菅首相の政治団体
年44回 名店・割烹・一つ星…
名目は組織対策費「会合」
「東京・赤坂のすし店『赤坂 石』。首相補佐官、秘書官と食事」―。一般紙の首相動静欄をみると、こんな記載が目立つ菅直人首相。首相の関連政治 団体「菅直人を応援する会」(東京都選管所管)の政治資金収支報告書を調べてみると、2009年の1年間に計44回、計160万3185円の飲み食いをし ていたことがわかりました。
![]() (写真)「菅直人を応援する会」がよく利用するすし店が入居するビル=東京・赤坂 |
「応援する会」は、菅首相の資金管理団体「草志会」と同じ東京都武蔵野市内のマンションが所在地。事務担当者は、菅氏が支部長を務める「民主党東京都第18区総支部」の事務担当者、草志会の会計責任者も兼ねる文字通りの「金庫番」です。
収支報告書によると、組織活動費のなかの組織対策費で「会合」という支出が6ページにわたってズラリと並びます。
具体的にみると―。
国会近くの東京・港区赤坂では、居酒屋、割烹(かっぽう)、ソバどころ、すし店、料亭など、いろんな店の名前が登場しています。同区では、このほ か、元赤坂のミシュランガイドで「一つ星」の高級すき焼き店、六本木の焼き肉、芝大門のすし店、芝公園のとうふ料理専門店など。
千代田区では、永田町のフレンチ居酒屋、神田神保町の上海料理、麹町の南部どり料理、飯田橋のすし店といったところ。中央区銀座の鳥料理、渋谷区神宮前の欧風料理、中野区の居酒屋、杉並区の博多串焼き、練馬区のイタリア料理とバラエティーに富んでいます。
地元周辺では、武蔵野市の焼き肉・韓国料理、懐石、小金井市のうなぎ、三鷹市の居酒屋など。横浜市港北区の高級中華料理店、川崎市高津区の京野菜しゃぶしゃぶも登場します。
登場する店の数は29。
衆院予算委員会に自動車業界団体の代表を参考人として招致し、「非正規切り」問題が質疑された昨年2月24日にも6カ所での飲食の記載が。総選挙が終わり、政権交代が実現した後の9月10日~13日には連日、飲食しています。
小沢マネー10億
候補者91人に4億円超配る
“禁断のカネ”に手を伸ばす
民主党の小沢一郎元代表が、政権交代をかけてとりくんだ昨年の総選挙に向け、なりふりかまわぬ資金づくりで10億円近いカネを集め、91人の候補 者に総額4億4900万円をばらまいていたことが、11月30日公表された2009年分の政治資金収支報告書などでわかりました。(「政治とカネ」取材 班)
小沢氏の資金管理団体「陸山会」や、小沢氏が支部長の「民主党岩手県第4区総支部」、関連政治団体の「小沢一郎政経研究会」など、おもな団体間の政治資金のやりとりを相殺すると、約9億6700万円の実収入がありました。
このうち、08年の約6倍、政治家としては最高の9億1282万円の巨額な収入があった陸山会は、「第4区総支部」からの寄付が4億2900万円 で47%を占めます。うち、昨年の衆院解散翌日の3億7000万円が、旧新生党関連の政治団体「改革フォーラム21」を経由した同党の資金です。この手法 は政治資金規正法の量的制限を逃れるための迂回(うかい)献金の疑いがあります。
旧新生党資金には、立法事務費として支給された4億7970万円の税金も含まれており、同党解散後15年間、手をつけてこなかった“禁断のカネ”に手を伸ばしたことになります。
一方、陸山会は、都心の一等地にあるマンション3物件を売却、約7000万円の収益を上げていました。うち、横浜市内の不動産会社に売却された2物件は、衆院解散直前の7月10日で、総選挙資金の一部になった可能性があります。(詳報)