昨日の続きです。
第四章「小さな兵隊」 小4の岡田君は母から人格を否定されるような叱られ方を常にされていて、同級生からも問題児扱いされています。クラスの女子のランドセル全部に、マジックで小さくいたずら書きをしようとしたり、学校の門の近くの壁に青いペンキを塗ったりした前歴があるからでした。海外出張中の僕のお父さんは電話で、1つ目は落書きをされたランドセルを1つ見つけた岡田君が、その子だけが虐められないようにやった可能性もあると言い、いつも生徒の味方をしてくれる担任の弓子先生に気をつけろと言います。僕は岡田君と路上で会い、弓子先生のことを聞くと、彼はスーパーの屋上に僕を連れていき、そこから男が双眼鏡で弓子先生を監視していて、自分が門の近くの壁に青いペンキを塗ったのは、そこに弓子先生の悪口が書いてあったからだと教えてくれました。翌日、弓子先生のストーカーが学校に現れ、僕と岡田君は学校裏へ先生を追いかけていくと、岡田君は弓子先生を守ろうと男に襲いかかりますが、結局男に捕らわれてしまいます。男は岡田君の首にナイフをつきつけ、子供を放してほしければ校庭の真ん中で服を脱げ、と弓子先生に言います。先生が泣きながら服を脱ごうとした瞬間、スーパーの屋上から発せられた鏡の光を目に受けた男は、思わず岡田君を放し、岡田君は男に馬乗りになって半殺しにし、僕が男に向けて投げたドッジボールが岡田君に当たって、やっと岡田君の暴力は収まります。成長し、映画監督になった私は、当時両親が離婚していたことを知ります。親権を奪われた父は海外出張と嘘をつき、僕の姿見たさに時々スーパーの屋上から双眼鏡を覗いていたのでした。ストーカーの時に鏡で太陽光を反射させて男を撃退したのも父でした。岡田君が母に「人の痛みが分かる人間になれ」と叱られ、ビデオ屋で借りた『小さな兵隊』を私も一緒に見ました。拷問場面は大したものではありませんでしたが、拷問を受けている主人公が「バカンスのことを考えた」と独白するのを聞いて、岡田君はそれを気に入り、「嫌なことがあったら、バカンスのことを考えるようにする」と言い、私もその後の生活で、そうしてきました。あの後、父も、引越した岡田君も、学校を辞めた弓子先生もいなくなり、大切な人が次々と去っていく怖さがありました。私は映画の中で、恋人を失った主人公がラストで口にする台詞「悲しみを忘れなければならない。僕にはまだ残された時間があった」を何度も思い出すのでした。
第五章「飛べても8分」 俺は毒島さんに頼まれて、溝口さんと仕事をしている。溝口さんは思いつきで車を追突させ、トランクを開けさせると、そこには銃器が満載されており、車が急発進したあおりで溝口さんは車に轢かれて足を骨折する。毒島さんに言われた病院に溝口さんを入院させると、毒島さんも休養がてら、その病院の最上階のVIPルームに入院していることが分かる。俺は最近毒島さん宛ての脅迫状が届き、マンションにも銃弾が撃ち込まれ、その時に目撃された犯人の車が、先日急発進した車と同じ車種だと聞き、あの車が毒島さんを狙う一味の物だと確信する。新たに届いた脅迫状には「毒島はこれ以上、歳は取らない」とあり、パセリを表したシールが貼られていた。毒島さんの誕生日を明日に控え、俺は溝口さんと同室の男が持っていた花言葉辞典でパセリの花言葉が「死の前兆」と知り、その男が白衣を持っていたことから、その男が殺し屋だと確信し、毒島さんの部屋に急行する。後から来た溝口さんは、その男をリネン室に閉じ込めたと言い、俺と溝口さん以外の部下は男の元へ走る。すると食事を届けるエレベーターが銃入りの箱を運んできて、溝口さんは銃を取ると、岡田さんの復讐をすると言って、毒島さんに銃を向ける。毒島さんは岡田は生きていて、お前に教えたブログを更新しているのが彼だと言い、溝口さんはそれを確かめるために、俺の携帯でそのブログ宛てに「友達になろうよ。ドライブとか食事とか」とメールを送らせ、3分以内に返事がなければ殺すと毒島さんに言う。そして着信が鳴り、俺は最近やたらと入る焼肉店からの宣伝メールでないことを祈るのだった。
語り手は第一章が娘と岡田の1人称で交互に書かれ、それ以外はあらすじのような人称でした。読みごたえがあったのは、何と言っても第四章で、今まで私が読んできた伊坂さんの文章の中では文句無しのナンバーワンだったと思います。『小さい兵隊』を改めて見直してみたいと思いました。
→「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)
第四章「小さな兵隊」 小4の岡田君は母から人格を否定されるような叱られ方を常にされていて、同級生からも問題児扱いされています。クラスの女子のランドセル全部に、マジックで小さくいたずら書きをしようとしたり、学校の門の近くの壁に青いペンキを塗ったりした前歴があるからでした。海外出張中の僕のお父さんは電話で、1つ目は落書きをされたランドセルを1つ見つけた岡田君が、その子だけが虐められないようにやった可能性もあると言い、いつも生徒の味方をしてくれる担任の弓子先生に気をつけろと言います。僕は岡田君と路上で会い、弓子先生のことを聞くと、彼はスーパーの屋上に僕を連れていき、そこから男が双眼鏡で弓子先生を監視していて、自分が門の近くの壁に青いペンキを塗ったのは、そこに弓子先生の悪口が書いてあったからだと教えてくれました。翌日、弓子先生のストーカーが学校に現れ、僕と岡田君は学校裏へ先生を追いかけていくと、岡田君は弓子先生を守ろうと男に襲いかかりますが、結局男に捕らわれてしまいます。男は岡田君の首にナイフをつきつけ、子供を放してほしければ校庭の真ん中で服を脱げ、と弓子先生に言います。先生が泣きながら服を脱ごうとした瞬間、スーパーの屋上から発せられた鏡の光を目に受けた男は、思わず岡田君を放し、岡田君は男に馬乗りになって半殺しにし、僕が男に向けて投げたドッジボールが岡田君に当たって、やっと岡田君の暴力は収まります。成長し、映画監督になった私は、当時両親が離婚していたことを知ります。親権を奪われた父は海外出張と嘘をつき、僕の姿見たさに時々スーパーの屋上から双眼鏡を覗いていたのでした。ストーカーの時に鏡で太陽光を反射させて男を撃退したのも父でした。岡田君が母に「人の痛みが分かる人間になれ」と叱られ、ビデオ屋で借りた『小さな兵隊』を私も一緒に見ました。拷問場面は大したものではありませんでしたが、拷問を受けている主人公が「バカンスのことを考えた」と独白するのを聞いて、岡田君はそれを気に入り、「嫌なことがあったら、バカンスのことを考えるようにする」と言い、私もその後の生活で、そうしてきました。あの後、父も、引越した岡田君も、学校を辞めた弓子先生もいなくなり、大切な人が次々と去っていく怖さがありました。私は映画の中で、恋人を失った主人公がラストで口にする台詞「悲しみを忘れなければならない。僕にはまだ残された時間があった」を何度も思い出すのでした。
第五章「飛べても8分」 俺は毒島さんに頼まれて、溝口さんと仕事をしている。溝口さんは思いつきで車を追突させ、トランクを開けさせると、そこには銃器が満載されており、車が急発進したあおりで溝口さんは車に轢かれて足を骨折する。毒島さんに言われた病院に溝口さんを入院させると、毒島さんも休養がてら、その病院の最上階のVIPルームに入院していることが分かる。俺は最近毒島さん宛ての脅迫状が届き、マンションにも銃弾が撃ち込まれ、その時に目撃された犯人の車が、先日急発進した車と同じ車種だと聞き、あの車が毒島さんを狙う一味の物だと確信する。新たに届いた脅迫状には「毒島はこれ以上、歳は取らない」とあり、パセリを表したシールが貼られていた。毒島さんの誕生日を明日に控え、俺は溝口さんと同室の男が持っていた花言葉辞典でパセリの花言葉が「死の前兆」と知り、その男が白衣を持っていたことから、その男が殺し屋だと確信し、毒島さんの部屋に急行する。後から来た溝口さんは、その男をリネン室に閉じ込めたと言い、俺と溝口さん以外の部下は男の元へ走る。すると食事を届けるエレベーターが銃入りの箱を運んできて、溝口さんは銃を取ると、岡田さんの復讐をすると言って、毒島さんに銃を向ける。毒島さんは岡田は生きていて、お前に教えたブログを更新しているのが彼だと言い、溝口さんはそれを確かめるために、俺の携帯でそのブログ宛てに「友達になろうよ。ドライブとか食事とか」とメールを送らせ、3分以内に返事がなければ殺すと毒島さんに言う。そして着信が鳴り、俺は最近やたらと入る焼肉店からの宣伝メールでないことを祈るのだった。
語り手は第一章が娘と岡田の1人称で交互に書かれ、それ以外はあらすじのような人称でした。読みごたえがあったのは、何と言っても第四章で、今まで私が読んできた伊坂さんの文章の中では文句無しのナンバーワンだったと思います。『小さい兵隊』を改めて見直してみたいと思いました。
→「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/)