まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

まっさかさまに堕ちてDesire

2013-03-04 | 北米映画 20s~50s
 my motherの友人S藤さんが、いま受難続きなんだそうです。
 S藤さんには二人の娘さんがいるのですが、長女は既婚男性と恋愛の果て略奪婚。しかし、前の奥さんが残していった連れ子が年頃の思春期ガールで、まったくソリが合わず陰湿な継母VS継子の争いの毎日なのだとか。そのことが原因でS藤さんの長女は、怪しげな新興宗教にハマってしまい、お布施するお金がないのでS藤さんにオネダリに来るのだとか。さらに、次女の夫がリストラの憂き目にあうなど、かなり深刻な不幸モード。落ち込むS藤さんに、さらなる災厄が。疲労骨折で入院してしまったのです。もう呪われてるとしか言いようがない。お祓いレベルですよねえ。
 不幸や不運に襲われないようにするには、いったいどうすればいいのでしょうか。常に気を引き締めて、慎重に用心深く生きれば防げるのでしょうけど…そうすると、幸福や幸運とも出会えなくなってしまいそうです。

 特選!恐怖の大女優映画祭④
 「欲望という名の電車」
 南部の名家出身だが落ちぶれて身を持ち崩したブランチは、ニューオーリンズに住む妹ステラ夫婦のもとに転がり込む。ステラの夫スタンリーは、ブランチの存在を疎ましく思うが…
 映画史上最も有名なヒロイン、「風と共に去りぬ」のスカーレット・オハラも、ある意味相当なイカレ女でしたが…同じくヴィヴィアン・リーが演じて2度目のオスカーを受賞したこの作品のヒロイン、ブランチも壮絶強烈すぎ。ほとんどホラーなのです。

 汚れた過去を隠し、妹ステラのもとに身を寄せるブランチ。没落したくせに、出自の良さと教養をひけらかす彼女に対し、反感と敵意をムキだしにするステラの夫・スタンリー。激しい衝突の繰り返しの果てに待ちうける、悲惨な結末…
 あまりにも有名なテネシー・ウィリアムズの舞台劇、登場人物たちのヒステリックな激情のぶつかり合いは、思わず息をのんで見入ってしまう迫力です。
 ブランチという女、確かに突然家に転がりこまれたら、イライラするし神経に障ることはなはだしい女だけど、でもあそこまで冷酷で陰湿な仕打ちを受けるなんて、可哀想すぎます。嘘と虚勢で全てを塗り固め、自分をきれいに見せようと狂奔する女の、醜悪で哀れな姿が痛々しい。仮面を剥ぎ取られ、人間として耐えられない屈辱を受けたブランチが迎えたラストは、哀れ極まりありません。

 乱暴者だけど、根は正直で、無教養な移民の子という劣等感を拭えずにいるスタンリーの、ブランチの高慢さや虚飾に反発する気持ちも理解できないこともない。老いた神経症メス犬と、若い野卑なオスゴリラがひとつ屋根の下。平和に暮らせるわけがない。2匹がキャンキャン!ウキキキー!と罵り合う姿は、目と耳を覆いたくなるほど壮絶なのです。
 何といっても、ブランチ=ヴィヴィアン・リーの、超絶コワレちゃった演技が圧巻!怖い!イっちゃってます。彼女ってホント、ボーン・トゥ・ビー・更年期障害女優。スカーレットに、性の生々しさと狂気が加わったブランチは、女優なら誰でも挑戦してみたい、でも誰でもできるわけではないヒロインではないでしょうか。
 そして、スタンリー=マーロン・ブランドの、クールな野獣ぶりときたら!丸太のような太々とした腕。ぶ厚い胸板。汗に濡れたTシャツ。これでもか!とセクシー・フェロモンを発散しています。男くさいけど、決して濃っ!ではなく、あくまでクール&シャープ。こんなにイカした野獣が、数十年後には正視に耐えられない妖怪デブ爺と化すと、当時のブランドに魅せられた人々の中で、いったい誰が予測できたでしょうか…
コメント (2)
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