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大門実紀史『カジノミクス 「カジノ解禁」「アベ銀行」「年金積立金バクチ」の秘密』その3

2019-11-22 03:37:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

・日本銀行は、世界の中央銀行のなかでも、二つの点で異常です。
 第一の異常は、国が借金のために発行する国債を大量に買いこみ、保有していることです。(中略)
 第二の異常は、株を大量に買いこみ、保有していることです。

・世界の中央銀行で、ETF(投資信託)や株を購入しているところはありません。その理由は、中央銀行が株を購入することは市場に大きな影響をあたえ、株価の価格形成をゆがめてしまうからです。

・(日銀の)資産がふくらんだといっても、そのなかみは価格急落のリスクをはらんだ国債と株です。バランスシートのうえでも、その危険度でも、日銀は世界でも異形の中央銀行になってしまったのです。

・01年4月、経済財政政策担当大臣となった経済学者の竹中平蔵(へいぞう)氏は、デフレの原因は「構造改革」のおくれにあるとし、不良債権処理をはじめサプライサイド(企業側)の改革を提唱しました。企業利益が回復すれば、やがてそれが家計にも波及し、デフレからも脱却できると主張していました。(中略)けっきょく企業利益は家計に波及せず、竹中氏の「構造改革」論は破たんし、デフレはつづきました。

・いっぽう01年当時、参院財政金融委員会の質疑では、自民、民主の一部の議員が、デフレを克服するために、日銀にたいし大規模な金融緩和をやるべきだと、強く迫っていました。いわゆる「リフレ派」の議員たちでした。
「リフレ」とは、リフレーションの略で、デフレから脱却するために、意図的にインフレ状態をつくりだすことをいいます。
(中略)「リフレ派」は、日本がデフレにおちいった原因は、日銀がバブル経済の再燃を警戒するあまり金融緩和に消極的だったことにあるとし、日銀に大規模な「量的緩和」をおこなうように強くもとめていました。

・金融緩和の具体的な手段は二つあります。
 ひとつは、日銀が銀行にお金を貸し出すときの金利を引き下げることで、銀行が企業や個人に貸し出すときの金利も引き下げるように誘導することです。
 もうひとつは、日銀が銀行から国債などを買い上げ、かわりにお金を銀行に供給する=お金の量を増やす、「量的緩和」という方法です。
 理論的にはこの二つの方法がありましたが、2001年の時点で金利はすでにゼロ金利状態でした。金利では手の打ちようがないのです。それ以上、下げようがなく、金融緩和の手段として議論されたのが「量的緩和」でした。
「量的緩和」によって銀行にお金が大量に供給されると、銀行間でお金を融通しあう「短気金融市場(インターバンク市場)」の金利も下がり、銀行がより低い金利でお金を調達できるようになります。そうなれば、銀行が企業や個人にお金を貸すときの金利も、競争原理がはたらいて、より低くなります。

・問題はその先です。(中略)
 しかし銀行が貸出金利を下げたからといって、かならず人びとがお金を借りるとは限りません。(中略)
 したがって、日銀が「量的緩和」をおこない、銀行にお金を供給しても、経済全体の需要が低迷している状況では、世の中にお金は回りません。
 じっさいその後の経過をみても、(中略)シナリオは見事に破たんしました(中略)。

・調べてみると、自民、民主を問わず、「リフレ派」議員たちが株をもっていることがわかりました。(中略)
 質問では、景気がどうとかデフレがどうとか、もっともらしいことをいいながら、ようするに株を上げるために、大規模な「量的緩和」をやれというのが「リフレ派」議員のホンネだったのです。

・そもそもデフレは、金融政策の結果ではなく、90年代後半から本格化した政府と財界による賃金引き下げ政策によって国民の購買力がうばわれてきたことに根本原因があります。

・安倍首相は白川総裁を任期満了前に辞任させ、その後任について(中略)元財務官僚で日銀の政策を批判してきた「リフレ派」の黒田東彦(はるひこ)氏を新総裁に指名しました。
 2013年3月20日、新総裁に就任した黒田氏は、安倍首相の思惑どおり、「黒田バズーカ砲」とよばれるかつてない規模の金融緩和にふみだします。いわゆる「異次元の金融緩和」です。

・各国の歴史をふりかえると、ときの政権が政治的な目的で、中央銀行に金融緩和をもとめ、国債の引き受けを要求するということがたびたびありました。
 日本でも戦前・戦中に政府が軍事費を調達するために日銀に巨額の国債を引き受けさせ、極端な物価上昇がおきて経済破たんをまねきました。

(また明日へ続きます……)

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