「サルバドールの朝」
劇場公開時に観逃してしまい、悔しい思いをした作品。やっとDVDで...
フランコ軍事政権下のスペイン。反体制運動家の青年サルバドールは、活動資金のため仲間とともに銀行強盗を続けるが、警察との銃撃戦の果てに刑事を射殺してしまい、死刑宣告を受けてしまう...
うう~ん、政治と死刑か。重すぎるテーマですねえ。70年代初頭って、ほんと若者が熱い時代だったんですね。熱すぎて、自分たちだけでなく他人や社会まで燃やし大火傷を負わせた、狂熱の赤いレジスタンス時代を無軌道に、でも真剣に疾走したサルバドールの青春が、激しくも悲しく描かれています。
とても1970年代とは思えぬ、フランコ独裁政権の人権無視な圧制と弾圧。あれじゃあ、別に政治思想がなくても逆らいたくなるよなあ。サルバドールたちの犯罪が、国民たちの非難や顰蹙をあまり買ってなかったのも理解できます。サルバドールの妹の友達なんか、捕まったサルバドールをアイドル視してたし。
理不尽なことに黙って服従しない!戦う!という闘志は、立派だと思う。でも、あのやり方はマズいと思う。ロビン・フッド気取りで銀行強盗するサルバドールと仲間たちは、政治的信念に基づいてというより、退屈しのぎ、刺激を求めてやってるって感じだったし。そして、かなり偶発的な事故っぽいとはいえ、刑事殺しは重罪です。刑事たちが悪人キャラなので、サルバドールはまるで冤罪の犠牲者みたいに見えるのですが、被害者や遺族のことを考えると、どんな理由があったにせよ、やはり殺人の加害者には同情も共感もできません。
とはいえ、このケースで死刑はあまりにも不当。日本じゃまず考えられない、ありえない。まさに見せしめ処刑。サルバドールは犯罪の加害者であると同時に、時代の被害者なのかもしれません。ガローテ(鉄環絞首刑)という処刑方法が、残酷すぎて戦慄!
この映画の出来事と、あさま山荘事件や連合赤軍事件、三菱重工ビル爆破事件などとを思い比べずにはいられません。多くの国民から同情と支援を受けながらも処刑されてしまったサルバドールと、ほとんどの国民に恐怖と憎悪を抱かせながら、今も生きながらえている日本の元過激派青年たち。スペインと日本の皮肉な相違も興味深いです。
サルバドールを熱演したのは、my dear ダニエル・ブリュール。
ほとばしる若い激情、そして死への絶望と苦悩。ダニブリュの、生き生きと躍動感ある、そして痛々しいほど繊細な演技が素晴らしいです。演技以上に、まさに私好みのイモ可愛いルックスが、胸キュンさせる男です。
ダニブリュのスペイン語演技、初めて見ました。彼はドイツとスペインのハーフなので、完璧なバイリンガルなんですよね。英語も堪能だし(「ラベンダーの咲く庭で」や「ボーン・アルティメイタム」など)、語学力も彼の武器。同い年のガエル・ガルシア・ベルナルと双璧を成す、若手随一の国際俳優です。
めちゃくちゃ濃ゆい仲間役の俳優たち(イケメンが多かった)の中では、薄口なダニブリュ。ドイツ人にしては少し濃いけど、スペイン人にしては薄いところも、ダニブリュのユニークな個性でしょうか。
刑務所の看守役で、レオナルド・スバラグリアが登場。
こ、濃ゆい~!けど、やっぱ男前♪はじめは、サルバドールにキツく当たる意地悪な鬼看守だったのに、サルバドールがパパへ書いた手紙を読んだだけで態度を軟化、すっかり友達になってしまうところが、ちょっと唐突すぎる豹変でしたが。看守さんも辛い大変な仕事だなあと、ある意味サルバドール以上に同情を覚えてしまいました。
日本では、こういう映画って作れないのかなあ。男優にとって、TVドラマの延長みたいなチャラいヌルい映画よりも、やりがいがあると思うけど...死刑囚を妻夫木聡、看守を竹野内豊、みたいなシリアスに萌える邦画が観たい!
↑ダニブリュ&スバ、おいしそうなツーショット♪
劇場公開時に観逃してしまい、悔しい思いをした作品。やっとDVDで...
フランコ軍事政権下のスペイン。反体制運動家の青年サルバドールは、活動資金のため仲間とともに銀行強盗を続けるが、警察との銃撃戦の果てに刑事を射殺してしまい、死刑宣告を受けてしまう...
うう~ん、政治と死刑か。重すぎるテーマですねえ。70年代初頭って、ほんと若者が熱い時代だったんですね。熱すぎて、自分たちだけでなく他人や社会まで燃やし大火傷を負わせた、狂熱の赤いレジスタンス時代を無軌道に、でも真剣に疾走したサルバドールの青春が、激しくも悲しく描かれています。
とても1970年代とは思えぬ、フランコ独裁政権の人権無視な圧制と弾圧。あれじゃあ、別に政治思想がなくても逆らいたくなるよなあ。サルバドールたちの犯罪が、国民たちの非難や顰蹙をあまり買ってなかったのも理解できます。サルバドールの妹の友達なんか、捕まったサルバドールをアイドル視してたし。
理不尽なことに黙って服従しない!戦う!という闘志は、立派だと思う。でも、あのやり方はマズいと思う。ロビン・フッド気取りで銀行強盗するサルバドールと仲間たちは、政治的信念に基づいてというより、退屈しのぎ、刺激を求めてやってるって感じだったし。そして、かなり偶発的な事故っぽいとはいえ、刑事殺しは重罪です。刑事たちが悪人キャラなので、サルバドールはまるで冤罪の犠牲者みたいに見えるのですが、被害者や遺族のことを考えると、どんな理由があったにせよ、やはり殺人の加害者には同情も共感もできません。
とはいえ、このケースで死刑はあまりにも不当。日本じゃまず考えられない、ありえない。まさに見せしめ処刑。サルバドールは犯罪の加害者であると同時に、時代の被害者なのかもしれません。ガローテ(鉄環絞首刑)という処刑方法が、残酷すぎて戦慄!
この映画の出来事と、あさま山荘事件や連合赤軍事件、三菱重工ビル爆破事件などとを思い比べずにはいられません。多くの国民から同情と支援を受けながらも処刑されてしまったサルバドールと、ほとんどの国民に恐怖と憎悪を抱かせながら、今も生きながらえている日本の元過激派青年たち。スペインと日本の皮肉な相違も興味深いです。
サルバドールを熱演したのは、my dear ダニエル・ブリュール。
ほとばしる若い激情、そして死への絶望と苦悩。ダニブリュの、生き生きと躍動感ある、そして痛々しいほど繊細な演技が素晴らしいです。演技以上に、まさに私好みのイモ可愛いルックスが、胸キュンさせる男です。
ダニブリュのスペイン語演技、初めて見ました。彼はドイツとスペインのハーフなので、完璧なバイリンガルなんですよね。英語も堪能だし(「ラベンダーの咲く庭で」や「ボーン・アルティメイタム」など)、語学力も彼の武器。同い年のガエル・ガルシア・ベルナルと双璧を成す、若手随一の国際俳優です。
めちゃくちゃ濃ゆい仲間役の俳優たち(イケメンが多かった)の中では、薄口なダニブリュ。ドイツ人にしては少し濃いけど、スペイン人にしては薄いところも、ダニブリュのユニークな個性でしょうか。
刑務所の看守役で、レオナルド・スバラグリアが登場。
こ、濃ゆい~!けど、やっぱ男前♪はじめは、サルバドールにキツく当たる意地悪な鬼看守だったのに、サルバドールがパパへ書いた手紙を読んだだけで態度を軟化、すっかり友達になってしまうところが、ちょっと唐突すぎる豹変でしたが。看守さんも辛い大変な仕事だなあと、ある意味サルバドール以上に同情を覚えてしまいました。
日本では、こういう映画って作れないのかなあ。男優にとって、TVドラマの延長みたいなチャラいヌルい映画よりも、やりがいがあると思うけど...死刑囚を妻夫木聡、看守を竹野内豊、みたいなシリアスに萌える邦画が観たい!
↑ダニブリュ&スバ、おいしそうなツーショット♪