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チャールズ・チャップリン監督『街の灯』その2

2014-04-07 06:13:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 “ランチタイム”。せっけんとサンドウィッチのギャグ。“金持ちの友達がいないと紳士のマネは難しい。だが彼は懸命の努力をした”。食べ物のお土産を持って娘の家を訪ねたチャーリーは、ウィーンの医師が盲目の治療に成功したという記事を読んできかせると、娘は「すばらしいわ! あなたを見ることができる」と言います。本を読んであげようとして大家の手紙を見つけてしまい、娘に請われて読むと、娘は泣き出し、チャーリーは「心配しないで、明日の朝、僕が払う」と言って、去ります。“遅れた!”。クビにされるチャーリー。それを見ていた若者は、簡単に金を稼ぐ方法があるが乗らないか?とチャーリーを誘います。
 “夜”。チャーリーはボクシングの控え室にいます。「賞金は山分け、本気で殴るな」と対戦相手に言うチャーリー。相手は「気をつけろ。ボスにさとられるぞ」と警告します。すると対戦相手に電報が届き、そこには「警察が追っているのですぐに逃げろ」と書かれてありました。急いで逃げ出す対戦相手。そこに現れたボスは「勝ったら50ドル全部あげる」と言って新たな対戦相手を募り、ごっつい男が名乗りを上げます。相手の男に盛んにしなを作るチャーリー。黒人選手がウサギの足で顔をなで、負けないまじないをしているのを見て、チャーリーもマネをします。八百長の話に乗ってこない対戦相手。やがてさっきの黒人選手がダウンして運び込まれてくるのを見て、チャーリーはあわてて顔をタオルで拭きます。その試合で勝ったボクサーを一発で倒す対戦相手。チャーリーはそれを見て失神しそうになり、気付け薬を嗅ぎます。リングへ向かうチャーリー。試合が始まると、レフリーの後ろに隠れ、相手に一発食らわすとすぐにクリンチするチャーリー。第1ラウンドが終わり、セコンドに戻ると、セコンドが盲目の娘に見え、気付くとセコンドの手にキスしています。(第2ラウンドでのギャグは、書くのが困難なほど複雑で面白いギャグです。)結局、チャーリーはKO負けします。
 “娘のために金を手に入れようと、彼は街をさまよい歩いた”。“ヨーロッパからの帰国”。チャーリーはまた酔った資産家に出会います。屋敷に潜む泥棒。「彼女のことは心配するな。私が世話をする」と言って、資産家は1000ドルをチャーリーに渡します。それを覗き見ていた泥棒は隙を見て資産家の頭を殴り失神させ、チャーリーは彼らを撃退しながら、警察に電話します。やって来た警官はチャーリーを捕まえ、彼の1000ドルを取り上げると、目を覚ました資産家は酔いが覚めていて、チャーリーのことを忘れています。チャーリーは警官から1000ドルを取り上げ、逃げ出します。翌朝、娘の家を訪ねたチャーリーは家賃と目の治療のために金を渡し、引き止める彼女の元を去ります。泣く娘。路上で警官に捕まるチャーリー。
 “秋”。目が見えるようになった娘は花屋で働いています。ボロボロの服を着てすさんだ表情のチャーリー。花を届けてもらいたいと若い紳士が娘に言うと、娘はあの方のような気がすると言います。少年たちにからかわれるチャーリー。彼は目の前に娘がいるのに驚き、見つめていると、娘は笑って「私が好きみたいよ」と言い、去ろうとするチャーリーに花と金を渡そうと、彼の手を握ります。複雑な表情になる娘。「あなただったの?」と言う娘に、チャーリーは花を持った手を口に添えて「目が見えるようになったんだね」と言って、笑顔を取り戻し、映画は終わります。

 冒頭では路上で出会う相手すべてに帽子を傾け、礼儀正しいチャーリーが、ラストではすさんだ表情の本物の浮浪者になっているのに初めて気付きました。この映画で見られるような視覚的ギャグ(一番すぐれた例で言えば、資産家の溺死自殺をチャーリーが止めようとする場面の一連のギャグとか、ボクシングの試合での一連のギャグとか)を、現在作れる映画作家はいないような気がしますが、どうなのでしょうか? もしかしたらCGアニメの分野にいるのかもしれませんが、言語化が難しいギャグというのは、チャップリンのように無声映画時代から撮っている映画作家しか作れなかったのかもしれない、そんなことを考えさせてくれる映画でした。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/