まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

君が男でも女でも愛してる

2021-04-01 | 中国・台湾・香港映画
 久々の更新!皆様ご機嫌いかがでしょうか?
 思いがけないことが起きて、身も心も慌ただしくしておりました。というのも…私事なのですが、このたび縁あって結婚することになりました。恥ずかしながら、相手は15歳も年下です。いろんな不安は否めませんが、彼を信じて幸せになりたいと存じます。
 何てね(^^♪ぜんぶ嘘です今日はエイプリルフールですね!しょーもなさすぎる嘘ですんません結婚は嘘ですが、ある思いがけないことは本当に起きて、バタバタとしておりました。何が起きたのかは、おいおいお話ししたいと思いまする。
 今日4月1日は、レスリー・チャンの命日でもありますね。レスリーの死のニュースは、たちの悪い嘘かと思いました。あの日の衝撃と悲しみは、今でも鮮明に覚えてます。レスリーを偲んで、特に好きな彼の作品を回顧していきたいと思います…

 永遠的張國榮 ①
 「君さえいれば 金枝玉葉」
 人気歌手ローズに憧れるウィンは、彼女に近づきたい一心で男になりすまし男性歌手オーディションに応募、何と合格してしまう。ローズの恋人で音楽プロデューサーのサムは、天真爛漫なウィンに惹かれる自分に戸惑い悩むが…
 これまで観た香港映画、そしてラブコメ映画の中ではMY 最高傑作!これほどハッピーな楽しさと胸キュンにあふれた映画、他に私は知りません。気が滅入った時に観たくなる作品。コロナ禍で気分が落ち込んでる人に、ぜひ観てほしいです。それにしても。この映画、公開からもう27年!も経ったんですね~。でも、いま観ても色褪せない、それでいてノスタルジーにもあふれた、往年の香港映画ファンにとっては宝物のような映画。久々に観ましたが、やっぱ名作!

 女の子が男になりすます設定は韓流ドラマでおなじみですが、この香港映画こそその元祖、そしてベストですよ。韓流は亜流かパクリ。そもそも韓流の男装ヒロインは、これのどこが男なの?!男でまかり通るなんてありえん!な可愛すぎる女の子ばかり。男受けを狙ってるあざとさも鼻につく。その点この映画のウィンは、見た目もキャラも男に変身する前から女子女子しておらず、かなり男に近い。まさに香港人なガヤ娘っぷりが笑えます。演じてるアニタ・ユン、一世一代の名演!まさにウィン役を演じるために生まれてきたかのような女優。背が高くてペチャパイ、声が低い、短髪が似合う、という身体的特徴も奇跡的。もちろん顔は超可愛いので顔だけだと男には見えないのですが、BL漫画に出てくる可愛い男の子みたいなのが腐には好感。アニタ・ユンこそ、後にも先にもmy best of 男装ヒロインです。アニタ・ユン、現在はどんな姿になってるのか、気になるけど怖くて調べられない。彼女には私の中ではずっとウィンのままでいてほしいから。

 香港コメディ独特のあのガヤガヤしさが、楽しく懐かしい。みんなドタバタと大騒ぎ、ベタすぎる泥臭い笑いが愛おしい。香港人ってみんないつもあんなにオーバーリアクションなの?広東語だと、何でもコミカルに聞こえる。下ネタも多いのですが、下品にならず微笑ましいレベル。ウィンと幼馴染のユーロウとのやりとりが、いかにもコテコテな香港で好き。ユーロウのウィンへの男に化けるための特訓が笑えます。この映画は脚本もすぐれてるんですよね~。蛍光ペンやゴキブリなど、小道具の使い方が秀逸!
 この映画が忘れ難いのは、やはり故レスリー・チャンの存在ゆえでしょう。様々な映画で魅力を振りまいたレスリーですが、このコメディではとりわけ彼の個性と才能が活かされてる、いや、炸裂してます。とにかくレスリー、スマート&スウィート。ベタなお笑いシーンも可愛い過ぎる。特に好きなのは、暗いエレベーターに閉じ込められてギャーギャー騒ぐシーン。そして、ピアノを弾きながら歌うシーンの彼は神々しいカッコよさ。本当に素晴らしい俳優、そして歌手だったレスリー。

 性を超えた魅力を、レスリーが遺憾なく発揮すればするほど悲しい。中性的なレスリーですが、決してキャマキャマしくはなく、むしろ男っぽい演技。やたらとパンイチ姿になったり、ふんがー!と女にがっついたり。でも、男にはない柔らかさ、女にはない優しさが匂いたってます。そしてガラス細工の繊細さが切なくも痛ましい。男に恋してオロオロ悩むレスリーが愉快なのですが、実際にもゲイの噂があったレスリーがこんな役を、と当時は驚かされたものです。前作の「さらば、わが愛 覇王別姫」の大成功で、何か吹っ切れたものがあったのでしょうか。覇王別姫、金枝玉葉、そして「ブエノスアイレス」と、同性愛を描いた秀作を連発したこの頃のレスリーは、まさにカミングアウト的な絶頂期にあったように思われます。

 苦悩と葛藤を乗り越えたサムがウィンに言う『君が男でも女でも愛してる』は、私にとって映画史上最も感動的な台詞。ウィンが本当に男だったら、もっと感動的だったんだけど。当時は悲劇かキワモノで描かれることが多かったLGBTに、優しさと希望の光を射した佳作、そして不世出の明星レスリー・チャンの魅力は永遠に語り継がれることでしょう。

 可憐な花のようだったレスリーが散って、もう18年。彼がもしあんなにも美しくなければ、ひょっとしたら自ら死を選ぶことはなかったのでは、と今でも思ってしまいます。老いて美しさを失う苦しみと絶望は、美しい者にしか解らないのでしょう。悲しみは尽きないけど、みっともない若作りに必死になって嗤われる老人と化したレスリーを見ずにすんだことだけは、不幸中の幸いと言えるのではないでしょうか。
 ワガママだけどめっちゃ善い女なローズも、好感度の高いキャラ。演じてたカリーナ・ラウもいい女。旦那のトニー・レオンともども、すっかり日本では見なくなりましたね。おかまプロデューサー役は、香港映画の顔的存在だった大御所エリック・ツァン。やくざの親分役がオハコだけど、気風のいいおっさんオカマも軽妙に好演。ウォン・カーウァイ監督作品など、この頃は大人気だった香港映画。またかつての輝きを取り戻してほしいものです。

 この映画を日本でリメイクするなら、サム役はヒゲダンの藤原聡がいいかも(^^♪レスリーみたいな美男子ではないけど、きっと似合うのではなかろうか。ウィン役は、若い頃の榮倉奈々が風貌的には合ってると思うけど、今の女優ではとんと思いつきません。

 
コメント (9)
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