今回は加西市の鶉野飛行場跡にある、「soraかさい」に展示されている九七式艦上攻撃機を観察しましょう。大分前に今回の記事を作成していたのですが、UPするのを完全に忘れていました(^^)。この九七式艦上攻撃機はレプリカですから、細かいところは指摘せずサラッと紹介します。
先ずは全体画像をどうぞ。紫電改と同じ建物に展示されていますが、天井から吊られていることから、2階への階段はあるものの見辛い(撮り辛い)です。
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続いて詳細です。操縦士・偵察員・航法員(電信員)の、3人乗り三座席となります。これは艦上攻撃機は偵察もおこなうため、特に目印も無い洋上で、自機の位置を把握する航法員は必要でした。
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機体下に懸架されているのは800kg爆弾。艦上攻撃機は海面すれすれに飛行し、魚雷を投下する軍用機ですが、この九七式艦上攻撃機は特別攻撃機として使われたレプリカですから、あえて爆弾を搭載しています。通常、爆弾を搭載するのは艦上爆撃機(急降下爆撃機)です。
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尾輪です。タイヤ・パターンがありますが、これは市販品を使ったのかな?です。普通はパターンの無いソリッドタイヤです。
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この九七式艦上攻撃機は11型で、「光」エンジン搭載機です。直径の大きな「光」エンジンを、独特の形状のカウリングで覆っています。
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同じレプリカである紫電改よりも、リアルなエンジン造形です。
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黄色四角は集合排気管ですが、左右2本出しです。
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艦上攻撃機ですから、空母着艦時に用いる着艦フックが付いています。
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黄色四角は、主翼の折り畳み(ヒンジ)部分です。日本海軍の空母に設けられたエレベーター幅は12mでした。このため翼長約15mの九七式艦上攻撃機を、格納庫からエレベーターで甲板まで運ぶには、主翼を折り畳む必要がありました。
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黄色四角は、操縦士が空母甲板の位置や高さを確認するための窓です。着艦時にはやや上向きになるため、空母甲板を見ることは困難であることから設けられました。
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九七式艦上攻撃機(12型)のスペックです。
・乗員:3名
・全長:10.3m
・全幅:15.518m
・主翼面積:37.7m2
・自重:2,200kg
・全備重量:3,800kg
・エンジン:中島「栄」11型 空冷二重星型14気筒 出力970馬力
・最大速度:377.8km/h(高度3,600m)
・着陸速度:113km/h
・上昇時間:3,000mまで7分40秒
・実用上昇限度:7,640m
・航続距離:1,021km(正規)、1,993km(過荷)
・武装
7.7mm旋回機銃×1
(以下のいずれかを搭載)
800kg魚雷×1、800kgまたは500kg爆弾×1、250kg爆弾×2、60kg爆弾×6
前述のように、この九七式艦上攻撃機はレプリカですが、こんな感じで製作されました。
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また垂直尾翼に描かれた「ヒメ」ですが、姫路航空隊の略号です。姫路航空隊は、鶉野飛行場での練習隊を昇格して開設されたものです。目的は、沖縄方面のアメリカ艦隊への特別攻撃です。実際の姫路航空隊・九七式艦上攻撃機の写真です。
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このため用いられた機体は、新鋭の「天山」や「彗星」ではなく、九七式艦上攻撃機の中でも初期型の11型でした。
九七式艦上攻撃機は初戦に大いに活躍しましたが(真珠湾攻撃で、有名な“トラ・トラ・トラ”を発信)、やがて低速であるためアメリカ軍戦闘機の餌食となりました。
このような状況を日本海軍は対策を怠っていたのではなく、後継機として「天山」が開発されました。しかし「天山」は、搭載する「護」エンジンが不調で数が揃わないことから、結局、最後まで九七式艦上攻撃機を用いることになりました。このあたりは末期の零戦と同じです。
こんなところで、レプリカ九七式艦上攻撃機の紹介を終えましょう。やはり実機とは違い、細かい部分は「?」が多いのですが、そこは止むを得ないところでしょう。
ただ靖国神社の「彗星」と同じで、零戦などの戦闘機との大きさの違いは分かります。そういう意味では、一見の価値は十分にあると言えます。
PS1.
旧海軍機のレプリカといえば、福岡県朝倉郡筑前町にある大刀洗平和記念館に「震電」が展示されています。こちらも見に行きたいところ。
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実機です。先尾翼(エンテ型)で有名な戦闘機。設計上は750km/hの最高速でしたが、搭載エンジンであるハ43の生産は不可能に近い状態でしたので、実戦参加は無かったでしょう。
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戦争末期の昭和20年8月に、初飛行まで行きました。「震電」の試験飛行の模様は、下記のYouTubeでどうぞ。試験飛行の結果、多くの改良が必要であることが分かりました。
戦後、米軍に引き渡される「震電」。現在、アメリカの博物館に分解保存されています。
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PS2.
本日は、息子の結納のため東京行き。多忙のため、コメントは閉じています。^^
先ずは全体画像をどうぞ。紫電改と同じ建物に展示されていますが、天井から吊られていることから、2階への階段はあるものの見辛い(撮り辛い)です。
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続いて詳細です。操縦士・偵察員・航法員(電信員)の、3人乗り三座席となります。これは艦上攻撃機は偵察もおこなうため、特に目印も無い洋上で、自機の位置を把握する航法員は必要でした。
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機体下に懸架されているのは800kg爆弾。艦上攻撃機は海面すれすれに飛行し、魚雷を投下する軍用機ですが、この九七式艦上攻撃機は特別攻撃機として使われたレプリカですから、あえて爆弾を搭載しています。通常、爆弾を搭載するのは艦上爆撃機(急降下爆撃機)です。
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尾輪です。タイヤ・パターンがありますが、これは市販品を使ったのかな?です。普通はパターンの無いソリッドタイヤです。
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この九七式艦上攻撃機は11型で、「光」エンジン搭載機です。直径の大きな「光」エンジンを、独特の形状のカウリングで覆っています。
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同じレプリカである紫電改よりも、リアルなエンジン造形です。
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黄色四角は集合排気管ですが、左右2本出しです。
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艦上攻撃機ですから、空母着艦時に用いる着艦フックが付いています。
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黄色四角は、主翼の折り畳み(ヒンジ)部分です。日本海軍の空母に設けられたエレベーター幅は12mでした。このため翼長約15mの九七式艦上攻撃機を、格納庫からエレベーターで甲板まで運ぶには、主翼を折り畳む必要がありました。
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黄色四角は、操縦士が空母甲板の位置や高さを確認するための窓です。着艦時にはやや上向きになるため、空母甲板を見ることは困難であることから設けられました。
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九七式艦上攻撃機(12型)のスペックです。
・乗員:3名
・全長:10.3m
・全幅:15.518m
・主翼面積:37.7m2
・自重:2,200kg
・全備重量:3,800kg
・エンジン:中島「栄」11型 空冷二重星型14気筒 出力970馬力
・最大速度:377.8km/h(高度3,600m)
・着陸速度:113km/h
・上昇時間:3,000mまで7分40秒
・実用上昇限度:7,640m
・航続距離:1,021km(正規)、1,993km(過荷)
・武装
7.7mm旋回機銃×1
(以下のいずれかを搭載)
800kg魚雷×1、800kgまたは500kg爆弾×1、250kg爆弾×2、60kg爆弾×6
前述のように、この九七式艦上攻撃機はレプリカですが、こんな感じで製作されました。
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また垂直尾翼に描かれた「ヒメ」ですが、姫路航空隊の略号です。姫路航空隊は、鶉野飛行場での練習隊を昇格して開設されたものです。目的は、沖縄方面のアメリカ艦隊への特別攻撃です。実際の姫路航空隊・九七式艦上攻撃機の写真です。
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このため用いられた機体は、新鋭の「天山」や「彗星」ではなく、九七式艦上攻撃機の中でも初期型の11型でした。
九七式艦上攻撃機は初戦に大いに活躍しましたが(真珠湾攻撃で、有名な“トラ・トラ・トラ”を発信)、やがて低速であるためアメリカ軍戦闘機の餌食となりました。
このような状況を日本海軍は対策を怠っていたのではなく、後継機として「天山」が開発されました。しかし「天山」は、搭載する「護」エンジンが不調で数が揃わないことから、結局、最後まで九七式艦上攻撃機を用いることになりました。このあたりは末期の零戦と同じです。
こんなところで、レプリカ九七式艦上攻撃機の紹介を終えましょう。やはり実機とは違い、細かい部分は「?」が多いのですが、そこは止むを得ないところでしょう。
ただ靖国神社の「彗星」と同じで、零戦などの戦闘機との大きさの違いは分かります。そういう意味では、一見の価値は十分にあると言えます。
PS1.
旧海軍機のレプリカといえば、福岡県朝倉郡筑前町にある大刀洗平和記念館に「震電」が展示されています。こちらも見に行きたいところ。
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実機です。先尾翼(エンテ型)で有名な戦闘機。設計上は750km/hの最高速でしたが、搭載エンジンであるハ43の生産は不可能に近い状態でしたので、実戦参加は無かったでしょう。
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戦争末期の昭和20年8月に、初飛行まで行きました。「震電」の試験飛行の模様は、下記のYouTubeでどうぞ。試験飛行の結果、多くの改良が必要であることが分かりました。
戦後、米軍に引き渡される「震電」。現在、アメリカの博物館に分解保存されています。
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PS2.
本日は、息子の結納のため東京行き。多忙のため、コメントは閉じています。^^