まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

感染する狂気!“台所のネズミが...”

2008-08-11 | フランス、ベルギー映画
 北京オリンピックもたけなわですね!
 内柴さん、北島コーたん、YAWARAさん、そして中村美里ちゃん、メダルおめでとー!!
 命がけで競技に挑んでいる彼らは、まさに誇り高い武士ですよね。銅メダルを獲っても悔しそうに、金以外は意味がない!と言い放った美里ちゃん、カッコよかったですね。まさに、参加することに意義があるなんて甘いキレイごと、と言わんばかり。何年か前の冬季オリンピックでは、無様に惨敗しながらも、私たちが楽しんでやれたからそれでいいじゃん~♪なんてヘラヘラ帰ってきて、多くの国民からフザケンナと大顰蹙を買った選手たちがいましたが...スポーツ選手には、負けたら切腹!的な厳粛な気炎を見せてほしいですよね。
 引き続き応援!強く美しい大和魂、見せちゃれやー!!
 それにしても、民放のオリンピック番組...ヘンなタレントにヘンなテーマ曲で、軽薄チャラチャラの嵐...
  
 
 「レミング」
 幸せな若い夫婦アランとベネディクトは、台所で配水管に詰まっていたネズミを発見する。それは集団自殺すると言われている、北欧にしかいないはずのレミングだった。その日を境に、正常だった二人の生活が静かに崩壊し始める...
 シャルロット・ゲンズブールとシャーロット・ランプリングの2大女優が競演、カンヌ映画祭でオープニングを飾り、フランス映画祭でも上映された話題作だったのに、なぜか劇場公開されず長い間お蔵入り、やっとDVDになったので観ることができました。
 これって...ひとことで言えば、不思議で不気味な映画です。なぜ?!どーいうこと?!が、静かにゴゴゴゴと渦巻いてる感じ。わけがわからないまま主人公のカップルが、ゆっくりと不可解に壊れていく様子が、異様で面白いです。
 原因不明なコワレ病に罹ったアランとベネディクト、異常で狂ってるのはどっち?と惑わされる内容も、なかなかユニーク。優しく献身的だったベネディクトが、いきなりヒステリックになったり、夫を山に置き去りにしたり、社長と浮気するようになったり、明らかに妻のほうがおかしい、と思わされつつ、妄想?現実?な体験を繰り返すアランも、かなり危なく見えてしまう。最後まで曖昧で謎めいた展開&ムードなので、明確な結末や謎解きを期待すると、何じゃこりゃ~!?な映画ですが、観客の想像や解釈に委ねるミステリアスさ、私は好きかも。
 ペストではなく、狂気を運んできたようなレミングが、象徴的で印象的な存在。人間って、ひょっとしたら何でもない些細なことがきっかけで、突然プツンと正常がストップして異常にスイッチオンされることも、あり得るかも?
    
 フツーに見えつつ異常化、というベネディクトを、シャルロット・ゲンズブールが淡々とクールに演じてます。さすがに顔は老けたけど、独特の透明感は不変で素敵です。昔は、笑ったら損!みたいにブスっと不機嫌顔(それが魅力だったけど)がトレードマークだった彼女も、最近は笑顔もよく見せてくれるようになってますよね。その笑顔も、いかにも演技で作ってるって感じが皆無で、自然なのがトレビアン。相変わらずファッションも、シンプルでナチュラル。シャルロットが着ると、きっとユニクロでもオシャレに見えることでしょう。
 アラン役のローラン・リュカ、「変態村」に続いて狂気の受難!みんなからヒドい目に遭わされて、可哀想です。ちょと濃い目ですが、なかなか男前です。カメラつきラジコンヘリコプター飛ばして、妻の浮気現場を盗撮するのが、哀れかつ笑えた。 
 アランとベネディクトに絡んでくる社長夫妻が、レミング同様に不吉な存在。優しいけど女好きな社長役のアンドレ・デュソリエおぢさま、ロマンスグレー&爺でも現役の男ぶりが素敵です。社長の妻役、シャーロット・ランプリングが、こ、怖い...のっけから、危ない度MAX!見た目もやることも、ヤバすぎます。登場シーンは少ないけど、強烈な存在感です。
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おキャメVSアシュトン 恋愛博打で勝負!

2008-08-10 | 北米映画 08~14
 「ベガスの恋に勝つルール」
 アッパラパー女王キャメロン・ディアスと、アホバカ王子アシュトン・カッチャー。ハリウッドの2大コメディスターが、待望の顔合わせを実現!
 恋人に捨てられたキャリアウーマンと、仕事をクビになった家具職人の青年が、ラスベガスで出会って意気投合、泥酔の果てに結婚してしまう。翌朝、カジノで大もうけしてしまい、お互い金の権利を主張する二人は裁判所から結婚生活を続けるよう宣告され、しぶしぶ同居を始めるが...
 面白かったです。虫歯になりそうなスウィートすぎるロマコメは苦手ですが、こーいったノーテンキなオバカ系は大好き。下品で欲張りでエネルギッシュで前向きなアメリカ人の生態?を、この映画も明るく楽しく描いてます。
 何の共通点もない男女が、ケンカしながらだんだん相手のことを好きになっていくってのは、あまりにも使い古された陳腐な予定調和ですが、二人のいがみ合いこそメインディッシュみたいな映画なので、恋愛よりも笑いを期待する人向けかも?
 気のきいた洗練されたやりとりなどでクソ食らえ!な、ほんとオゲレツでオバカな二人のバトルが笑えます。下ネタ満載なのが、あっけらかんと豪快なアメリカンって感じ。
     
 まあ、キャメロン・ディアスVSアシュトン・カッチャーで、おしゃれなラブコメなんてできるわけないし、そんな二人は見たくない。期待通り、二人とも体を張ったオバカ合戦を繰り広げてます。どっちが笑いを取れるか!と火花を散らさんばかりに。ハリウッドの人気スターが、日本の若手お笑い芸人でも躊躇しそうなことを、捨て身で果敢にやってるのがスゴい。
 おキャメの気取らないチャーミングな下品さが好き。陽気で裏表がなく、仕事もできてノリがよくてエッチなので男にモテる、けど軽く見られて幸せにはなれない負け犬女、でもウジウジなんかしない大人の強い女、というイメージが、おキャメが同性からも愛される理由なのでは?したたかなブリッコ女、という同性に最も嫌悪されるタイプとは、対極にいますよね。
 おキャメの、他のスター女優は絶対やらないような、堂の入った酔っ払い&エッチ演技が立派です。ほんと、一緒にいたら楽しいだろうなーと思わせる人ですよね。スタイルも相変わらず超いい!顔とか肌艶とかは、さすがに寄る年波でアップが痛々しいことも。今後も、愉快にキャピキャピキャーキャー騒いでてほしいけど、それもだんだんキツくなってきてるような。おキャメご自身にとっても、ファンにとっても。
 アシュトン・カッチャーって、ほんと面白い男ですよねえ。表情とか口調が珍妙で笑える。特に、ぷっつん怒った時のアホっぷりが最高!こいつマジでアホだよ~と、怖くなるほど。特に、カジノで怒ったおキャメにロボットになってバカにするところとか、ズボラで不潔な暮らしぶりとか、ポップーコンをイカ臭くしてしまうところとか、アホすぎて傑作でした。
 こんなにカッコカワいいイケメンが、こんなアホなことを!ってのが、アシュトンの専売特許です。巨体(ノッポのおキャメを見おろせる俳優なんて、なかなかいません)も、以前のユルさがなくなって引き締まった感じになってて、カッコよさが増してた。おキャメが気の毒なほど、何もかもが若々しい。男の30歳と女の36歳って、ここまで違うんですねえ。
          
 仲良く来日したおキャメ&アシュトン。二人には、無理に演技派志向な挑戦なんかせず、アホバカ女王&王子でいてほしいな。お笑いのほうが、ある意味シリアス演技より難易度は高いと思うし...
 もう“デミ男”なんて言わせない!初来日のアシュトンには、あの妻も同行!ルミ子とケンヤになる気配がない円満ぶりをrespect!人造人間化してる奥さんの肉体維持費管理費のため、アシュントン頑張って稼がないとね...
 
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黄真伊⑪~⑱ 落花流水

2008-08-07 | 韓国のドラマ
 「ファン・ジニ」第11話から18話まで観ました...

☆才気煥発!
 憤激する清国の大使を、その才気で感嘆・敬服させるチニ。上祐さんも舌を巻く、あー言えばこー言うぶりが鮮やかです。
☆チニ殺人未遂事件!
 舞の練習をしているチニに、仕掛けられた丸太が!偶然出くわしたジョンハンが、とっさにチニを庇って負傷。
 すごい仕掛けですねえ。準備してるとこ、誰にも見られなかったのが不思議。いつもチニにくっついてる用心棒って肝心な時に、君がいない~♪by ZARD なんですね。
☆サンス坊ちゃん
 きゃ故ウノの学友だった彼、期待通り予想通りなアホエロ男に成長?してて、可愛い。ほんとアホだけど、よく見たら男前だし。ぶっちゃけ、ウノやジョンハン、用心棒よりイケてます。吹き替えの声・口調も笑えます。もっと出番を増やして!
☆ピョクケスさまのチニ陥落大作戦♪
 やんごとなき王族の貴人ピョクケスさま。一見二枚目な風流人ですが、結構アホなところが笑えて面白い御方です。チニを何とか落とそうと必死になるたびに、屈辱的に拒絶されて激怒&しょんぼり、の繰り返し。ピョクケスさまの決まり文句『この無礼者がー!!』ちょっとマネしちゃいそうです。
 絶対的な権力を握り、キーセンなど虫ケラ同然と思ってる身分にしては、チニにもプヨンにもペンムにもいいようにあしらわれてバカにされて、いつも苦杯を飲まされてるピョクケスさま、何だか可哀想。チニに手ひどく拒まれれば拒まれるほど、ぷっつんしつつ萌え~なところから察するに、真性M男なのでしょう。チニのママに、娘を口説き落とすための手ほどきを受けるなど、一生懸命なところも好感。
☆ジョンハンが、たまにあの人に見えて...
 キム・ジェウォンくんのバックに、どんな時も~どんな時も~♪がBGMみたいに流れてきそうな瞬間が...これって私だけ?
☆サンス坊ちゃん2
 きゃまた出てきました♪相変わらず学問に身が入らず、エッチすることばっか考えてる彼のハァハァぶりが可愛い。彼が出てくると、何だか心が和みます。
         
☆謝れ!ウノに謝れ!
 チニのペンムへの反抗心は激化するばかり。ペンムが生涯を賭けた舞譜をケチョンケチョンに完全否定した挙句、そんなに私に舞って欲しけりゃ、死んだウノに土下座して謝れ!と、居丈高に命令し師匠をひざまずかせるチニ。キツイ娘ですねえ。
 ウノのことで師匠に恨み骨髄なチニですが...ペンム、そんなに非道なことしたかなあ?ウノがしっかりしてたら、あんなことにはならなかったはず。恨むならウノの頼りなさを恨めよ。
☆ピョクケスさま大失敗です!
 チニに未練たらたらなピョクケスさま。今度は王様に取り入って、チニを側女にする許しを得ることに成功!やったネ♪そのためにすごく尽力したところが、努力家?ピョクケスさまらしくて好感。その執念や努力、国政のために活かせないのが惜しいですね。
 だが。またまたピョクケスさま、チニに屈辱的に拒絶&愚弄されちゃいます。可哀想。ふて腐れてヤケ酒、ウダウダとブーたれまくるピョクケスさま、もはや風流な王族という気品も威厳も失せ果ててます。ただの酔っ払いアホ男です。駄々っ子みたいで可愛いけど。
 ペンムに八つ当たりするピョクケスさま。おめーらなんか、ただの売春婦じゃ!ピョクケスさまの暴言に、ついにペンムぷっつん!星飛勇馬の親父のごとく、ピョクケスさまの卓を引っくり返し、ざけんじゃねー!と啖呵を切る。『この無礼者がー!!』待ってました♪ピョクケスさまには、やっぱこの台詞でキメてもらわないとね!
☆さよならペンム
 悲壮にも誇り高いキーセンの最期でした。実の母親や愛した男たちよりも、はるかに強く深い縁で結ばれていた師匠との別れは、チニとって決定的な転機になりそうです。
★総括
 ペンムやピョクケスさまを睨む鋭い目や、いびつで不敵な挑発的嘲笑。ハ・ジウォンは、やっぱそーいう演技してる時が最も魅力的ですね。
 
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鎮魂の夏

2008-08-06 | 日本のドラマ(単発)
 8月6日は、広島で生まれ育った者にとっては特別な日です。63年目を迎えた原爆記念日の朝、平和のために祈りました。
 広島が舞台のNHKのスペシャルドラマ「帽子」を観ました...
 広島・呉。帽子職人の老人・春平は、東京にいる息子とは疎遠で、寂しい独り暮らし。セキュリティ会社の警備員・吾朗は、何かと自分を呼び出す春平に辟易している。そんな中、吾朗を産んですぐ家を出た母が余命いくばくもないこと、そして彼女が春平とは兄妹同然に育った幼馴染の世津だと判明。春平は吾朗とともに東京へ向かうが...
 しみじみとした、佳いドラマでした。ドラマチックな展開も、いかにも泣け!なお涙ちょうだいシーンも台詞もないけど、原爆の悲劇や切ない愛が静かに優しく描かれていて、心に沁みました。
 胎内被爆、という悲劇についても、さりげなくも深く考えさせる内容です。差別偏見をする人もされる人も、悲惨な戦争の生き証人が年々減少していくことは仕方がないことですが、その代わりに戦争?何それ?な時代が来てほしい、と心から願わずにはいられません。
 決してガチガチの反戦ドラマではなく、どちらかといえば哀歓ある人情ドラマです。春平と世津の実らなかった恋は、ちょっと韓ドラっぽくセンチメンタルすぎたけど。互いに孤独を抱える春平と吾朗の触れ合いが、ほのぼの+しんみりしていて良かった。
  
 春平役の緒形拳、やっぱ名優ですね。かつてのギラギラしてた野獣オガケンも、すっかり枯れた爺さんになりましたが、今でもイケてるぞ!ちょっとボケ気味な爺さん役なのに、ヨボヨボ弱々しくないし。中学校の職員室に殴りこみ?生意気な教師に、このバカタレー!!と怒って殴りかかっていく凶暴さや、時おり見せる鋭い眼光とか、往年のオガケンらしくて素敵でした。
 息子には見捨てられているのに、それを自分にも他人にも認めようとせず、都合のいい虚勢を張る春平が、滑稽で哀しい。孤独が痛ましいけど、トボけたオチャメな老人を、オガケンが可愛らしく演じてます。『ハサミがないんよ~ハサミ探してくれえや~』なんて吾朗を困らせたり、吾朗の車に勝手に乗り込むチョコマカした動きとか、ほんとキュートでした。
 学芸会な若いタレントに諂い媚びてまで、華やかな民放のドラマには出ないオガケンの、役者魂を悪魔に売らない仕事スタンスが好きです。でも良い作品なら、脇役も喜んでするところも、彼の素晴らしいところですよね。
 吾朗役の玉山鉄二も、なかなか好演してました。田舎の警備員にしては、ちょっと美男すぎるけど。広島市民に混じって原爆ドーム前を歩くシーンがあるのですが、あんな男やっぱ一般世界にはいませんよ。インタビューでも言ってたけど、オガケンとの共演は、玉鉄にとって良い勉強になったようですね。
 オガケンと玉鉄の広島弁が笑えました。すごく頑張ってたけど、やっぱねえ。生粋のネイティヴからしたら、かなり変でした。でも、好きな俳優が広島弁を口にしてくれると、何だか嬉しいものですね。玉鉄の『何しょうるんなー!』オガケンの『ぶち殴っちゃる!』が微笑ましかったです。吾朗役、岡野昭仁だったら完璧な田舎広島青年だったかも?
 世津役は、久々に見た田中裕子。おしんも、年取ったなあ。玉鉄のパパ役は、岸部一徳。おしん+岸部氏で、玉鉄みたいな息子が生まれるかなあ?!
 舞台となった呉。ロケ地に、馴染みの場所が出てきて楽しかったです。「海猿」でも使われた階段とか、三条通りの商店街とか。黄昏どきに見る造船所のクレーンと煙って、実際にも何だか悲しい気持ちにさせるんですよね。風景は変わらないのに人間は変わっていく...みたいな。
          
 施設の爺ちゃんとイケメン介護士、ではありません。それにしても。この画像のオガケン、ちょっとヤバいですよねえ
 
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ミレン女王にひざまずけ!

2008-08-05 | 欧米のドラマ
 「エリザベス1世 愛と陰謀の王宮」を観ました。ゴールデングローブ賞の作品賞や主演女優賞を受賞するなど、高い評価を得た英国のテレビドラマです。
 最近は、日韓の映画やドラマのイケメン男優に萌えてばかりいる私ですが...たまにヘレン・ミレンみたいなスゴい女優の演技を目の当たりにしてしまうと、私のような素人でさえ役者の力量や格の違いってのが解かる。ヘレン・ミレンに比べたら、大好きなイケメンくんたちの演技は、しょせん学芸会の延長だなあ、と。
 オスカーを受賞した「クィーン」が静の名演なら、このドラマは動の力演でしょうか。とにかく、いつもながらヘレン・ミレンには圧倒&感嘆させられます。
 前編:大英帝国を統べるエリザベス1世は、レスター伯という恋人がいるが表向きは独身なので、世継ぎの不在が悩みの種。そのため、フランスの王族アンジュー公を婚約者として迎える。一方、スコットランドのメアリー女王の周辺で不穏な動きが...
 後編:エリザベス女王の寵愛は、亡きレスター伯の義理の息子であるエセックス伯が独占。それを危惧する重臣たちと愛しい恋人の間で、女王は苦悩するが...
 ドロドロした陰湿で血塗られた宮廷陰謀劇、には違いないのですが、意外と笑えるシーンも多くて(特に前編の、アンジュー公とのエピソードは、かなりコメディタッチ)、悲劇と喜劇が巧くブレンドされてる内容?暗く隠滅なドラマにならなかったのは、やはりエリザベス女王の強烈なキャラのなせるわざでしょうか。
  
 人々を魅了し平伏させるカリスマと威厳、そして未婚初老女の悲哀と煩悶。女王が目まぐるしく見せる、女のカッコよさと醜悪さ、強靭さと脆さが圧巻です。
 怒りと憎しみでプッツンしたら、大魔神と化して血の雨を降らす恐怖の女王さまですが、基本的にはクールで寛大で闊達、そしてユーモアにあふれた素敵な女性なのです。実は結婚願望が強かったり、重臣たちへのウィットに富んだ冗談や皮肉、民にも親しげに接したり、寵童エセックス伯といい感じな女官に嫉妬して軽く意地悪したりする女王さま、何だかオチャメで可愛いです。イケメン好きの面食いなところも笑えます。
 絶対的権力を握る無敵な女王さまですが、愛に不自由なのが唯一の弱点で痛ましい。結婚はできないまでも、好きなイケメンといくらでも遊べるんだろうけど、王さまとか将軍とか男みたいにはなれない。愛する男には一途、あなただけでいい、になっちゃうところは、やっぱ女王さまも女なんですよねえ。
 ヘンに大熱演!じゃない、軽やかで泰然としつつ繊細なヘレン・ミレンの演技は、本当に素晴らしいです。女王の葛藤や苦悩に焦点を当てたドラマなので、派手なシーンや他のキャラ任せにできるシーンが、ほとんどない。並大抵の力量では、演じきれない役。最後まで視聴者の目をクギづけにするミレンおばさまは、やはり傑出した女優です。シワも弛みも隠そうとしない、リアルな老いのさらしぶりに、きれいに見せることしか考えてない女優とは、やはり役者魂が違うよなあと尊敬。重臣たちとアレコレ謀議する姿は、ちょっと「第一容疑者」シリーズのジェーン・テニスン刑事とカブります。
 重臣たちも、みんないい味だしてました。伏魔殿の陰謀家というより、国政と女王のために策略も辞さない憂国の政治家って感じなのが好感。特に、女王にチビちゃんと呼ばれるロバート・セシルが良かった。ブサイクだけど謙虚で優秀な彼が、イケメンだけど驕慢で浅はかなエセックス伯に勝つ逆転劇が、すごく皮肉です。
 収穫だったのは、エセックス伯役のヒュー・ダンシー。
  
 その可愛いジゴロぶりで、女王さまをメロリンキューに。たぶん自分のママより年上なミレンおばさまと、熱い抱擁やディープキスの嵐!よく頑張った!と賞賛したい。ミレンおばさま、役得すぎる!この年の差は、犯罪に近いよ。もし男女逆だったら、問題視されてたかも?
 エセックス伯は、純粋に女王を愛してたのか、それとも野心のために媚びてただけなのか?どっちも、なんだろうなあ。その掴めなさが、女王にとっては魅力だったのかも。女王さまに認めてもらわなきゃ!と張り切るのはいいけど、やり方を誤る思慮のなさや、女王さまは僕を愛してるから、何してもOK♪な思い上がりが、破滅を呼んでしまったエセックスくん、愚かだけど可哀想。女王さまをナメすぎてましたね。若造が太刀打ちできる相手ではないのに。おとなしく“きみはペット”に徹してればよかったのに。でも、ギリギリまで彼を甘やかしてた女王さまも悪い!
 天真爛漫(ノーテンキ?)で情熱的な悲劇の美青年エセックス伯を熱演したダンシーくん、要チェキな英国若手俳優です。クレア・デーンスと付き合ってるらしい?
 レスター伯役のジェレミー・アイアンズも、相変わらず素敵なおぢさま。優雅でダンディで、非メタボなスマートさがカッコいい!
 それと、心臓の弱い人は観ないほうがいいかも...数回ある処刑シーンが、生きたまま心臓をエグり出したり斬首が一撃で終わらず斧が首に食い込んだりこんなのお茶の間に流しちゃマズいだろ~!?な残酷さです。
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飛天舞①~⑤ 運命の秘剣!

2008-08-04 | 韓国のドラマ
 韓国では長い間お蔵入りしてたという、チュ・ジンモ主演の時代劇「飛天舞」待望の観賞スタート♪

☆父上が男前
 秘剣法・飛天神技の伝承者である武将。始め、これってジンモ?二役?かと錯覚。騙まし討ちされ、息子を産んだばかりの妻ともども、悲惨な最期を。もう出番終了なのが惜しいほど、父上がイケメン♪
☆チュ・ジンモasジナ登場
 ぎゃぼ(死語?)ジンモ~カッコいいけど、朴訥なイモイモ感がいいんですよねえ。腕っ節は強いけど、ちょっとボ~っとしてて世慣れてないシャイなジナが、でかい図体した純粋無垢な子供みたいで可愛い!
 それと、やっぱジンモって、たまに、ふとした瞬間に、キムタコに似て見えるんですよねえ。チャラチャラ貧相じゃない爽やか壮健セクシーなキムタコ=ジンモ、みたいな?目の錯覚?
  
 ジンモ、背が高くて体格がいいので、闘う姿に迫力があってカッコいいんですよね。ほんとに強そう。私でもケンカしたら勝てそうな貧弱ジャ○ーズのタレントとかとは、やっぱ違います。
☆ソルリ
 ヒロイン。うう~ん、美人だとは思うけど、佐藤エリコとかMUGUMI系?どっちかっつーたら、ヒロインに意地悪する悪女のほうが似合いそうな顔?
☆ジュングァン
 ジナと仲良しになる豪商の御曹司。若さまにしては、おっさんっぽいですねえ。原田大二郎似?
☆僕の大好きなおじさん
 育ての親である叔父さん(実は父上の家臣)は、剣術の稽古の時は鬼のように厳しいけど、普段は慈愛に満ちた老人。彼を慕うジナが、めちゃ可愛い!叔父さんにコイツめ!と小突かれて、テヘ♪と笑う顔の愛らしさときたら!萌え度MAX!
☆くの一 おんな忍法帖
 ジュングァンに仕える爺やは、そのスカーフェイスが示す通り、決して堅気の老人ではありません。長年追っている飛天神記を手に入れるため、配下のくの一に命じていろいろ画策。くの一、怪しい忍者コスチュームが返って目立つので気になる。
☆中学生かよ
 ソルリに片想いのジュングァン。彼女に呼び出されて、ウキウキ。でも行ってみたら、これ(手作りの服)をジナに渡してください♪と、パシリにされてガッカリ。ヴァレンタインデイに好きな女の子に呼ばれて行ってみたら、自分の友達にチョコを渡すよう頼まれる間抜けな男の子、みたいなジュングァンでした。可哀想。女って、ほんと無神経ですねえ。
☆俺は妹に恋をする?
 実は将軍の娘だったソルリ。迎えにきた将軍の息子ヤフライは、ジナやジュングァンを何かと敵視。妹ソルリには、そっけないけど心配したり気遣いを示したり、ソルリを手篭めにしようとしてた悪代官一味を皆殺しにしたり、ソルリをイヂメる自分の母に怒ったりする兄ちゃん、妹のことが好きっぽい?!禁断愛も期待♪
☆騎馬軍団の若大将
 あれ、このクォン・サンウの弟みたいな男子、どっかで見たことあるぞ。あ、「台風太陽」でジョンミョンに兄貴と慕われるスケーターじゃん!
 で、この若大将も恋する男。でも相手の女は、ジナにZOKKON一目惚れ。若大将、そんな高慢ちきなじゃじゃ馬娘が何で好きなの?
 韓ドラで最も不可解なのは、男が一途な愛を捧げるほど、女に魅力がない点。ていうか単に男が、じらされたり弄ばれたりしないと燃えない精神的Mなだけ?
★総括
 チュ・ジンモがチョンマルかっこかわいいです!それだけで途中リタイアせず完観できそうなドラマ。
 中国と韓国のチャンポンみたいな内容やファッションも面白い。ちょっと北斗の拳みたいな設定なので、ヌルい恋愛よりも、男たちの熱いバトルに重点を置いてほしいなあ。
       
 秋の韓流シネマフェスティバルで、ジンモ主演の「愛 サラン」が上映!こちら
 
 
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愛という名の地獄

2008-08-03 | フランス、ベルギー映画
 「美しき運命の傷痕」
 今は亡き名匠クシシュトフ・キエシロフスキ監督の遺稿を、「ノー・マンズ・ランド」でアカデミー外国語映画賞を受賞したダニス・タノヴィッチ監督が映画化した、愛に傷つき苦悩する三姉妹の物語。
 ドラマチックな音楽をバックにした、万華鏡のようなシーンがやがて、他の卵を巣から落とし続ける生まれたばかりのカッコウ?の雛を映し出すオープニングが、とても印象的です。他者を排除して自分が生存しようとする、恐ろしくもたくましい姿が、これから始まる物語を重なるのかな、と期待させられますが...
 原題が“地獄”であるこの映画、思ってようなドロドロした内容でもムードでもなかったです。陰鬱で重苦しい感じ。全体的に赤味がかった映像が独特です。
 ラスト近くまで顔を合わせない三姉妹。それぞれ別個で進める話が交錯する構成になってます。三姉妹をもっと面白く絡ませてほしかったかも。
 三姉妹を悩ませるものは、離婚や不倫、孤独といった割とありがちなもの。彼女たちの言動ってかなり異様で、ちょっと精神的にイタんでるのでは?と思わせる不気味さがあります。その根本的的理由が、現実的に抱えている問題のせいではなく、過去に起きた悲劇によるトラウマにある、と判明すると、それはいったい?という謎めいた秘密によって、話が面白くなってきます。その秘められた真実に、愛は結局のところ、人間を地獄にも堕とし得るんだなあ、と怖くなりました。
 もしも故キエシロフスキ監督だったら、もっと神秘的で透明感ある運命の描きかたをしただろうなあ。それと、女優をもっと美しく撮ってたはず。「ふたりのベロニカ」と「トリコロール赤の愛」のイレーヌ・ジャコブは、ほんと聖なる美しさだったよなあ。三姉妹を演じる(こんなに似てない姉妹もなかなかいない)エマニュエル・ベアール、カリン・ヴィアール マリー・ジランは、三人とも実力ある個性的な女優なんだけど、いまいち魅力的に見えなかったのが残念。三人とも、妙に生々しい女なんですよねえ。リアルな感じって、“運命”というテーマには何だかそぐわない。この映画だと、運命というより因果って感じ。
 脇役陣が、なかなか豪華です。
 三姉妹の母役は、老けメイクのキャロル・ブーケ。ざんばら白髪、鬼のような無表情で、怖い...ジャン・ロシュフォール、ジャック・ペラン、ジャック・ガンブラン、ギョーム・カネ、と男優がシブい面々。ギョーム・カネが告白する過去の真実が、びっくりです。
 
 
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悪夢の臨月!

2008-08-01 | フランス、ベルギー映画
 「屋敷女」
 運転していた車で事故を起こし、同乗していた夫は死ぬがお腹の赤ちゃんは事なきを得るヒロイン。出産を間近に控えた彼女の家に、謎の女が現れ...
 鮮血ドバドバ系スプラッターが苦手な人、そして妊婦さんは、観ないほうがいいです。
 話じたいは、ほとんどない?13日の金曜日妊婦ヴァージョン、みたいな感じ?ジェイソンみたいな不気味女が、じゃんじゃか人を殺しまくり、血まみれになりながらヒロインが逃げたり反撃したりする、ただそれだけです。
     
 ↑ギャー!!手の甲をハサミで杭打ちにして逃げられなくしたり
 殺し方が、エグくてグロい。ハサミを脳天に突き刺したり。ガスバーナーで顔を焼いたり。あげくは、ついに逃げられなくなったヒロインが、破水して出産しそうになり、ハサミを持った殺人鬼女が産婆さんになって、おいおいっまさか、やめてー!!げげげげぇ~!な、悪い予感がズバリ的中するゲロゲロシーンに、げんなり。
 ヒロインが、殺人鬼女以上に不死身なのが驚き。あんなに殴られたり蹴られたり、刺されたり大量出血したら、本人はともかくお腹の赤ちゃんは確実に死ぬだろ~?!TVドラマとかだと、ちょっとコケたぐらいで流産してるけど。赤ちゃんって、案外タフなのかな?むかし、名古屋で妊婦が腹部を切り裂かれて殺された事件があったけど、取り出されてた赤ちゃんは無事だったんですよね。
 謎の殺人鬼女役、ベアトリス・ダルがキモいです。「ベティ・ブルー」の時から、見た目もキャラも相当ヤバい女でしたが、すっかりキワモノ・ゲテモノ女優になってしまってますよねえ。夜道で彼女に会ったら、いや、真昼間でも、ひっと悲鳴を上げてしまいそうです。この殺人鬼女、何でこんなことを?という疑問は、ラストになって判明するのですが、何で“屋敷女”なの?邦題の意味が分からない。
 ヒロインの妊婦を演じてるのは、ジョニ嫁ことヴァネッサ・パラディの妹だとか。地味でフツーっぽく、姉には似てないです。
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