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小峰健二『惜別 森崎東(もりざきあずま)さん 「喜劇」の底流に悲哀や怒気』

2020-08-18 00:13:00 | ノンジャンル
 8月15日の朝日新聞の夕刊に、記者の小峰健二さんによる『惜別 森崎東さん 「喜劇」の底流に悲哀や怒気』と題された記事が載っていましたので、全文を転載させていただきます。

 21日に公開される映画「糸」の瀬々敬久(せせたかひさ)監督(60)は、今作で初めて組んだ倍賞美津子さんの姿に驚いた。誰もが認める大女優は、若いスタッフに小道具の使い方について意見を求めていたのだ。「森崎イムズが宿っているんだな」と思い至った。
 森崎さんは映画づくりの場で誰かが幅をきかせることを嫌ったという。たとえ、それが監督やベテラン俳優であっても、倍賞さんの分け隔てのない気さくな振る舞いは、1969年の「喜劇 女は度胸」から8本の作品に出続けた森崎映画の看板女優ならではのものだ。瀬々さんは、そうみている。
 森崎さんがつくる映画も同様だ。主役ばかりが中心になるのではない。登場人物それぞれの個性を浮き上がらせた。「まるで寄せ鍋のような群像劇。僕もそんな映画がつくりたいと思っています」と言う。
 映画に落とし込んだ感情も、森崎さんならではの多彩さだった。初監督作「喜劇 女は度胸」や71年「喜劇 女は男のふるさとヨ」のように「喜劇」とうたう作品にすら、底流には悲哀や怒気があった。映画評論家の山根貞男さん(80)は、「アマルガム(融合体)」と評する。「言い換えるなら、ごった煮のような独特の作品。それを見て、私たちは笑ったり、しんみりしたりしたものです」
 近所に住んでいたこともあり、45年にわたって親交を結んだ。電話で呼び出されて自宅に向かうと、映画のアイデアをぶつけられることもあった。「いつも生活者の声を採り入れることを考えていた。監督だからと、偉そうにふんぞり返ることのない人柄でした」
 いま、庶民の心の機微をすくい取る映画がどれほどあるだろう。コロナ禍に対する後手後手の対策により、世間が泣き、怒り、右往左往する現代にこそ、森崎さんの新作が見たかった。

 以上が記事です。この記事に出てくる瀬々敬久監督は私と同い年で、私も瀬々監督と同じように森崎監督の「女」シリーズの熱狂的なファンであり、その証拠に「喜劇 女は男のふるさとヨ」はDVDに焼いて、いつでも見ることのできる状態にしてあります。その映画の主演の倍賞美津子さんが魅力的なのはもちろんなのですが、ヌード劇場に女の子を派遣する「新宿芸能社」の女将さんを演じた中村メイコさんがヤクザのねぐらとなっている地下のバーに向かって汚物をまき散らす場面や、緑魔子さんが片目だけメーキャップして舞台に立つ、なんともせつない場面などもすぐに目に浮かびます。森崎さんは私が大学時代に親しくしていた早大シネマ研究会の学生たちとも親交があったようで、私は大学を卒業してから、その話を聞きました。
 とにかく森崎監督に私は何か縁を感じるほど、好きで好きでしょうがありません。ぜひ森崎監督の後を継ぐ新人監督が現われるのを切に願って、この文章を終わりにしたいと思います。

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