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西部開拓時代のアメリカの未開拓原野。狩猟中に熊に襲われ瀕死の重傷を負ったヒュー・グラスは、最愛の息子を殺し自分を置き去りにしたフィッツジェラルドへの復讐を果たすため、大自然の猛威の中で過酷なサバイバルの旅を続けるが…
「バードマン」に続き、二年連続でアカデミー監督賞を受賞という快挙を成したアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督作品。
レオナルド・ディカプリオ、期待通り、予想以上の大激演でした!観終わった後の、胃もたれに近い食い過ぎた感。このオナカイッパイ!ゲップ!感、好きなんですよ私。最近の俳優って、無難で軽くて薄い人たちばかりじゃないですか。感動や刺激に飢えた腹ペコの時に、少量のおかゆしか口にできないという物足りなさ。その点レオは、食えるもんなら食ってみろ!と言わんばかりの、どどーんと出された味付けの濃ゆい巨大ステーキみたいな役者。一部の映画ファンからは、演技が力みすぎで過剰!いかにも賞狙いであざとい!なんて批判されていますが、それの何が悪いの。うんざりするような学芸会、CM演技よりも、レオの激烈衝撃的な演技こそ、お金を払って見る価値があるというものです。
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で、ついにオスカーを獲得したレオ。もし受賞を逃してたら、当分チャンスもやる気もなくなってただろうな~と、あらためて受賞に安堵しました。これまでノミネートされた演技も、どれもオスカーに値する素晴らしいものでしたが、これで受賞はちょっと?もっと受賞にふさわしい役、演技はあるはず…と思ってた私も納得な、今回の初受賞。生半可な俳優には絶対ムリな壮絶な演技に、ただもう瞠目するばかりでしたが…あまりにも凄絶で、ほとんどギャクの域にも達していたような…ひょっとしてこれ、笑いを狙っているのかしらん?と、思わず吹き出してしまうそうになったのも一度や二度ではなかった…
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もうレオ、悲惨すぎ痛ましすぎ。もうひたすら酷い目に遭いまくって、ぐおぉー!!ぐわー!!ギエェ~!!と悶絶絶叫。もしくは、死んでたまるかー!とばかりに、ふんがー!!と奮い立つ、それだけ、みたいな映画なんですよ
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↑もうずっとこんな顔ばっかしてます
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心の中でツッコミまくらずにはいられなかったのが、レオの不死身っぷり。何で死なないの!?そこは死ぬでしょ?!なシーンてんこもりなのですが、死なないんですよ
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劇中の衝撃的なサバイバル方法に、ただもう仰天、お口ぽかーん。特に目がクギヅケになったのは、死んだ馬の内臓を取り出して、馬の腹の中に全裸になって入って風雪を凌ぐシーン。そーいや「ハンニバル」でも似たようなシーンあったっけ…すっぽんぽんになったレオのお尻が可愛かった。数々のサバイバル術を伝授してくれるレオですが、まったく参考にはなりません
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もう原型をとどめてないほど、傷だらけ血だらけ泥だらけなレオですが、たま~に、ふとした瞬間に、あ、やっぱ可愛い!とキュンとなる表情、イケメンのかけらを見せてくれます。
圧巻の役者魂、イケメンといえば、レオの独壇場ではありません。ヒュー・グラスの息子を殺し、グラスを生き埋めにして置き去りにする非情な男、フィッツジェラルドを熱演・怪演したトム・ハーディ
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「マッドマックス 怒りのデス・ロード」が大ヒット、この映画では初のオスカー候補と、大ブレイクを遂げたトムハ。今や最も勢いがある映画界の寵児となった彼が、レオにも引けを取らぬ強烈さで魅せてくれます。とにかく冷酷で激烈!触れてはならぬ地雷みたいな不穏さ、危険な空気をこれでもか!と放出してます。目つきがヤバすぎる!悪人というより、心がない男、みたいな怖さ。グリズリーみたいな荒々しさ、ゴツさですが、よく見ればやっぱ可愛い顔なんですよね~。レオにしろトムハにしろ、イケメン隠しって難しいんですね。ブサイクな名優じゃなくて、イケメンが崩壊するからこそ魅惑的なんです。風貌も好きですが、トムハのあの独特なモゴモゴした喋り方もすごく好き!
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ラストの、雪を鮮血に染めるレオVSトムハの最終決戦も、目を覆いたくなるような惨劇です。とにかく残虐なシーンが多いので、心臓が弱い人にはお勧めできない映画です。でも、厳しくも広大壮麗な自然をあますことなくとらえた映像は、驚異的に美しくて感動的。どーやって撮影したんだろ。
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↑憎悪、敵意メラメラだった映画と違い、私生活では仲良しなレオ&トムハ。カキタレぐらいにしか思ってない女よりも、男の友情を大事にしてるレオに、すっかり懐いてツルんでるトムハが、ちょっと心配。嫁と子どもほっぽらかして、レオ兄さんと遊んでばかりいちゃダメよ!
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激烈な役ばかりじゃなく、たまには軽いコメディとか恋愛ものにも出てほしい二人です