突然の訃報に、広島中が驚きと悲しみに包まれました。衣笠祥雄さんが死去。ついこの間まで、野球解説をされてたのに。まだ71歳。
山本浩二さんとともに最強赤ヘル軍団を牽引し、プロ野球界に不滅の名を刻んだ鉄人衣笠さんも、病には勝てなかったのですね…星野さんに続いて、また野球の巨星が落ちてしまいました。あらためて、ご冥福をお祈りします。衣笠さんの弔いのためにも、カープにはぜひとも3連覇を成し遂げてほしいものです。今夜はそんな闘志が実って、手ごわいベイスターズに勝利。完投間近で無念の降板となった中村祐太の、悔しそうな表情にキュンキュンしちゃいました♡ユータくんは、ピッチャーが軒並み崩壊しているという窮状の中、最大・唯一の希望の星!中日に信じられない逆転負け、そして3タテ食らうとか、もうカープあかん~!と絶望してたけど、ちょっとだけ光が見えてきました。首位も再び奪取。今年はぶっちぎりとはいきそうにないけど、衣笠さん、天国から応援してください!
話はガラリと変わりますが。先日、やっとミヒャエル・ハネケ監督×イザベル・ユペールの新作「ハッピーエンド」を観に行くことができました。それを記念して、またイザベル・ユペール映画祭を開催したいと思います。今年のフランス映画祭でも、ユペりんの出演作が上映されるので楽しみ
お松の第2回イザベル・ユペール映画祭①
「主婦マリーがしたこと」
ナチス占領下のフランス、ノルマンディー。出征中の夫の帰りを待ちながら、幼い子供たちと貧しい生活を送っていたマリーは、隣の奥さんの堕胎を手伝う。いつしか堕胎で稼ぐようになったマリーは、裕福に美しくなっていくが…
ゴールデンコンビだったクロード・シャブロル監督とは、数々の秀作佳作を作り上げたイザベル・ユペール。この作品は、その代表作の一つといってもいいのではないでしょうか。ユペりんはこの映画で、ヴェネチア映画祭の女優賞を受賞(後に同じシャブロル監督との「沈黙の女」で2度めを獲得)。
フランスで最後にギロチン処刑となった女性の物語と聞くと、とてつもなく重く悲惨な話を連想してしまいますが、確かに悲劇的な話ではあるのですが、ぜんぜん暗くも重くもありません。そして、上質で痛烈なフェミニスト映画でもあります。ヒステリックなまでに声高に女性の権利を叫ぶ映画とか、き◯がいとしか思えない田島ヨーコ先生の支離滅裂な主張よりも、女とは?女の一生とは?妻とは?母親とは?と真摯に考えさせてくれる映画です。
昔に比べると、女性の自立や権利が保障されるようになったとはいえ。いつの世も女性にとって社会は、理不尽で不公平で冷たい。苦患に満ちていて、生きづらいまま。それに抵抗、反逆するかのように、自由に軽やかに生きようとしたマリーに下された、現代社会なら絶対にありえない罰の苛烈さに愕然、暗澹となります。でもマリー、確かに調子に乗り過ぎた。その行為、言動は責められて当然ですが、だからといってあんな末路になってもいいわけない。見せしめ、生贄にされてしまった、究極の運のなさです。堕胎の罪よりも、男社会に従うことを拒んで、自分らしく好きなように生きようとしたことが罪深いとされての制裁、みたいでした。捕まっても罪の意識がなく、何が悪いの?いつ帰れるの?と獄中で無邪気に出所の日を待ってる姿が、愚かで哀れだった。
映画はシャブロル監督らしく、ヘンにドラマティックにしたりせず、終始淡々と静かに、時に冷ややかなユーモアでもって、“マリーのしたこと”を描いています。堕胎ビジネスで稼ぐマリーが、どんどん調子ぶっこいてルンルン化する姿が、すごく軽やかでシニカル。クスっと笑えるシーンも多々あり。旦那への冷たさが、非道いけど痛快でもあって。夫にヘコヘコ貞淑にかしずいたりせず、マリーみたいに冷ややかな本音や現実を夫に叩きつけたい!と願望する奥さま、世の中にいっぱいいそう。
お金も稼いで、キレイになって友だちや恋人もできて、子どもに美味しいものを食べさせてあげられて。暗い時代に反していいことづくめの幸せな毎日を謳歌してたマリーが、予期せぬ形で逮捕され、裁判にかけられて死刑宣告!と、あれよあれよな急転直下の憂き目に遭うのですが、ついに来るべきものが来たな~という、不吉なことが起こる兆しや伏線は散りばめていた演出は、シャブロル監督ならではでした。
それにしても。いくら何でもマリー、夫を蔑ろにしすぎ。いくらダメ亭主でも、あそこまで全否定はあかんでしょ。マリーがもっと旦那に優しかったら、あんな悲劇は起こらなかったかもしれないし。あの夫、ダメ男だけど善い人だったから、あの仕打ちは可哀想だった。でも、マリーに愛されるよう、認められるよう努力をしなかった旦那も悪い。夫婦関係にも、思いやりと努力は欠かせませんよね~…
堕胎についても、あらためて考えさせられました。あんな方法で、堕胎ってできるの?!容易すぎるし危険すぎる!極めてデリケートな問題なのに、マリーや妊婦たちがあまりにもあっけらかんとしてたのが、ちょっと衝撃的でもあった。望まない子どもを“排除”することは、女性にとって大罪なのか救済なのか…いずれにせよ、男のほうが楽!とつくづく思いました。あと、ギロチン処刑が第二次世界大戦まであったことにも衝撃。絞首刑も電気椅子もイヤだけど、ギロチンもイヤすぎる~ナチス占領下のフランスの庶民生活も、リアルに描かれていました。あんな不便で窮屈で暗い生活したくないので、ほんと戦争反対!です。
イザベル・ユペールは、当時35歳ぐらい。まさに女ざかり、女優として脂がのりきってた頃です。さすがに若い、そして美しい、ていうか、可愛いです。
小柄で華奢なので、少女みたいな風情。だいたい無表情だけど、笑顔で歌ったり踊ったりはしゃいだりするシーンも多く、かなり明るい彼女でもあります。この映画でも、悪びれる様子なく冷ややかにシレっとトボけてるユペりんでした。陳腐な悲劇のヒロインじゃないところが、さすがです。
マリーのダメ夫役は、今やフランス映画界きっての名優フランソワ・クリュゼ。さすがに若い!みじめなダメ男を好演してます。マリーの愛人役のニルス・タヴェルニエが、なかなかの美青年でした。彼はその名の通り名匠ベルトラン・タヴェルニエ監督の息子で、最近は俳優ではなく監督として活動してるとか。マリーと仲良しになる娼婦役の故マリー・トランティニャンも存在感あり。彼女の遺児二人とユペりんが「未来よ こんにちは」と「アスファルト」で共演してるのが、何か奇妙な縁めいてますね。マリーの幼い息子と娘役の子役たちが可愛かった。娘役のほうは、最近では「静かなふたり」などに出演しているイザベル・ユペールの実娘、ロリータ・シャマだそうです。早くも母娘共演してたんですね。
山本浩二さんとともに最強赤ヘル軍団を牽引し、プロ野球界に不滅の名を刻んだ鉄人衣笠さんも、病には勝てなかったのですね…星野さんに続いて、また野球の巨星が落ちてしまいました。あらためて、ご冥福をお祈りします。衣笠さんの弔いのためにも、カープにはぜひとも3連覇を成し遂げてほしいものです。今夜はそんな闘志が実って、手ごわいベイスターズに勝利。完投間近で無念の降板となった中村祐太の、悔しそうな表情にキュンキュンしちゃいました♡ユータくんは、ピッチャーが軒並み崩壊しているという窮状の中、最大・唯一の希望の星!中日に信じられない逆転負け、そして3タテ食らうとか、もうカープあかん~!と絶望してたけど、ちょっとだけ光が見えてきました。首位も再び奪取。今年はぶっちぎりとはいきそうにないけど、衣笠さん、天国から応援してください!
話はガラリと変わりますが。先日、やっとミヒャエル・ハネケ監督×イザベル・ユペールの新作「ハッピーエンド」を観に行くことができました。それを記念して、またイザベル・ユペール映画祭を開催したいと思います。今年のフランス映画祭でも、ユペりんの出演作が上映されるので楽しみ
お松の第2回イザベル・ユペール映画祭①
「主婦マリーがしたこと」
ナチス占領下のフランス、ノルマンディー。出征中の夫の帰りを待ちながら、幼い子供たちと貧しい生活を送っていたマリーは、隣の奥さんの堕胎を手伝う。いつしか堕胎で稼ぐようになったマリーは、裕福に美しくなっていくが…
ゴールデンコンビだったクロード・シャブロル監督とは、数々の秀作佳作を作り上げたイザベル・ユペール。この作品は、その代表作の一つといってもいいのではないでしょうか。ユペりんはこの映画で、ヴェネチア映画祭の女優賞を受賞(後に同じシャブロル監督との「沈黙の女」で2度めを獲得)。
フランスで最後にギロチン処刑となった女性の物語と聞くと、とてつもなく重く悲惨な話を連想してしまいますが、確かに悲劇的な話ではあるのですが、ぜんぜん暗くも重くもありません。そして、上質で痛烈なフェミニスト映画でもあります。ヒステリックなまでに声高に女性の権利を叫ぶ映画とか、き◯がいとしか思えない田島ヨーコ先生の支離滅裂な主張よりも、女とは?女の一生とは?妻とは?母親とは?と真摯に考えさせてくれる映画です。
昔に比べると、女性の自立や権利が保障されるようになったとはいえ。いつの世も女性にとって社会は、理不尽で不公平で冷たい。苦患に満ちていて、生きづらいまま。それに抵抗、反逆するかのように、自由に軽やかに生きようとしたマリーに下された、現代社会なら絶対にありえない罰の苛烈さに愕然、暗澹となります。でもマリー、確かに調子に乗り過ぎた。その行為、言動は責められて当然ですが、だからといってあんな末路になってもいいわけない。見せしめ、生贄にされてしまった、究極の運のなさです。堕胎の罪よりも、男社会に従うことを拒んで、自分らしく好きなように生きようとしたことが罪深いとされての制裁、みたいでした。捕まっても罪の意識がなく、何が悪いの?いつ帰れるの?と獄中で無邪気に出所の日を待ってる姿が、愚かで哀れだった。
映画はシャブロル監督らしく、ヘンにドラマティックにしたりせず、終始淡々と静かに、時に冷ややかなユーモアでもって、“マリーのしたこと”を描いています。堕胎ビジネスで稼ぐマリーが、どんどん調子ぶっこいてルンルン化する姿が、すごく軽やかでシニカル。クスっと笑えるシーンも多々あり。旦那への冷たさが、非道いけど痛快でもあって。夫にヘコヘコ貞淑にかしずいたりせず、マリーみたいに冷ややかな本音や現実を夫に叩きつけたい!と願望する奥さま、世の中にいっぱいいそう。
お金も稼いで、キレイになって友だちや恋人もできて、子どもに美味しいものを食べさせてあげられて。暗い時代に反していいことづくめの幸せな毎日を謳歌してたマリーが、予期せぬ形で逮捕され、裁判にかけられて死刑宣告!と、あれよあれよな急転直下の憂き目に遭うのですが、ついに来るべきものが来たな~という、不吉なことが起こる兆しや伏線は散りばめていた演出は、シャブロル監督ならではでした。
それにしても。いくら何でもマリー、夫を蔑ろにしすぎ。いくらダメ亭主でも、あそこまで全否定はあかんでしょ。マリーがもっと旦那に優しかったら、あんな悲劇は起こらなかったかもしれないし。あの夫、ダメ男だけど善い人だったから、あの仕打ちは可哀想だった。でも、マリーに愛されるよう、認められるよう努力をしなかった旦那も悪い。夫婦関係にも、思いやりと努力は欠かせませんよね~…
堕胎についても、あらためて考えさせられました。あんな方法で、堕胎ってできるの?!容易すぎるし危険すぎる!極めてデリケートな問題なのに、マリーや妊婦たちがあまりにもあっけらかんとしてたのが、ちょっと衝撃的でもあった。望まない子どもを“排除”することは、女性にとって大罪なのか救済なのか…いずれにせよ、男のほうが楽!とつくづく思いました。あと、ギロチン処刑が第二次世界大戦まであったことにも衝撃。絞首刑も電気椅子もイヤだけど、ギロチンもイヤすぎる~ナチス占領下のフランスの庶民生活も、リアルに描かれていました。あんな不便で窮屈で暗い生活したくないので、ほんと戦争反対!です。
イザベル・ユペールは、当時35歳ぐらい。まさに女ざかり、女優として脂がのりきってた頃です。さすがに若い、そして美しい、ていうか、可愛いです。
小柄で華奢なので、少女みたいな風情。だいたい無表情だけど、笑顔で歌ったり踊ったりはしゃいだりするシーンも多く、かなり明るい彼女でもあります。この映画でも、悪びれる様子なく冷ややかにシレっとトボけてるユペりんでした。陳腐な悲劇のヒロインじゃないところが、さすがです。
マリーのダメ夫役は、今やフランス映画界きっての名優フランソワ・クリュゼ。さすがに若い!みじめなダメ男を好演してます。マリーの愛人役のニルス・タヴェルニエが、なかなかの美青年でした。彼はその名の通り名匠ベルトラン・タヴェルニエ監督の息子で、最近は俳優ではなく監督として活動してるとか。マリーと仲良しになる娼婦役の故マリー・トランティニャンも存在感あり。彼女の遺児二人とユペりんが「未来よ こんにちは」と「アスファルト」で共演してるのが、何か奇妙な縁めいてますね。マリーの幼い息子と娘役の子役たちが可愛かった。娘役のほうは、最近では「静かなふたり」などに出演しているイザベル・ユペールの実娘、ロリータ・シャマだそうです。早くも母娘共演してたんですね。