まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

夫の目の前で…

2018-04-27 | フランス、ベルギー映画
 お松の第2回イザベル・ユペール映画祭②
 「Eaux profondes 」
 資産家のヴィクは、奔放な若妻メラニーの情事に寛容で無関心な態度をとっていた。メラニーの愛人たちは次々と不可解な死を遂げ…
 「太陽がいっぱい」などの原作者として知られるパトリシア・ハイスミスの小説「水の墓碑銘」を、「読書する女」など女優映画の名匠ミシェル・ドヴィル監督が映画化。ミヒャエル・ハネケ監督の「愛、アムール」と新作の「ハッピーエンド」では父娘役だったジャン・ルイ・トランティニャンとイザベル・ユペールが、この映画では夫婦役で共演しています。1981年公開の作品。36年前なので、当然ながら二人とも若い!

 メラニー役のイザベル・ユペールは、当時27、8歳。ショートヘアと、まだふっくらした丸い童顔が可愛い。小柄で華奢なので、ほんと少女みたい。役も悪女というより、イタズラ好きな子猫みたいでコケティッシュ。すごく陽気で闊達な若き日のユペりんが新鮮でした。可愛いけど挑発的で、すでにクールで二ヒルな毒があり、男たちの間をフワフワ飛び交いながら、毒を撒き散らして彼らを破滅へと導く小悪魔を、軽やかに楽しそうに演じてました。

 シックでエレガントな熟女な現在のユペりんですが、この映画の彼女はピンクや純白のドレスやパンツスーツなど、明るく可愛いファッション。おっぱい丸見え!なだらしなさ、あられもなさや、恥ずかし気もない平然とした全裸姿などが、天衣無縫なメラニーの性格を表していました。とにかく若い頃もユペりん、脱ぎっぷりがよすぎ!何ともあっけらかんと、ここで脱がなくても?!なシーンでも、大胆な全裸に。でも、着替えや入浴シーンで裸になるのは当然でしょ?と言ってるみたいな自然さリアルさが、さすがフランス女優です。

 ジャン・ルイ・トランティニャンは、当時51歳ぐらいでしょうか。現在はすっかりお爺さんになってますが、この映画の彼はシブい!ダンディ!そして男らしい!妻や幼い娘への優しさ甘さも素敵でしたが、たまに見せる射るような鋭い目つきが怖い!あの眼光が好きです。初老なのに、年寄りくささが全然なく、全体的にすごくシャキっとシャープで、若者みたいに動きが敏捷。プールで水着になるシーンがあるのですが、全然たるみがなく引き締まった上半身で驚きました。

 イビツな夫婦関係が怖くて面白かったです。ヴィクは若妻の浮気を容認していると見せかけて、間男たちを容赦なく始末。夫を疑い責めながらも、夫が殺人を犯すことが愛の証と無意識に思ってるようなメラニー。異常な愛のゲームのようでした。あんな異常な両親で、幼い娘が可哀想!娘が両親のやってることなどどこ吹く風で、すごく無邪気で幸せそうだったのが、せめてもの救い。働かずに遊びと趣味三昧っぽいブルジョア生活にも憧れます。ヴィクが飼ってたカタツムリが、ちょとっと不気味でした。何事にも動じないヴィクが、カタツムリ食べていい?と訊かれた時だけブチギレたのが笑えた。フランス料理のエスカルゴ、美味しいのかな?食べてみたいかも…
 サイコサスペンスな内容なのに、すごく洒脱で小粋な雰囲気の不思議な映画です。こういう大人の洗練された映画も、まさにフランス映画ならでは。今の邦画では望むべくもない味わいです。ミシェル・ドヴィル監督が撮った、フランスの人気女優たちが主演の映画のほとんどが、日本未公開なのが残念です。


 ↑若い頃のJLT、めっちゃカッコいい!
コメント (2)
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