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行方均『ビートルズは終わらない』

2020-08-12 00:42:00 | ノンジャンル
 行方均さんの2020年作品『ビートルズは終わらない』を読みました。そこから「はじめに」の部分を転載させていただくと、

 2020年はビートルズの事実上の解散から50年だ。1970年4月30日、ポールは英大衆紙「デイリー・ミラー」にビートルズ脱退を表明している。翌5月にはビートルズ最後の作品『レット・イット・ビー』(録音は「アビイ・ロードが最後」が英米で発売され、同月中に前後して映画「レット・イット・ビー」が公開されている。日本では6月5日に国内版LPが発売、8月25日に映画が公開されている。
 僕は1964年春、国内デビュー・シングル〈抱きしめたい I Want To Hold Your Hand〉で出会い、1970年の解散まで同時代でビートルズの“進撃”に立ち会った。中学校1年生から6年間の多感な時代だ。“ビートルズ”という新しい音楽と文化を、自分たちのものとしてダイレクトに受け容れた最初の世代であったと思う。ロックンロールやロカビリーの延長でビートルズと出会った諸先輩方々の参加と貢献には大いに教えられ助けられたが、それでもあえて僕(ら)を“日本のビートルズ・ファン第一世代”と呼ぶのは、音楽と同時に彼らから“われらの時代 Our World”という世界的なメッセージをダイレクトに受け取り、その時代を生きてきたからだ。
 日本におけるその最初の6年間、ビートルズは僕らとともに実在した。そして1970年以降ビートルズは「解散後のビートルズ」というさらに巨大で普遍的な存在になったと思う。
 あれから50年のこの機に、第一世代の自負をもってビートルズの現役時代とその後を語りたい。そんなことを考えて、現在世界最長の公認ファンクラブ「ザ・ビートルズ・クラブ」会員限定月刊誌「ザ・ビートルズ」2016年4月号(3月発行)から連載を引き受けた時、タイトルを「僕らのビートルズ」とさせていただいた。もちろん計算したわけではないが、連載は40周年の5月号(4月発行)で第50回を迎えた。あの60年代の日々に加えて、1997~2013年の『ザ・ビートルズ』『LOVE』、20年ぶりの再発盤リマスター・プロジェクトをカヴァーする解散後の最も充実した時期、僕はレコード会社(東芝EMI~EMIミュージック・ジャパン~ユニバーサルミュージック)でビートルズ国内盤の制作・宣伝を統括する立場にあった。ビートルズを囲む大小二つの過去の様々なエピソードをご提供できると思う。
 本書は3部構成からなり、第1部「僕らのビートルズ」はその名の通り上記連載の第1回~第50回に加筆・修正を加えてまとめたものだ。第2部はビートルズの英米日のオリジナル・アルバム全58タイトルをリスト・アップし、各タイトルに僕なりの解説というか、長短自在のわがままなメモワールを加えている。第3部は対談編だ。3回4人の出席者をお願いしたが、第1回の高嶋弘之さんは、国内盤ビートルズの初代担当者で日本デビュー・シングル〈抱きしめたい〉(1964年2月5日発売)の名邦題を付け、デビュー・アルバム『ビートルズ!』の名選曲を手掛けた方で、東芝EMIの前身、東芝音楽工業で大活躍された僕の大々先輩だ。第2回のピーター・バラカンさんは、僕と同年齢で、ビートルズのデビューから解散までをロンドンで体験している。第3回の藤村美智子さんは、1997年~“解散後のビートルズ”の至近な時代を担当され、そのセールスはこれもEMIの大先輩、“70年代日本のビートルズ中興の祖”石坂敬一さんが先頭に立って築いた“解散後のビートルズ”の時代をはるかに凌ぐ。今回藤村さんと“共演”をお願いしたシンコーミュージック・エンターテインメント取締役の吉田聡志さんは持っていないビートルズのレコードや書籍なら安易でも手に入れる。ビートルズの記憶は散財の記憶だという。解散後のビートルズと出会い、シンコー入社後の80年代後半以降、同社のさまざまなビートルズ本やプロジェクトと関わる。藤村さんの担当したビートルズ作品のメディア側の助っ人だった。
 “記憶”と“作品メモ”と“対談”、これら3部門が互いに補足し合いながら60年代に始まる“ビートルズの時代”を立体的に伝えてくれれば、というつもりで本書を構成した。そしてもちろん、その時代は今も続いている。ビートルズは終わらない。

 350ページを超える本でしたが、半日で読んでしまいました。

 →サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto