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清水宏監督『蜂の巣の子供たち』その2

2014-04-27 06:42:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 畑で土ならしの仕事をする復員兵と子供たち。途中で逃げ出した子の後を追ってみると、彼らは学校の授業を盗み見ていて、1人は黒板を見ながら、3桁×2桁のかけ算の途中までを、土の上に写していました。復員兵は教えてやろうとしますが、彼らの中には足し算もできない子がいるのが分かります。
 日記を書く子は、空いたページで掛け算の練習をしています。上半身裸で川で洗った洗濯物を干す復員兵。子供たちは集まって座っていますが、やがて煙草の煙が立ち上り、それに気づいた復員兵は「誰だ、煙草を吸ったのは?」と訊きます。正直に答えない子供たち。自分も今日から煙草を止めると言った復員兵が、煙草を吸うことより嘘をつく方がずっと悪いと言うと、1人の子がポケットから煙草を出し、他の子もマッチと煙草を出します。川に煙草を叩きつける子。流れていく煙草。
 子供の声による主題歌の合唱。錦帯橋を渡る復員兵と子供たち。そこで別れて別府に行くと言う2人に、ケンは金を与えます。河原で野球をしていたユニフォーム姿の子供たちに、仲間に入れてもらおうとしたケンたちでしたが、逃げられてしまいます。あいつら意気地なしだと言うケンたちに、復員兵は「きっと気持ち悪く思ったんだ。みんなも早く気持ち悪くないような子供になろう」と言います。
 倉庫から荷袋を運び出す子供たち。復員兵と男たちはそれをトラックの荷台に積み込み、それが終わると、子供たちと復員兵は荷台に乗って、仕事の指示の書かれた手紙をもらい、出発します。
 コンクリの廃墟に座り込む復員兵と子供たち。そこへ真新しいセーター姿のヨシ坊とユミ子がやって来ます。孤児にお菓子や握り飯をやるのではなく、ちゃんと自立させなければならないとユミ子に語る復員兵は、四国で山の仕事をさせてくれる人があるので、これからそこへ行くと言います。その仕事の後、自分が出た感化院に子供たちを連れて行って勉強させてあげたいと復員兵が言うと、ユミ子はヨシ坊も勉強しなきゃ、と言って、復員兵にヨシ坊を預けます。ユミ子はこれから知人をあてに東京へ行くと言い、着いたら手紙を書くので返事を頂だい、と子供たちに言います。ユミ子と別れたがらないヨシ坊。ユミ子も心を鬼にして、ヨシ坊と別れます。
 木の伐採をする復員兵と子供たちと男たち。病気で小屋に寝ていたヨシ坊に、1人の子がヤギの乳を届けると、ヨシ坊は海を見たいと言います。あの山の頂上なら見えるだろうと乳を持ってきた子が言うと、ヨシ坊は乳は全部やるから自分をおぶって連れていってほしい、そうすれば病気も治ると言います。乳を持ってきた子は結局ヨシ坊に押し切られ、ヨシ坊をおんぶして、苦労して頂上を目指します。やっと頂上に着いて海が見えた時、ヨシ坊は息絶えていました。動揺し、急いで山を下る子。
 役人に事情聴取された復員兵は、「ヨシ坊の墓を海の見える丘の上の墓地に作り、皆でお別れする」と言います。こんなに早く死ぬんだったら、もっと親切にしてやればよかったと悔いるケン。復員兵はヨシ坊がユリ子宛に書いた手紙を手にします。
 彼らは港町を歩いていると、片足が売春婦のヒモとして背広姿でいるのを発見し、その仕事についたばかりのユリ子も発見します。子供たちに気づいて逃げるユリ子でしたが、結局子供たちに追いつかれます。復員兵はヨシ坊が死んだことを告げ、ヨシ坊の手紙を渡すと、ユリ子は泣き崩れます。片足は「俺のガキを勝手に取りやがって!」と復員兵に杖で殴りかかりますが、やがて復員兵に反撃され、倒されます。
 復員兵は自分が出た感化院に子供たちを連れていきます。先生たちに帰還を喜ばれる復員兵。子供たちも片足も、感化院の子供たちに歓迎され、皆で歩いていく姿で映画は終わります。

 1948年製作ということでドキュメンタルな主題を、リアルな子供の表情で見せる映画でした。滑らかな移動撮影、極端なロングショット、光る海に代表される美しい風景などなど、“ショット”としても魅せる映画だったと思います。戦前の清水監督の映画が見たくなりました。

 →「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/