昨日の続きです。
・しかも(「IR推進会議」の行なった)「整理」の中身もずさんです。(中略)
たとえば「運営の主体等の性格」について「IR推進会議」の整理は、「カジノIR関係者を全て厳格な公的管理・監督のもとに置く」(中略)となっていますが、カジノの免許申請時に、関係者の能力、社会的信用度、財産的基礎を審査するだけのことです。あとは自由となるのですから、ラスベガス・サンズなどのアメリカの大手カジノ企業がおとなしく日本の官庁や自治体の監視下にはいるわけがありません。
・また「IR事業者は、認定都道府県等と共同して、この公益を追求する主体であると捉える」というのも絵空事です。カジノ企業が追求するのは公益ではなく、あくまで自分たちの私益です。認定した自治体との共同といっても、じっさいは、素人の自治体職員はカジノ企業のおもいどおりにつくる計画を書式の不備などがないかどうかをみるだけでお墨付きをあたえてしまい、国土交通大臣に申請するだけのことです。
・この点については法務省の姿勢のぶれにも言及しておかなければなりません。(中略)
12年の民主党部門会議でしめされたように、当時の法務省の見解は、民営カジノの合法化はできないというものでした(中略)。
しかしその後、民主党政権から自民党安倍政権にかわり、2015年あたりから、民営カジノの実施が安倍内閣の優先課題になっていくもとで、法務省も民営カジノについてあいまいな姿勢をとるようになります。
2016年12月8日の参院内閣委員会での「カジノ解禁推進法」の審議の際、法務省の加藤俊治(としはる)審議官はわたし(著者)の質問に対し、「運営主体等の性格」のカッコ書きにある「官又はそれに準じる団体に限るなど」について「例示に過ぎない」といういい方をし、暗に「民間主体も否定してきたわけでない」という、いままでとちがうニュアンスの答弁をしました。
前日の質問通告のときは、従来どおり「民営カジノは難しい」との担当者のはなしだったので、委員会での加藤審議官の答弁には大変おどろきました。(中略)
わたしは法務省の見解の整合性を問うため、12年の民主党部門会議で「民営カジノはむずかしい」と説明した当時の法務省担当官の委員会への参考人招致をもとめました。
しかし、参考人招致が理事会で協議されることもなく、その数日後、「カジノ推進法」の裁決が強行されてしまいました。
・あれから二年、法務省は、今回の「カジノ実施法」についても、法務省自身の判断は避け、「政府が八つの要件をクリアするよう制度設計したというのだから、クリアしているのだろう」と傍観者的な態度をとりつづけています。
かんがえてみれば、「集団的自衛権は行使できない」といっかんして主張してきた内閣法制局でさえ、安倍政権になって法の番人という立場をなげ捨て、きゅうに「行使できる」といいだしたのです。法務省が民営カジノの解禁を強行したい安倍政権の軍門に下ったとしてもなんの不思議もありません。
・咲洲(さきしま)、舞洲(まいしま)、夢洲(ゆめしま)など大阪のベイエリア開発は、1958年に埋め立て造成工事がはじまって以来、重化学工業の誘致に失敗したあと、2008年のオリンピック誘致にも失敗するなど、破たんをくり返してきました。
・カジノの早期解禁という維新の要求にこたえてきたのが安倍首相です。
安倍首相のねらいは、カジノ解禁とひきかえに、維新を改憲のパートナーにすることです。
・法のしくみからいって、自治体が国へ申請しない限り、カジノは誘致できません。自治体が国に申請するためには都道府県等議会の議決、立地市町村の同意が必要です(中略)。
どの世論調査でもカジノ反対は六割をこえています。議会でカジノ反対派を多数にすることをふくめ、地域の運動で自治体にカジノの申請を断念させることは十分可能です。
・またアメリカのカジノ企業が想定している巨大カジノはその周辺およそ100キロメートル圏内の住民を対象としています。たとえば、北海道苫小牧のカジノがおもなターゲットにしているのは札幌市民であり、大阪夢洲のカジノがターゲットにしているのは近畿圏の住民全部です。(中略)
・さらに、従来の刑法解釈を崩壊させ民営とばくを解禁する「カジノ実施法」は、民営とばくの際限のない拡大に道をひらく危険性があります。
前述のように、なんらかの「公益性」をくっつければ、「民営とばく」も合法になるという安易な論立てが許されるなら、公営ギャンブルも上納金を納めるから民営でやらせてほしい、パチンコも地元商店街振興や経済活性化に貢献する義務を負うから、堂々と店で現金払いをさせてほしいといった主張を拒否できなくなるからです。
(また明日へ続きます……)
→サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
→FACEBOOK(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135)
・しかも(「IR推進会議」の行なった)「整理」の中身もずさんです。(中略)
たとえば「運営の主体等の性格」について「IR推進会議」の整理は、「カジノIR関係者を全て厳格な公的管理・監督のもとに置く」(中略)となっていますが、カジノの免許申請時に、関係者の能力、社会的信用度、財産的基礎を審査するだけのことです。あとは自由となるのですから、ラスベガス・サンズなどのアメリカの大手カジノ企業がおとなしく日本の官庁や自治体の監視下にはいるわけがありません。
・また「IR事業者は、認定都道府県等と共同して、この公益を追求する主体であると捉える」というのも絵空事です。カジノ企業が追求するのは公益ではなく、あくまで自分たちの私益です。認定した自治体との共同といっても、じっさいは、素人の自治体職員はカジノ企業のおもいどおりにつくる計画を書式の不備などがないかどうかをみるだけでお墨付きをあたえてしまい、国土交通大臣に申請するだけのことです。
・この点については法務省の姿勢のぶれにも言及しておかなければなりません。(中略)
12年の民主党部門会議でしめされたように、当時の法務省の見解は、民営カジノの合法化はできないというものでした(中略)。
しかしその後、民主党政権から自民党安倍政権にかわり、2015年あたりから、民営カジノの実施が安倍内閣の優先課題になっていくもとで、法務省も民営カジノについてあいまいな姿勢をとるようになります。
2016年12月8日の参院内閣委員会での「カジノ解禁推進法」の審議の際、法務省の加藤俊治(としはる)審議官はわたし(著者)の質問に対し、「運営主体等の性格」のカッコ書きにある「官又はそれに準じる団体に限るなど」について「例示に過ぎない」といういい方をし、暗に「民間主体も否定してきたわけでない」という、いままでとちがうニュアンスの答弁をしました。
前日の質問通告のときは、従来どおり「民営カジノは難しい」との担当者のはなしだったので、委員会での加藤審議官の答弁には大変おどろきました。(中略)
わたしは法務省の見解の整合性を問うため、12年の民主党部門会議で「民営カジノはむずかしい」と説明した当時の法務省担当官の委員会への参考人招致をもとめました。
しかし、参考人招致が理事会で協議されることもなく、その数日後、「カジノ推進法」の裁決が強行されてしまいました。
・あれから二年、法務省は、今回の「カジノ実施法」についても、法務省自身の判断は避け、「政府が八つの要件をクリアするよう制度設計したというのだから、クリアしているのだろう」と傍観者的な態度をとりつづけています。
かんがえてみれば、「集団的自衛権は行使できない」といっかんして主張してきた内閣法制局でさえ、安倍政権になって法の番人という立場をなげ捨て、きゅうに「行使できる」といいだしたのです。法務省が民営カジノの解禁を強行したい安倍政権の軍門に下ったとしてもなんの不思議もありません。
・咲洲(さきしま)、舞洲(まいしま)、夢洲(ゆめしま)など大阪のベイエリア開発は、1958年に埋め立て造成工事がはじまって以来、重化学工業の誘致に失敗したあと、2008年のオリンピック誘致にも失敗するなど、破たんをくり返してきました。
・カジノの早期解禁という維新の要求にこたえてきたのが安倍首相です。
安倍首相のねらいは、カジノ解禁とひきかえに、維新を改憲のパートナーにすることです。
・法のしくみからいって、自治体が国へ申請しない限り、カジノは誘致できません。自治体が国に申請するためには都道府県等議会の議決、立地市町村の同意が必要です(中略)。
どの世論調査でもカジノ反対は六割をこえています。議会でカジノ反対派を多数にすることをふくめ、地域の運動で自治体にカジノの申請を断念させることは十分可能です。
・またアメリカのカジノ企業が想定している巨大カジノはその周辺およそ100キロメートル圏内の住民を対象としています。たとえば、北海道苫小牧のカジノがおもなターゲットにしているのは札幌市民であり、大阪夢洲のカジノがターゲットにしているのは近畿圏の住民全部です。(中略)
・さらに、従来の刑法解釈を崩壊させ民営とばくを解禁する「カジノ実施法」は、民営とばくの際限のない拡大に道をひらく危険性があります。
前述のように、なんらかの「公益性」をくっつければ、「民営とばく」も合法になるという安易な論立てが許されるなら、公営ギャンブルも上納金を納めるから民営でやらせてほしい、パチンコも地元商店街振興や経済活性化に貢献する義務を負うから、堂々と店で現金払いをさせてほしいといった主張を拒否できなくなるからです。
(また明日へ続きます……)
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