誰でもなれるものじゃない。タラは稼ぎのいい旦那のおかげで何不自由ない生活を送る専業主婦で、子どもは昼間は保育園に預けてるんだけど、もう地獄のような日々を送ってるような様子なんですよ。そりゃ育児も家事も大変だけど、あそこまで精神的に追い詰めらるほどではなかったような。うちの母ちゃん、3人+孫を仕事しながら育ててくれましたけど、タラみたいにノイローゼにはならなかったけど…あらためて心の底から、MY老母や世の中の気丈なお母さんたちを尊敬&感謝。

 タラももう少し周囲にヘルプを求めるとか、夫と虚心坦懐に話し合うとか、もっと戦う努力をしてほしかった。あんな風に殻に閉じこもって、独りで不満や不平を鬱積させてちゃ、うつになるわ。なので、タラのことはあまり気の毒とは思えなかった。夫がDV男とかアル中とか無職で貧困とか、子どもに障害があるとか、悲痛な境遇にある主婦が観たら怒るかもしれない映画です。マークは働き者で稼ぎもよく、ちょっと亭主関白っぽいところもあるけど、ぜんぜん許容できるレベル。毎朝起きがけに、排尿感覚で一発ヤろうとする性欲の強さは、さすがに私もイヤですが。イヤならイヤって断ればいいのに、黙ってマグロになって体を許すタラにイラっとしました。

 理想の夫なんかいないですよね~。マークも欠点はあるけど、私の目から見たら理想に近い旦那さんでしたよ。マークぐらいの鈍感さ、ちょうどいいと思うのだけど。神経のこまやかすぎる夫なんか、私はイヤだな~。タラにも優しい、子煩悩、そしてイケメン!なマーク、俺の何がいけないの?!と困惑し傷つく姿が、すごく哀れで同情せずにはいられませんでした。泣いて追いすがる夫と子供たちを振り捨てて、独りパリへと家出するタラ。のんきに観光旅行したり、あろうことか行きずりの妻子もちフランス人男と情交とか、何やってんの~と呆れてしまった。パリより先に心療内科に行きなさい!
 タラ役のジェマ・アタートンは、美人だけど顔も体つきも生活感たっぷりで、人工的なハリウッド美女や個性が強いフランス女優とは違うリアルさがイギリス女優らしかったです。脱いでないけど、薄着や下着姿で判る巨乳が圧巻でした。
 この映画を観たのは、もちろん大好きなドミニク・クーパー目当てです(^^♪

 ドミ公も、パパ役が似合う年齢になったのですね~。あんなカッコいい優しいパパ、いいですね~。スウィートなドミ公も素敵でしたが、キレて取り乱すドミ公の♂っぽさもたまらん。キレた後の後悔に沈む様子が切なくて胸キュン。夫、父親役でも、頭のてっぺんから爪先まで♂なところも、ドミ公の魅力です。顔は寝ぼけてても下半身はフルスロットルなシーンとか、ベッドで裸で寝てるだけのシーンでも、すごい♂フェロモンでまさに全身性器な男!無味無臭なイケメンよりも、やっぱドミ公みたいな♂臭い野郎のほうが好き!野郎っぽいけど、ぜんぜん下品でも野卑でもないところがさすがイギリス俳優なドミ公です。

 ↑ドミ公の新作は、TVドラマの“Peacock”です。トレーニングジムを舞台にしたコメディドラマだとか。共演の黒人俳優ルシアン・ラヴィスカウントもセクシーなイケメン(^^♪
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

過去に書いたゲスレター

2019-05-12 | イギリス、アイルランド映画
 日曜日は庭いじりなどしてのんびり過ごしました~
 春の花はすっかり盛りを過ぎて、見苦しく枯れ始めているのが何だか人間とカブって切ないです。

 カンパニュラとジギタリスが咲き始めました。大好きな花。初夏の庭のレギュラーです。

 春のレギュラーのキンギョソウ、矮性スイートピーの可憐な風情が好き。

 職場の人にすすめられて育ててみたスナップエンドウ。畑と違ってプランターだと大きくならず収穫も少なかったけど、甘くて美味しかった!

 この奇怪な植物は、ウラシマソウという山野草です。去年芽が出てこなかったので枯れたのかなと思ったら、今年は元気に姿を現してくれました。
 ガーデニングって癒されるけど、めんどくさくてストレスにもなりますね~。夏のお花や野菜を枯らさないよう頑張らねば…

 「ベロニカとの記憶」
 ロンドンでカメラショップを営む老人トニーは、学生時代の恋人ベロニカの亡くなった母が彼に遺した日記を、ベロニカが処分したことを知る。トニーはベロニカと再会を試みるが…
 「終わりの感覚」という小説の映画化だそうです。イギリス映画といえば、上流一家の優雅な生活とか男子高校でのBLですよね~。その美味しいエッセンスがかなり薄口だったのが物足りなかったです。それは、ベロニカ一家が富豪でも貴族でもない小金持ちレベルで、期待させながらも結局はBLドラマではなかったから、でしょうか。もみじまんじゅうを食べたら中にアンコが入ってなかった、みたいな感じというか。

 物足りなさよりも、主人公のトニーが何かイヤな感じのジジイだったのが残念。基本的には善い人なのですが、かなり無神経でマイペースすぎる言動が不愉快でした。冷酷で身勝手な悪人よりも、返ってタチが悪いです。本人には悪意も他意も全然ないので、怒って責めることもできないですし。そういう困った善人、実際にもいますよね~。トニーの元妻や娘へのKYな対応にイラっとしました。みんな怒っても仕方がないと諦めてるのか、すごく寛容な接し方してたのがエラいな~と感心。人のことにはほぼ無関心で、自分ことばかり話すトニーって、ちょっとアスペルガーなのかなとも思った。ベロニカを尾行する姿はほとんどストーカーで気持ち悪かった。若い頃のトニーが書いた、自分をフったベロニカへの腹いせゲスレターとか最低。ベロニカを含め、みんなトニーに優しすぎる。

 エイドリアンが自殺した理由とか、意味ありげなベロニカ一家の関係とか、ミステリーなところは面白かったけど、思わせぶりだったわりには全然フツーな真相で、返って驚いてしまいました。もっとドロドロと衝撃的な家族の秘密にしてほしかった!ベロニカの兄ちゃんとか無駄キャラすぎ!
 内容はビミョーでしたが、キャストは豪華じゃないけどイギリス映画ファンには嬉しいシブいメンツがそろってました。トニー役は、「アイリス」でオスカーを受賞した名優ジム・ブロードベント。役は不快でしたが、ブロードベント氏の見た目は素敵おじさまでした。一般人爺さん役にしてはカッコいいです。全然ヨボヨボしてないし。佐○健とブロードベントおじさんだったら、迷わず後者に抱かれるわ。
 ベロニカ役のシャーロット・ランプリングは、中盤になって登場。相変わらずクールでシブい。これ見よがしな熱演なんかしないところが好きです。枯れた風貌になっても男に色目を使われる役も、ランプリングおばさまならでは。ブロートベントおじさんとは、「ロンドン・スパイ」でも共演してましたね~。

 自殺したエイドリアン役は、「女王陛下のお気に入り」での好演も記憶に新しい、最近売り出し中のジョー・アルウィン。制服男子、メガネ男子で可愛かったです。若い頃のトニー役の俳優、もうちょっとイケメンにしてほしかったです。ベロニカの兄役は、これまた「ロンドン・スパイ」にも出てたエドワード・ホルクロフト。ジェームズ・フランコをブリティッシュ化したような感じのイケメンで、ワケアリな役が似合う俳優。トニーやエイドリアンを誘惑するゲイの役なのかなと期待させといて、いてもいなくてもいいようなチョイ役だったのでガクッ。イケメンといえば、トニーの高校の教師役でマシュー・グードも出演してますが、これまたチョイ役。ベロニカの母役のエミリー・モーティマーがミスキャスト。もっと色っぽい美熟女女優に演じてほしかったかも。ベロニカの父役は、ぜんぜん気づかなかったけどジェームズ・ウィルビーだった!あのモーリスが、誰だか判んないほどフツーのおじさんになってて悲哀…
 ベロニカ一家の別荘がある田舎の風景はもちろん、ロンドンの街並みもイギリス好きには楽しめます。トニーがベロニカと再会するグラグラ橋とか、もしまたロンドンに行けたら訪ねてみたいです。


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

宮廷の三人奸女!

2019-03-03 | イギリス、アイルランド映画
 「女王陛下のお気に入り」
 18世紀初頭、フランスと戦争中のイギリス。病弱なアン女王に代わって、女王の幼なじみであるレディ・サラが政治を牛耳っていた。そんな中、レディ・サラの前に零落した従妹のアビゲイルが現れる。アビゲイルは貴族の身分に返り咲くため、女王に近づこうとするが…
 ハマる人はハマる、ダメな人にはダメ。「ロブスター」や「聖なる鹿殺し」など、その独特さ、クセの強さで好き嫌いがはっきりと別れるヨルゴス・ランティモス監督の新作は、何と!18世紀のイギリス王室が舞台の時代劇!いったいどんな時代劇?!想像のつかなさにワクワク。加えて、アカデミー賞ではまさかの最多ノミネーション!否が応でも期待の拍車がかかります。そんな待望のヨルゴス風コスチュームプレイ、どうだったかというと…

 うう~ん…私の拙い文章力では、感想を書きあぐねてしまいますが…確実に言えるのは、今回もなかなか珍奇でシュールで斬新!ということ。こんな時代劇、初体験です。これまでのヨルゴス作品に比べると、え???な不可解&不条理設定やシーンがなく、かなりわかりやすくなってます。でも、権力や女王の寵愛をめぐって詐術陰謀に狂奔する宮廷の魑魅魍魎たちの描き方や醸すムードは、かなり特異で独創的。ヨルゴス節炸裂なシーン満載で、ヨルゴスファンはニヤリ、非ファンは当惑することでしょう。

 演出、映像、脚本、空気感、演技、すべてにおいて異色の時代劇。いつもの淡々と静かなヨルゴス作品に比べ、スピーディでドラマティックな展開ですが、何これ?何か変!と、戸惑いと笑いを誘う作風は、従来通りのヨルゴステイスト。珍妙なシーン満載ですが、私がいちばん笑えたのは、舞踏会でのレディ・サラとマシャム大佐とのダンス。すごい変な踊り!ほんとに当時、こんな踊りあったの?!おそらく、時代考証にはあまり拘泥してなくて、かなり自由な設定、描写になってるのでは。歴史オタクの方々が観たら噴飯ものかもしれません。

 変な踊りもですが、王族や貴族とは思えぬほど下品で下劣で俗悪な人間関係と会話の内容、華やかさを排したモノトーンのファッションや調度品、美術などは、かなり現代的で時代劇の掟破り的な面白さが。女たちが薄化粧でシンプルな衣装なのに対して、男たちは厚化粧でデコレートされた衣装、という逆転もユニークでした。人工的な照明ではなく自然光や蝋燭の灯りを使用、下から覗くようなカメラなど撮影方法も独特で、他の映画では味わえない奇妙さ、オリジナリティです。

 三人の女のキャラ、彼女たちが繰り広げる女の闘いと、それを激演した女優たちの演技合戦は、本当に強烈で激烈!惹きこまれたりドン引きしたりで、一瞬も退屈しません。稀に見る女優映画の傑作と言えるかも。女王をめぐって、サラとアビゲイルのあの手この手な讒言や甘言、奸計、ごかまし、遠まわしな当てこすりや脅し、罠が、卑劣で卑怯なんだけど必死すぎて笑えるんですよ。二人とも大真面目、まさに命がけの攻防、相手を押しのけよう、陥れようと心も体も張ってる姿が、醜くも滑稽。それに翻弄されてるように見えて実は、気づかないふり騙されてるふりをして二人の対抗心や憎しみを煽り、それを楽しんでるかのようなアン女王の、天然すぎる魔性のおばさんぶりが、最凶で最笑でした。

 女の争いは、ともすると陰湿・陰険、ドロドロとイヤらしくなりがちですが、この映画のそれはそんな感じは不思議と薄い。三人ともどちらかといえば男っぽいキャラで、男など眼中にもなく男を完全に見下し、男なんかのことで苦悩したり傷つくことなく、困難やピンチにも挫けずヘコたれず、欲望や信念を忠実に懸命に貫き、昂然と男よりも高みに立つ姿が、豪快痛快でカッコいい。女性の権利があらためて見直され、声高に叫ばれている昨今の風潮にピッタリな、女性の強さを賛歌したフェミニスト映画、そしてLGBT映画になってます。私は重度の腐なので、薔薇には興奮しても百合には居心地の悪さを感じる…これも性差別なのかな男同士の性愛は切なく美しくなるのに、女同士のそれはなぜかそうはならず、いびつで不気味になってしまうのはなぜ。

 女豚!女猫!女豹!まさに女獣の宮廷!これぞ女優映画!この映画を堪能してしまうと、日本のCM演技女優などますます見るに堪えなくなります。アン女王役のオリヴィア・コールマン、そのアカデミー賞主演女優賞受賞も納得な大怪演、大珍演に瞠目!こんなに醜悪かつ滑稽で哀れな女王さま、映画の中で初めてお目にかかりました。英国王室はこのアン女王についてクレームなしなの?こんな女王さまに支配されてるイギリス国民が可哀想!もう見た目だけで出オチなインパクトなのですが、観る者の神経を逆なでしつつも笑いを誘うオリヴィアの、迫力満点かつ繊細な狂態!見た目もだけど、中身もほとんどおっさんで、めんどくさいことこの上ないながらも何だか憎めない無邪気さや、胸が痛くなるような心身のグロテスクな病みっぷりなど、観客までも躁鬱な気分になってしまう演技です。

 アビゲイル役を、ハリウッド最高の人気女優であるエマ・ストーンが演じているという意外性も、この映画の注目度と質を高めています。オスカーを受賞した「ラ・ラ・ランド」よりも、この映画の絵馬石のほうが女優としての力量や根性を発揮してると思う。とにかく絵馬石の、守りに入ってない女優魂があっぱれ。いい年してきれいに可愛く見せたいと必死な日本の女優に、絵馬石の爪の垢を煎じて飲ませたいです。泥どころか糞まみれになり、おっぱいまで見せて(ちょっとだけですが)る絵馬石を、大いに見直しました。獲物を狙う猫のように、好機をうかがってギラギラギョロギョロしてるデカい目が怖い。アシャム大佐のチ◯コをよそ見しながら手コキしてる時の虚ろな顔も秀逸でした。

 レディ・サラ役のレイチェル・ワイズも、オスカー級の名演。颯爽と毅然とした女丈夫っぷりは、かなり男前です。ズバリ言うわよ!な毒舌が笑えた。乗馬服などマニッシュな男装ファッションが多いのも、彼女を男らしいキャラにしていました。男っぽいけど、優しそうで聡明な女性の魅力にもあふれていて、ある意味理想の女性なサラに適役なレイチェルさんもまた、理想的に卓越した名女優と言えます。
 アビゲイルに近づく男たちを、英国の若手イケメン俳優ニコラス・ホルトとジョー・アルウィンが好演。元子役のニコラスは、すっかり大人の役者になりましたね~。イケメンなだけでなく性格俳優として成長中で、今後の活躍もますます期待できます。テイラー・スウィフトの恋人として有名になったジョーも、可愛いだけでなくヨゴレ役や捨て身の演技も厭わない役者魂がありそう。「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」や「ある少年の告白」など、話題作に出演してる彼からも目が離せません。
 本筋には全然関係ないのですが、下っ端女中時代のアビゲイルに意地悪をするデブなメイドが、やってることは鬼のような陰険さなのに、見た目も声も可愛いくて好き。出世しても仕返ししないアビゲイルの度量に感嘆。あと、いつも女王の近辺に用意されてるケーキやお菓子が美味しそうだった。腹減ってる時に観たら苦痛かも。

 ↑まさに女獣使い!ヨルゴス・ランティモス監督の手腕に拍手!監督、イケメン

 ↑ 私も女王さまになって、こんなイケメンたち侍らせたい~
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする