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奥田英朗『イン・ザ・プール』

2006-06-24 17:53:33 | ノンジャンル
 奥田英朗氏の「イン・ザ・プール」を読みました。
 伊良部総合病院の地下の神経科の伊良部一郎医師(病院の跡継ぎ?)を訪ねる五人の患者の話です。第一話「イン・ザ・プール」では、最近運動をしていないと気付いた患者が水泳をやりだし、それが中毒となっていき、一緒に水泳を始めた医師は50分ごとに水泳を中断されるのを嫌い、夜のプールに忍び込もうをする話。第二話「勃ちっ放し」は性器が勃起したままになってしまった患者がいろいろ苦労した後、医学生の見せ物になったことに激怒することによって治るという話。第三話「コンパニオン」は、常に誰かから見られている気がして、夜も眠れなくなったコンパニオンが、オーディションでいたずらをされ、それまで気を張って生きてきたのをそれを機にやめたら、治ったという話。第四話「フレンズ」は、携帯のメールを常に打って無いと落ち着かない青年は、携帯を無くしたことをきっかけに本当の友人が自分にはいないことに気付くが、伊良部の開いたクリスマス・パーティーに行き、少し元気になるという話。第五話「いてもたっても」は、火の元が気になって何度確認しても不安になる男が、次第に症状が悪化していくが、二つの事件で偶然に自分がヒーローになり、家も賄い付きの下宿に引っ越すことになる話。
 医師がとびっきりの変人で、患者に触発されてすぐ奇行に走り、患者が注射されるのを見るのが趣味で、ただ一人いる看護婦も美人だが無愛想で刺激的な制服を着て、患者をどきりとさせる、といったキャラクター。
 かなりコミカルで面白い小説で、奥田さんの新境地といったところでしょう。エキセントリックでコミカルな小説が好きな人にはオススメです。