川崎市アートセンターで、ホウ・シャオシェン監督の1984年作品『冬冬の夏休み』をデジタルリマスター版で再見しました。パンフレットの「物語」をもとにあらすじを書いてみると、
びっくりするほど元気な声で、少女が答辞をよんでいる小学校の卒業式。〈仰げば尊し〉の斉唱。1984年の夏、台北━━。
小学校を卒業したトントンは妹のティンティンとふたり、夏休みを田舎の祖父の家ですごすことになった。母が大学病院に入院し、父が看病で病院につきっきりになるためだ。二人をミャオリー県のトンローにある母方の祖父の家まで連れていくの役目は叔父（母の弟）のチャンミンが引き受けることになった。
出発の日の台北駅でトントンはやはり夏休みを田舎ですごす同級生に会った。15歳になったら兵役制限で外国に出られないからと、東京のディズニーランドへ行く子もいるらしい。チャンミンのガールフレンド、ピーユンが途中まで一緒に行くというので、チャンミンは有頂天。駅で列車に乗り込む際、「おしっこに行きたい」とティンティンが言い出し、仕方なく列車に乗って、列車のトイレでおしっこをするようになるが、ティンティンは揺れると出ないと言い、おしっこでスカートとパンツをびしょ濡れにさせてしまう。通路でパンツを脱ぐティンティン。
チャンミンはトントンたちをそっちのけでピーユンの世話をやいたあげく、ピーユンの実家がある駅でうっかり一緒に下車してしまい、トンローの駅に降りたったのはトントンとティンティンの二人だけになってしまう。駅前でとぐろを巻くのは、アチョンクォはじめ村の少年たち。
トントンのリモコン・カーとアチョンクォたちの亀で少年たちはすぐに仲よしになった。タクシーでおいついたチャンミンに連れられ、二人は駅のそばの古い門構えの劉家へ着く。祖父は医師で家が医院だ。やさしく迎えてくれる祖母や、叔母とその子供たち。しかし二人の挨拶に、診察中の祖父はジロリと二人を見ただけだ。
トントンはアチョンクォたちの仲間になり、川で水遊びをする。女の子のティンティンは少年達の仲間に入れてもらえない。トントンはパンツ１枚、村の子供たちは素裸だ。「女が見ると目がつぶれるぞ」とトントンに追いかえされ、怒ったティンティンは少年たちの服を川に流してしまう。アチョンクォは牛が下流へ行ってしまったのを追っていってしまう。仕方なく裸で家に走って帰る少年たち。牛は帰ってきたのにアチョンクォが帰ってこないと母親がトントンの祖父に告げる。母親と少年たちとで探しに出かけると、アチョンクォはなんと芋の葉にくるまって橋の上で眠っていた。
夏休みの間のトントンの先生は祖父だ。詩を暗誦させ、劉家のアルバムを見せ、〈詩人と農夫〉のレコードを聞かせる。
少年たちの遊び場は小さな祠がある広場。木登りをしているトントンたちをティンティンがうらやましげに見上げている。そこに若い娘のハンズが来た。汚れた服を着て意味のわからないおまじないをつぶやいてふらついているハンズのあとをつけていくと、雀とりの男とハンズの家の中に入っていった。ハンズの笑い声。そこにハンズの父親が帰ってきて一悶着。怒った父親は男をどこまでも追いかけて棒で殴る。
祖母と長男の嫁がハンズの噂をしている。また妊娠したらしいのだ。そこに劉家の長男（トントンたちの母の弟）が出張の途中で台北から戻ってきて、トントンたちの母の病状を伝える。病状は思わしくなく、体力が弱っていて手術ができない状態だ、とのことだった。
トントンがアチョンクォたちと昆虫採集に出かけた日、強盗事件があった。日陰で昼寝しているトラックの運転手たちの時計や金を若者ふたりが盗んでいるのを目撃するトントンたち。トントンが家に帰ると頭を割られた運転手が急患で運ばれてくる。
別の日には別な事件。ピーユンが妊娠したというので彼女の母が祖父と祖母に対面している。青くなって、スクーターでチャンミンが駆けつけてきたがもう遅い。「出ていけ！」と息子を勘当した祖父は、逃げ出したチャンミンを追えず、怒りをスクーターにぶつける。
兄やアチョンクォらがすげなくしても一緒についていきたいティンティンだが、うるさがったトントンたちが意地悪して逃げ出したのを追いかけようとして、ティンティンは線路で転んでしまう。猛スピードで走ってくる電車から救ってくれたのはハンズだった。
ハンズのお腹の子を堕ろすべきか、避妊の手術をした方がいいいんでは、と、医院の応接間で長老会議が開かれている。そこに、こっそりチャンミンが訪ねてくる。チャンミンピーユンと結婚する決心をしたのだが、祖父が認めるはずはなく、祖母は式に出られないことを詫びながら金のつつみを渡すのだった。トントンひとりが親族代表で結婚式をあげるチャンミンとピーユンと、ハンズと雀採りの男。
（明日へ続きます……）
→サイト「Nature Life」（http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto）
びっくりするほど元気な声で、少女が答辞をよんでいる小学校の卒業式。〈仰げば尊し〉の斉唱。1984年の夏、台北━━。
小学校を卒業したトントンは妹のティンティンとふたり、夏休みを田舎の祖父の家ですごすことになった。母が大学病院に入院し、父が看病で病院につきっきりになるためだ。二人をミャオリー県のトンローにある母方の祖父の家まで連れていくの役目は叔父（母の弟）のチャンミンが引き受けることになった。
出発の日の台北駅でトントンはやはり夏休みを田舎ですごす同級生に会った。15歳になったら兵役制限で外国に出られないからと、東京のディズニーランドへ行く子もいるらしい。チャンミンのガールフレンド、ピーユンが途中まで一緒に行くというので、チャンミンは有頂天。駅で列車に乗り込む際、「おしっこに行きたい」とティンティンが言い出し、仕方なく列車に乗って、列車のトイレでおしっこをするようになるが、ティンティンは揺れると出ないと言い、おしっこでスカートとパンツをびしょ濡れにさせてしまう。通路でパンツを脱ぐティンティン。
チャンミンはトントンたちをそっちのけでピーユンの世話をやいたあげく、ピーユンの実家がある駅でうっかり一緒に下車してしまい、トンローの駅に降りたったのはトントンとティンティンの二人だけになってしまう。駅前でとぐろを巻くのは、アチョンクォはじめ村の少年たち。
トントンのリモコン・カーとアチョンクォたちの亀で少年たちはすぐに仲よしになった。タクシーでおいついたチャンミンに連れられ、二人は駅のそばの古い門構えの劉家へ着く。祖父は医師で家が医院だ。やさしく迎えてくれる祖母や、叔母とその子供たち。しかし二人の挨拶に、診察中の祖父はジロリと二人を見ただけだ。
トントンはアチョンクォたちの仲間になり、川で水遊びをする。女の子のティンティンは少年達の仲間に入れてもらえない。トントンはパンツ１枚、村の子供たちは素裸だ。「女が見ると目がつぶれるぞ」とトントンに追いかえされ、怒ったティンティンは少年たちの服を川に流してしまう。アチョンクォは牛が下流へ行ってしまったのを追っていってしまう。仕方なく裸で家に走って帰る少年たち。牛は帰ってきたのにアチョンクォが帰ってこないと母親がトントンの祖父に告げる。母親と少年たちとで探しに出かけると、アチョンクォはなんと芋の葉にくるまって橋の上で眠っていた。
夏休みの間のトントンの先生は祖父だ。詩を暗誦させ、劉家のアルバムを見せ、〈詩人と農夫〉のレコードを聞かせる。
少年たちの遊び場は小さな祠がある広場。木登りをしているトントンたちをティンティンがうらやましげに見上げている。そこに若い娘のハンズが来た。汚れた服を着て意味のわからないおまじないをつぶやいてふらついているハンズのあとをつけていくと、雀とりの男とハンズの家の中に入っていった。ハンズの笑い声。そこにハンズの父親が帰ってきて一悶着。怒った父親は男をどこまでも追いかけて棒で殴る。
祖母と長男の嫁がハンズの噂をしている。また妊娠したらしいのだ。そこに劉家の長男（トントンたちの母の弟）が出張の途中で台北から戻ってきて、トントンたちの母の病状を伝える。病状は思わしくなく、体力が弱っていて手術ができない状態だ、とのことだった。
トントンがアチョンクォたちと昆虫採集に出かけた日、強盗事件があった。日陰で昼寝しているトラックの運転手たちの時計や金を若者ふたりが盗んでいるのを目撃するトントンたち。トントンが家に帰ると頭を割られた運転手が急患で運ばれてくる。
別の日には別な事件。ピーユンが妊娠したというので彼女の母が祖父と祖母に対面している。青くなって、スクーターでチャンミンが駆けつけてきたがもう遅い。「出ていけ！」と息子を勘当した祖父は、逃げ出したチャンミンを追えず、怒りをスクーターにぶつける。
兄やアチョンクォらがすげなくしても一緒についていきたいティンティンだが、うるさがったトントンたちが意地悪して逃げ出したのを追いかけようとして、ティンティンは線路で転んでしまう。猛スピードで走ってくる電車から救ってくれたのはハンズだった。
ハンズのお腹の子を堕ろすべきか、避妊の手術をした方がいいいんでは、と、医院の応接間で長老会議が開かれている。そこに、こっそりチャンミンが訪ねてくる。チャンミンピーユンと結婚する決心をしたのだが、祖父が認めるはずはなく、祖母は式に出られないことを詫びながら金のつつみを渡すのだった。トントンひとりが親族代表で結婚式をあげるチャンミンとピーユンと、ハンズと雀採りの男。
（明日へ続きます……）
→サイト「Nature Life」（http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto）