まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

プリズンブラッサム

2008-09-26 | イギリス、アイルランド映画
 「グリーンフィンガーズ」
 人生に投げやりな囚人コリンは、ひょんなことから刑務所でガーデニングの才能を見出され、仲間たちとともに女王陛下も鑑賞するコンテストに出場することに...
 心温まる人情コメディでした。実話だというのがビツクリ。社会からはみ出した希望なき囚人たちが、力を合わせて困難を乗り切り、奇跡のような夢をかなえるというサクセスストーリーが、なかなか小気味よく描かれてます。
 舞台となってる刑務所の、監獄!牢屋!って感じではない、すごく自由で寛大で快適な環境に驚かされます。受刑者たち、とても罪人とは思えない暮らしぶり。ぶっちゃけ、貧乏にあえいだり、家族や友達のいない孤独なシャバ暮らしをするより、ここに入ったほうがはるかにいいような気がする。いったん出獄しても、やっぱ堀の中のほうがいい!なんて、すぐ嬉々として帰ってくる受刑者、多そうだよなあ。コリンが懲役太郎なのも、厳しい社会よりも刑務所のほうが心地よいから、みたいだったし。彼ったら、せっかく仮出所したのに、コンテストに出たいからという理由で、故意に罪を犯してムショに戻ってきちゃうのだ!おいおい~受刑者の社会復帰のための訓練や支援も、それじゃ意味ないじゃん!所長の願いが全然コリンには届いてないのが皮肉です。
 明るく楽しそうに見える受刑者たちですが、やはり人生の落伍者、敗残者という暗い翳りがチラついているのが、ちょっとシンミリさせます。でも...加害者の彼らにも事情があったにせよ、被害者のことを考えてみると、いいご身分かもしれないなあ、な生活ぶりが少し気になった。被害者がシャバで悲しんだり苦しんだり、ひょっとしたら経済的にも困窮してるかもしれないのに、加害者がこんなに庇護されてていいのかなあ、と。まあ、加害者だって人生をやり直す権利はあるとは思うけど、まず被害者のほうに国は救いの手を差し伸べチャンスを与えてほしい...
 
 ガーデニングが好きな人なら、すごく楽しめる映画ではないでしょうか。美しいイングリッシュ・ガーデンで、お茶してみたいものです。コリンたちが出場する、ハンプトン・コートでのガーデニングコンテストとかも、一度はのぞいてみたいなあ。
 主人公のグリーンフィンガーズ(ガーデニングの天才、という意味とか)コリン役は、クライヴ・オーウェン。むくつけで濃い彼と、優雅なガーデニングとのギャップが面白いです。
 コリンたちを支援することになる高名な園芸家役を、ヘレン・ミレンが好演してます。クール&シニカル、テキパキ毅然&颯爽としたところが、相変わらずカッコいいミレンおばさまです。囚人のコンテスト出場に反対する組織メンバーに、あんたこそ成り上がり者だけど仲間にしてあげたじゃないの、みたいに鼻であしらうオチャメな倣岸さや、娘がコリンと恋に落ちたと知って、マジかよー!?と動揺する様子など、いい人だけどやっぱスノッブな英国上流階級の女性を、コミカルに演じてるミレンおばさまです。
 ラストでコリンたちが獲得する、優勝よりもスゴい名誉に、やったね!と拍手したくなります。ヘレン・ミレンが出てるので、え?そこにおいでになるじゃん?と、ちょっと笑えます。
コメント
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