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大門実紀史『カジノミクス 「カジノ解禁」「アベ銀行」「年金積立金バクチ」の秘密』その6

2019-11-25 05:49:00 | ノンジャンル
 昨日、厚木市文化会館で行われた扉座の公演「最後の傳令 菊谷栄物語━1937 津軽~浅草」を母と観ました。エノケンの劇団の座付き作家であった菊谷栄が軍からの召集を受け、津軽で入隊前の最後の夜を過ごしています。菊谷の召集を彼が浅草を発った後に知った劇団員たちの代表として津軽生まれの劇団員・祭がそこを訪れるという話で、祭をAKB48の横山結衣さんが演じていました。横山さんのチャーミングなダンスや本格的なミュージカルの場面あり、涙を誘う場面ありと見どころ満載の舞台で、改めて扉座の実力を知らしめたと思います。厚木市文化会館の公演は昨日が最後で、今月の27日から来月の1日までは新宿の紀伊國屋ホールで引き続き行われます。演劇好きではない方にもおすすめです。

 さて、また昨日の続きです。

・投機マネーの金額は膨張をつづけ、その金額は、2008年時点で180兆ドル(約1京6
千兆円)ともいわれ、世界のGDPの約3倍にも達するほどふくらみました。

・リーマン・ショックのあと、アメリカやEU(欧州連合)など発達した資本主義国だけでなく、主要20カ国によるG20の場や、IMF(国債通過基金)などでも、投機マネーの規制について検討がおこなわれました。

・しかし、(中略)リーマン・ショックから10年がたった今も、投機マネーの抜本的規制にはほど遠い状況です。
 それは規制強化に反対する多国籍企業や投資銀行などの国際的金融資本の抵抗がつよく、各国政府もその意向をうけて本腰をいれてこなかったからです。
 しかもアメリカでは、トランプ政権になって、ぎゃくに規制をゆるめるうごきが強まっています。

・第二次安倍政権が発足した2012年度から(大企業の内部留保は)1.28倍に増え、当期純利益は12年度の19.5兆円から44.9兆円へと2.3倍にも急上昇しています。
 一人あたり役員報酬は12年度からは1.13倍の伸びです。配当金も1.65倍に急増しました。一方、従業員の資金は12年度に比べ1.03倍にとどまります。この間の消費税増税や物価上昇を合わせると実質減少です。

・かつての日本企業の経営者は、資源の少ない日本にとって人材こそ資源であると考え、いまにくらべれば、もうすこし従業員を大切にしたものでした。
 ところがいまや従業員は使い捨ての部品のごとく扱われ、その賃金はただの費用(コスト)に過ぎなくなりました。賃金をカットすれば企業価値が上がり、株価も上昇するという悪しき慣行がはびこり、リストラを実行した役員が多額の報酬とボーナスを受け取ることが、恥ずかしげもなくおこなわれています。

・会社は株主だけのものではありません。授業員、顧客、取引先といった直接の関係者はもちろん、地域社会や国や地球全体までを『ステークホルダー(利害関係者)』と捉えるべきです。経営は、これらステークホルダーのすべてを幸せにする、という方針に基づくべきなのです。

・この流れは16年の大統領選挙の民主党候補選びにつながっていきます。
 格差是正と富裕層への増税、最低賃金引き上げなどを前面にかかげた自称「民主的社会主義者」、バーニー・サンダース上院議員がヒラリー・クリントン元国務長官相手に大接戦を演じたのです。

・サンダース氏はアメリカ国民によびかけました。
「みんなで一緒に取り組む勇気を奮い起こせば、必要とされていることはできると、私は確信している。(後略)」

・この流れはとどまることなく、2018年11月のアメリカの中間選挙では下院で民主党が過半数を奪還、その中でもサンダース氏の率いる「民主的社会主義者」の候補が数多く当選しました。

・将来、そのときの国民多数がのぞむなら、生産の目的を「利潤第一主義」から「社会と人間の発展」におきかえること、すなわち、工場や機械、土地などの生産手段を、私的資本の手から人間の連合体である社会の手に移すこと━━生産手段の社会化へふみだすという「未来社会」の展望を日本共産党はもっています。
「未来社会」では、資本主義につきものの搾取や浪費が一掃され、労働時間も抜本的に短縮することができるでしょう。

以上、長々と引用しましたが、大門実紀史さんの著作『カジノミクス 「カジノ解禁」「アベ銀行」「年金積立金バクチ」の秘密』の要旨でした。大変勉強になると同時に、将来に夢を持てる、そんな本でもあったと思います。入手は容易な本だと思うので、是非ご自分の手に取って、全篇通して、お読みいただきたいと思います。

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大門実紀史『カジノミクス 「カジノ解禁」「アベ銀行」「年金積立金バクチ」の秘密』その5

2019-11-24 05:23:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

・そもそも日本に大胆な金融緩和政策をもとめてきたのはアメリカです。
 アメリカは慢性的な赤字大国です。その赤字を歴史的にささえてきたのが日本でした。

・株だけでなく、国債市場でも外国人投資家、すなわちヘッジファンドが中心的存在になりつつあることがわかります。

・かれらのねらいは、「空売り」によって国債の暴落を仕かけ大もうけすることですが、現在のところ、日銀が売られた分を買い支えることで必死に持ちこたえています。

・(前略)当座預金の一部の利息は現在「マイナス金利」によって抑えられていますが、いずれ「マイナス金利」をやめ利息を引き上げざるをえなくなります。当座預金の支払い利息が国債の利息収入をこえ赤字化することも十分予測され、そのばあい、日銀の自己資本8兆円を消失させ、債務超過におちいる危険性もあります。

・(金融政策の)正常化のためにはつぎの四点が重要だとかんがえます。
 第一に、物価上昇目標2%をただちに取り下げることです。
 第二に、国債保有残高を減少させる方針を明確に打ちだすことです。
 第三に、「空売り」規制などの特別措置をもうけ、国債暴落をねらう投機筋の動きを阻止することです。
 第四に、巨額に保有した国債とETFなどについては、中・長期的な市場への売却計画をはっきりしめし、市場関係者や国民との意思疎通、理解の促進に尽力することです。

・従来、公的年金基金の運用対象は6~8割が日本国債で、安全運用を基本にするとどうじに日本の財政を支えてきました。リスクの高い株への投資は24%が上限ときめられていたのです。
 ところが安倍首相になってから、方針転換がはかられました。

・さらに看過できないのは、私たちの年金積立金が、世界の軍事関連企業の経営を支えていることです。

・そもそも公的年金の半分を、リスクの高い株で運用する国などほかにありません。

・アメリカは、州ごとの職員退職制度などの年金基金もありますが、わが国の国民年金・厚生年金に相当する公的年金は、連邦政府によるOASDI(老齢遺族障害保険)です。
 けれどもこのOASDIは、日本と同規模の積立金をもっていますが、全額、米国債で運用し、社会保険庁と財務省が直接取引をしています。

・わたしたちは、およそ10年ごとにバブルの発生と崩壊を経験してきました。
 1980年代の日本の株と不動産バブル、1990年代のITバブル、2000年代のアメリカ住宅バブル・サブプライムローンの破たんとリーマン・ショックです。

・藤田勉・一橋大学大学院特任教授は、バブルと株価の関係をつぎのようにのべています。(中略)
「過去三回のバブル崩壊後の日経平均株価の下落率は毎回60%を超えており、相場がいったん崩れれば、株価が半値以下になる。株価上昇期間は約8年、下落期間は約2年。バブル崩壊は急激だが、短期間で終わることが多い」。
「専門家であってもバブル発生を認識するのは大変難しい。(中略)崩壊しないバブルはない。言い換えるとバブル崩壊のリスクも高まりつつある」。

・ヨーロッパ諸国では、公的年金の積立金は、(中略)、給付額の数ヵ月分しか用意されていません。それとくらべて、国民年金・厚生年金あわせて約160兆円、給付費の三年分という日本の貯めこみ額は異常です。

・日本の年金制度は、戦時中の1941年につくられた労働者年金保険法(中略)によってはじまりました。しかし年金を支給するのは数十年先ということから、ほんとうの目的は、国民からとりたてた保険料(年金積立金)を戦費に使うことだったといわれています。

・戦後の高度経済成長期には、年金積立金は、第二の予算といわれる財政投融資計画をつうじて道路、港湾などの公共事業に投入されました。

・「(カジノ資本主義では、通貨(価値)の変動によって農民の作物の価値は収穫前に半減しうるし、輸出業者を廃業に追い込みうる。利子率の上昇は商店経営者の在庫コストを致命的なまでに増大させうる。財務的配慮が先にたった企業買収は工場労働者の職を奪いうる。(後略)」

・この投機マネーの原資はなんでしょう。
 90年代はじめから世界を席巻した新自由主義は、利潤の最大化を追求し、賃金を抑えこみ、社会保障制度を後退、解体させていきました。
 そのもとで貧困と格差がひろがり、いっぽうで大企業と富裕層(大投資家)に富を集中させました。(中略)その多くは、実体経済への投資に回ることなく、利ザヤをもとめてヘッジファンドや投資銀行に運用がゆだねられたのです。
 それに政府系ファンド(中東の産油国、中国、ロシアなどが自国の外貨収入の運用をおこなうために設立したファンド)や各国の年金基金なども加わり、膨大な金額の投棄マネーが形成されました。(後略)

(また明日へ続きます……)

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大門実紀史『カジノミクス 「カジノ解禁」「アベ銀行」「年金積立金バクチ」の秘密』その4

2019-11-23 06:52:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

・政治からの圧力や介入が金融政策をゆがめ、経済に混乱をまねいてきた過去の苦い経験から、中央銀行は、政府から一定独立した立場で、中立的・専門的な判断をもとに金融政策の運営にあたることがのぞましいという考え方が、世界の常識になっていきました。

・長期金利と国債は表裏一体の関係にあります。国債価格が下がれば、国債の利回りが上昇し、それに連動して長期金利も上がります。反対に国債価格が上がれば、長期金利は下がります。
 日銀はその国債を先にみたようにあまりにも大量に保有している。そのため国債の価格や利回り、すなわち長期金利の決定に大きな影響をあたえることができるようになっています。(中略)
 こんな国は世界で日本だけです。

・黒田総裁になってから、日銀の説明のなかに、(中略)日本語でいえばいいことを、わざわざ専門家にしかわからないカタカナ語で表現することが増えてきました。政策当局がカタカナを多用するときは、国民をごまかそうとしている場合が多い、というのがわたしの国会での経験です。

・(前略)90年代後半から政府・財界が一体となってすすめてきた賃金引き下げ政策がデフレの原因です。
 1995年、日経連(中略)が発表した「新時代の『日本的経営』」は、それまでの終身雇用や正社員が基本の雇用制度を抜本的に見直し、非正規雇用の拡大など雇用の流動化による賃金引き下げ策を打ちだしました。

・意図的な賃金引き下げ政策がつくりだしたデフレですから、意図的に賃金を引き上げる政策を実行するしかデフレから脱却する方法はないのです。そのためには、非正規雇用から正社員の流れをつくる規制強化や、中小企業に手厚い支援をおこないながら最低賃金を大幅に引き上げるなど、具体的な賃金引き上げ策をただちに実行することです。

・「異次元の金融緩和」は円安をもたらしましたが、円安になれば輸入物価が上がり、物価全体を押し上げます。賃金が上がらないもとで物価だけが上がり、このことが実質賃金を低下させた一因にもなったのです。

・つまり、賃金引下げ → デフレ → 低金利 → 金融バブルの発生 → 資産価格の上昇 → 富裕層の富の拡大 → 格差拡大、という関係が存在するということです。
 逆にいえば、賃金デフレを克服するために、賃金を上げれば、物価が上がり、金利も上がるような状況になれば、金融バブルは終焉(しゅうえん)にむかい、大企業の利益は減少し、富裕層も資産を増やせなくなります。これは安倍政権のコアな支持者の利益に反することです。安倍政権が日本のデフレを賃金デフレと認めず、本気で賃金引上げをすすめようとしない背景にはこのことがあるのです。

・(前略)「企業価値」の向上よりも、株価の変動による利ザヤをねらってお金を投じることを投機といいます。いま株式市場をじっさいに動かしているのは、この投機マネーです。

・安倍政権は「異次元の金融緩和」によって、この投機マネーを呼びこみました。
 いくつかルートがあります。
 第一は、低金利によって、株への投資が相対的に有利になることです。(中略)
 第二は、円安による外国人投資家の呼び込み効果です。(後略)

・この株価上昇によって、大株主は巨額の利益を手に入れました。とくに保有株式が1000億円以上(時価総額)の超大株主は安倍政権の5年9カ月で、保有する株式の時価総額を五倍(中略)にふくらませたのです。

・2016年1月に打ちだされた「マイナス金利」政策のほんとうの目的も、株価引き上げにありました。

・日銀が保有するETFの時価総額は、2018年9月末時点で29兆円にたっし、GPIF(43.4兆円)と日銀をあわせた公的マネー全体では、約71兆円にもふくらんでいます。東証一部の時価総額に占める比率も10.6%となり、国内株の一割以上を公的マネーが占め、株価を支えるという異常事態になっています。

・(前略)東証一部上場企業(2090社)の中では34.5%(722社)、「日経225」株価指数の計算対象に組み入れられている大手企業225社に限定すれば、なんと84%(189社)で、公的マネーが筆頭株主となっています(中略)。

・日銀がここまで巨額の株の買い入れをおこなうと、今後、売るどころか、買い入れ額を減らしはじめただけでも、株価下落の引き金になりかねません。
 しかし日銀もいずれ株の保有を減らす方向に転換せざるをえず、そのときは株価下落をまねくだけでなく、株を保有している日銀自身にも大きな損失をもたらします。

(また明日へ続きます……)

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大門実紀史『カジノミクス 「カジノ解禁」「アベ銀行」「年金積立金バクチ」の秘密』その3

2019-11-22 03:37:00 | ノンジャンル
 また昨日の続きです。

・日本銀行は、世界の中央銀行のなかでも、二つの点で異常です。
 第一の異常は、国が借金のために発行する国債を大量に買いこみ、保有していることです。(中略)
 第二の異常は、株を大量に買いこみ、保有していることです。

・世界の中央銀行で、ETF(投資信託)や株を購入しているところはありません。その理由は、中央銀行が株を購入することは市場に大きな影響をあたえ、株価の価格形成をゆがめてしまうからです。

・(日銀の)資産がふくらんだといっても、そのなかみは価格急落のリスクをはらんだ国債と株です。バランスシートのうえでも、その危険度でも、日銀は世界でも異形の中央銀行になってしまったのです。

・01年4月、経済財政政策担当大臣となった経済学者の竹中平蔵(へいぞう)氏は、デフレの原因は「構造改革」のおくれにあるとし、不良債権処理をはじめサプライサイド(企業側)の改革を提唱しました。企業利益が回復すれば、やがてそれが家計にも波及し、デフレからも脱却できると主張していました。(中略)けっきょく企業利益は家計に波及せず、竹中氏の「構造改革」論は破たんし、デフレはつづきました。

・いっぽう01年当時、参院財政金融委員会の質疑では、自民、民主の一部の議員が、デフレを克服するために、日銀にたいし大規模な金融緩和をやるべきだと、強く迫っていました。いわゆる「リフレ派」の議員たちでした。
「リフレ」とは、リフレーションの略で、デフレから脱却するために、意図的にインフレ状態をつくりだすことをいいます。
(中略)「リフレ派」は、日本がデフレにおちいった原因は、日銀がバブル経済の再燃を警戒するあまり金融緩和に消極的だったことにあるとし、日銀に大規模な「量的緩和」をおこなうように強くもとめていました。

・金融緩和の具体的な手段は二つあります。
 ひとつは、日銀が銀行にお金を貸し出すときの金利を引き下げることで、銀行が企業や個人に貸し出すときの金利も引き下げるように誘導することです。
 もうひとつは、日銀が銀行から国債などを買い上げ、かわりにお金を銀行に供給する=お金の量を増やす、「量的緩和」という方法です。
 理論的にはこの二つの方法がありましたが、2001年の時点で金利はすでにゼロ金利状態でした。金利では手の打ちようがないのです。それ以上、下げようがなく、金融緩和の手段として議論されたのが「量的緩和」でした。
「量的緩和」によって銀行にお金が大量に供給されると、銀行間でお金を融通しあう「短気金融市場(インターバンク市場)」の金利も下がり、銀行がより低い金利でお金を調達できるようになります。そうなれば、銀行が企業や個人にお金を貸すときの金利も、競争原理がはたらいて、より低くなります。

・問題はその先です。(中略)
 しかし銀行が貸出金利を下げたからといって、かならず人びとがお金を借りるとは限りません。(中略)
 したがって、日銀が「量的緩和」をおこない、銀行にお金を供給しても、経済全体の需要が低迷している状況では、世の中にお金は回りません。
 じっさいその後の経過をみても、(中略)シナリオは見事に破たんしました(中略)。

・調べてみると、自民、民主を問わず、「リフレ派」議員たちが株をもっていることがわかりました。(中略)
 質問では、景気がどうとかデフレがどうとか、もっともらしいことをいいながら、ようするに株を上げるために、大規模な「量的緩和」をやれというのが「リフレ派」議員のホンネだったのです。

・そもそもデフレは、金融政策の結果ではなく、90年代後半から本格化した政府と財界による賃金引き下げ政策によって国民の購買力がうばわれてきたことに根本原因があります。

・安倍首相は白川総裁を任期満了前に辞任させ、その後任について(中略)元財務官僚で日銀の政策を批判してきた「リフレ派」の黒田東彦(はるひこ)氏を新総裁に指名しました。
 2013年3月20日、新総裁に就任した黒田氏は、安倍首相の思惑どおり、「黒田バズーカ砲」とよばれるかつてない規模の金融緩和にふみだします。いわゆる「異次元の金融緩和」です。

・各国の歴史をふりかえると、ときの政権が政治的な目的で、中央銀行に金融緩和をもとめ、国債の引き受けを要求するということがたびたびありました。
 日本でも戦前・戦中に政府が軍事費を調達するために日銀に巨額の国債を引き受けさせ、極端な物価上昇がおきて経済破たんをまねきました。

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大門実紀史『カジノミクス 「カジノ解禁」「アベ銀行」「年金積立金バクチ」の秘密』その2

2019-11-21 02:38:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。

・しかも(「IR推進会議」の行なった)「整理」の中身もずさんです。(中略)
 たとえば「運営の主体等の性格」について「IR推進会議」の整理は、「カジノIR関係者を全て厳格な公的管理・監督のもとに置く」(中略)となっていますが、カジノの免許申請時に、関係者の能力、社会的信用度、財産的基礎を審査するだけのことです。あとは自由となるのですから、ラスベガス・サンズなどのアメリカの大手カジノ企業がおとなしく日本の官庁や自治体の監視下にはいるわけがありません。

・また「IR事業者は、認定都道府県等と共同して、この公益を追求する主体であると捉える」というのも絵空事です。カジノ企業が追求するのは公益ではなく、あくまで自分たちの私益です。認定した自治体との共同といっても、じっさいは、素人の自治体職員はカジノ企業のおもいどおりにつくる計画を書式の不備などがないかどうかをみるだけでお墨付きをあたえてしまい、国土交通大臣に申請するだけのことです。

・この点については法務省の姿勢のぶれにも言及しておかなければなりません。(中略)
 12年の民主党部門会議でしめされたように、当時の法務省の見解は、民営カジノの合法化はできないというものでした(中略)。
 しかしその後、民主党政権から自民党安倍政権にかわり、2015年あたりから、民営カジノの実施が安倍内閣の優先課題になっていくもとで、法務省も民営カジノについてあいまいな姿勢をとるようになります。
 2016年12月8日の参院内閣委員会での「カジノ解禁推進法」の審議の際、法務省の加藤俊治(としはる)審議官はわたし(著者)の質問に対し、「運営主体等の性格」のカッコ書きにある「官又はそれに準じる団体に限るなど」について「例示に過ぎない」といういい方をし、暗に「民間主体も否定してきたわけでない」という、いままでとちがうニュアンスの答弁をしました。
 前日の質問通告のときは、従来どおり「民営カジノは難しい」との担当者のはなしだったので、委員会での加藤審議官の答弁には大変おどろきました。(中略)
 わたしは法務省の見解の整合性を問うため、12年の民主党部門会議で「民営カジノはむずかしい」と説明した当時の法務省担当官の委員会への参考人招致をもとめました。
 しかし、参考人招致が理事会で協議されることもなく、その数日後、「カジノ推進法」の裁決が強行されてしまいました。

・あれから二年、法務省は、今回の「カジノ実施法」についても、法務省自身の判断は避け、「政府が八つの要件をクリアするよう制度設計したというのだから、クリアしているのだろう」と傍観者的な態度をとりつづけています。
 かんがえてみれば、「集団的自衛権は行使できない」といっかんして主張してきた内閣法制局でさえ、安倍政権になって法の番人という立場をなげ捨て、きゅうに「行使できる」といいだしたのです。法務省が民営カジノの解禁を強行したい安倍政権の軍門に下ったとしてもなんの不思議もありません。

・咲洲(さきしま)、舞洲(まいしま)、夢洲(ゆめしま)など大阪のベイエリア開発は、1958年に埋め立て造成工事がはじまって以来、重化学工業の誘致に失敗したあと、2008年のオリンピック誘致にも失敗するなど、破たんをくり返してきました。

・カジノの早期解禁という維新の要求にこたえてきたのが安倍首相です。
 安倍首相のねらいは、カジノ解禁とひきかえに、維新を改憲のパートナーにすることです。

・法のしくみからいって、自治体が国へ申請しない限り、カジノは誘致できません。自治体が国に申請するためには都道府県等議会の議決、立地市町村の同意が必要です(中略)。
 どの世論調査でもカジノ反対は六割をこえています。議会でカジノ反対派を多数にすることをふくめ、地域の運動で自治体にカジノの申請を断念させることは十分可能です。

・またアメリカのカジノ企業が想定している巨大カジノはその周辺およそ100キロメートル圏内の住民を対象としています。たとえば、北海道苫小牧のカジノがおもなターゲットにしているのは札幌市民であり、大阪夢洲のカジノがターゲットにしているのは近畿圏の住民全部です。(中略)

・さらに、従来の刑法解釈を崩壊させ民営とばくを解禁する「カジノ実施法」は、民営とばくの際限のない拡大に道をひらく危険性があります。
 前述のように、なんらかの「公益性」をくっつければ、「民営とばく」も合法になるという安易な論立てが許されるなら、公営ギャンブルも上納金を納めるから民営でやらせてほしい、パチンコも地元商店街振興や経済活性化に貢献する義務を負うから、堂々と店で現金払いをさせてほしいといった主張を拒否できなくなるからです。

(また明日へ続きます……)

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