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田嶋陽子『愛という名の支配』その6

2020-08-03 09:11:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

・実際、スウェーデンの政治家は「心は社会主義、足は資本主義」だと言って、社会主義と資本主義の両者の相互乗り入れを必然的なものとしています。
 理想的な左翼思想の真髄がフランスの元保健相が言うように、「平等と公平……すべての可能性を万人に開く。単純なこと」だとすれば、その社会主義の「心」だけあって、「足」の麻痺していた国、旧ソ連は、国民の競争力が抑圧され、生産性が上がらないまま、とうとう崩壊してしまいました。
 また日本のように、まだ金稼ぎだけが目的で、哲学のない「足」だけの国は、公平さや平等や福祉の概念が成熟しないまま、民主主義も不完全で、男性と女性との関係も封建制度を引きずっている中途半端な国になっています。
 いま、「心」と「足」のバランスが必要なこと、その相互乗り入れが必要なことは、世界的必然であり、それなくして、先進国も個人も、また先進国と発展途上国との共存も成り行かないと言っていいと思います。

・資本制は、多くの問題を抱えながら、それでも、歴史上これまでになく多くの女性を解放してきました。現実に資本主義の国ほど女性の解放は進んでいるのです。それは、資本主義が善だということではなくて、資本主義の国ほど近代化も民主化も進んでいて、個人主義が浸透し、社会の成熟度が高いからなのです。

・当然とはいえ、近代社会と個人主義の成熟なくして、フェミニズムなどありえないのです。

・私が思うに、資本主義がいちばん恐れているのは、自立して個人となった人間です。自由を知っている人間なのです。会社がいちばん扱いにくいのも、自立した人間であるはずです。けっして会社の言うことはきかないし、批判はするし、条件のよいところを求めてすぐ転職します。優秀な個人をひきとめておくためなら、どんどん待遇をよくしなければなりません。

・日本女性の解放度を世界34位ときめたアメリカの「人口危機委員会」は、その調査のなかで、アフリカの飢餓で女性と子どもの死亡率が高いのは成人男性に食物を奪われるからだと報告しています。また、近ごろ日本で働く東南アジアの女性たちはみんな家族のために稼ぎにきていて、その収入は家で待っている父親や兄に持ち去られるということはよく知られています。

・日本の主婦は、いまやっと60年代のアメリカの主婦たちの状況に追いつきはじまました。

・男性優位社会の欺瞞と暴力から女性を、ひいては男性をも解放し、限りない自由と平等を達成するために、女性は自信をもって社会のあらゆる分野に進出し、ものごとを決定する場で発言し、指導性を発揮すべきなのです。男と女が五分五分で平等におなじスタート・ラインに立ったとき、そのときはじめて、これまでとはちがった、すばらしい未来像が構想されるにちがいありません。

 まさに正論だと思いました。

 →サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto