まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

ピン子が隣に棲んでたら…

2012-02-24 | 日本のドラマ(単発)
 スカパーでやってた土曜ワイド劇場の再放送「森村誠一の侵略夫人 “醤油貸して、金貸して! 隣りの団地妻を覗いたら…”」を観ました♪
 団地で暮らす初枝は、夫の留守中にセールスマンの香川に犯されしまう。香川は客の肉体を奪い、弱みにつけこんで商品を買わせる常習犯だった。翌日、香川が死体で発見される。初枝は、団地の嫌われ者である隣人の都美子が、紹介料目当てで勝手に初枝の名前を訪問先カードに記入して香川に渡していたことを知り…
 かつての土ワイは、こんな鑑賞意欲をソソる珍・名サブタイルトルを冠した、ドロドロした人間関係を抉った濃ゆくてエロくてクオリティの高い内容の作品が多かった。今の2時間サスペンスは、安易なシリーズものばかりでつまんないです。
 80年代の2時間ドラマ独特の雰囲気が好きです。物騒で怪しい物語は、やはりフィルム撮影でないとね。ドラマ用に作ったものではない、本当に当時の人々の服装とか髪形、街や室内にあるもの(赤電話とかサラ金の看板とか)が、いま見ると珍妙、でも懐かしい。
 セールスマンに犯される団地妻って設定は、ほとんどAVですが。女のイヤらしさや悲しさ、愚かさを巧みに描いているところが、AVとは違います。勝手にジリジリと追いつめられていく女、無意識にジワジワと追いつめていく女のやりとり&暴走がスリリングです。
 このドラマの面白いところは、初枝の激しすぎる思い込みと、それを助長する都美子の無神経さが絶妙に絡んでるところ。初枝だけでなく、視聴者も都美子が初枝を脅迫しているようにしか見えない思えない。都美子は初枝を脅迫してるのか、それとも単に無神経でお節介なだけなのか。そこが殺人事件よりも不可解な謎となってます。犯人の正体も、意外と驚かされます。
 都美子のタチの悪さって、本人は初枝に対して何もかも善意と好意でやってるところ。自分が初枝を追いつめてるなんて夢にも思わず、逆に初枝を助けてると信じてて、ますます初枝を窮地に追いやってしまう鈍感さと独善は、どんな悪意よりも怖い。亭主を愛していて尽くしてるところが事態を悪い方向に向かわせてしまうなど、ほんと因業な女な都美子です。
 このドラマ、何つっても都美子役の泉ピン子が最高です。ワタシ的には、渡鬼よりもこっちのほうがピン子の最高傑作。まさにピン子のために作られたキャラ。森村誠一はピン子を想定して執筆したとしか思えない。それほどドンピシャすぎるハマり役です。
 こんな隣人、最悪~!な都美子を、水を得た魚のように、地のように演じてるピン子。図々しくて詮索好きでガメツくて、他人の生活や心ににズカズカ“侵略”してくるピン子、ほんとにムカつくし怖い!けど、どこか笑える。イヤな女をバイタリティあふれた笑える女に見せてしまうなんて、まさにピン子の真骨頂。ピン子にしかできない芸当です。それと、まだ30代のピン子は、ブサイクだけど愛嬌があってなかなかチャーミングです。
 ピン子のせいでレイプされるわ殺人事件の容疑者になるわノイローゼになるわ、さんざんな目に遭う可哀想な美しい団地妻役を、懐かしの結城しのぶが好演。かつての2時間ドラマのワケアリ美女といえば、結城しのぶ。追いつめられる風情も、悩ましく美しい。レイプシーンもエロいです。結城さん、最近お見かけしませんが、ご壮健なのでしょうか。
 レイプ魔セールスマン役、牧伸二の脂ぎった卑劣漢ぶりも笑えます。初枝の夫役の伊藤孝雄が男前でした。
コメント (4)
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