TPP異議 8道県議会
意見書可決
例外なき関税撤廃を前提にする環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加協議を開始すると決めた菅内閣にたいし、八つの道県議会が、国民的議論がない「拙速なもの」として反対または慎重な対応を求める意見書を可決していることが12日、本紙の調べでわかりました。
意見書を可決したのは北海道、秋田、愛媛、佐賀、長崎、熊本、鹿児島、沖縄の各県議会。いずれも臨時議会を開いて全会一致で可決しました。
秋田県議会は10日に「国民的合意形成なくしてTPPに参加することに反対する意見書」を可決しました。意見書では、TPPが締結されれば「本県 農業への影響は1161億円と試算されており、まさに壊滅的打撃を受けると同時に地域経済にも深刻な影響を及ぼし、本県の存亡に関(かか)わる事態となる ことが予想される」と批判しています。本会議では、日本共産党の山内梅良県議が趣旨説明にたち、「食料自給率向上を貫くことこそが国益にかなう道だ」との べました。
九州・沖縄では、長崎(1日)、熊本(2日)、鹿児島(8日)、沖縄(9日)、佐賀(10日)の4県議会が菅内閣に異議を唱えました。農業や地域 経済が壊滅的打撃をうけるだけでなく、雇用など国民生活全般への影響を警告しています。佐賀県議会の担当者は、「九州各県とも農業が盛んですので、慎重な 対応を求める点では一致していると思います」と話しています。
熊本県議会は、「国の存続を危うくするTPPへの拙速な参加表明に反対する意見書」のなかで、「農業への壊滅的な打撃は、あらゆる産業において地域経済をより一層大きく冷え込ませ、雇用環境を極度に悪化させるおそれがある」としました。
「農業・農村は食を支えているだけでなく、国土の保全や水源の涵(かん)養(よう)といった多面的機能ももっており、こうした機能が損なわれれば、一般の市民生活にも多大な影響を及ぼす」としたのは長崎県議会の意見書です。
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むしろ旗「TPP反対」
「断固阻止・国民的運動に」
東京 JA全中など3000人緊急集会
志位委員長あいさつ
「TPP参加と食料自給率向上は絶対に両立しない。参加協議を認めるな!」―。菅内閣が、例外品目を認めず全品目の関税を撤廃する環太平洋戦略的 経済連携協定(TPP)への協議開始を閣議決定するなか、「TPP交渉への参加に反対し日本の食を守る緊急全国集会」が10日、東京都内で開かれました。
![]() (写真)TPP交渉参加に反対し日本の食を守る緊急全国集会=10日、東京・日比谷野外音楽堂 |
主催は、JA全中(全国農業協同組合中央会)ら農林水産団体や消費者団体で構成した実行委員会。会場の日比谷野外音楽堂は全国各地から参加した約 3000人でいっぱい。「未来のためにわが国の『食』を守れ!」「もうがまんしない」「菅よ!さらば」などと書いたむしろ旗・のぼり旗がずらりと並びまし た。「TPP交渉への参加に断固反対し、更なる国民各層の理解と支持を得ながら、大きな国民運動に展開させていく決意」だとする特別決議を採択しました。
六つの政党が出席。日本共産党から衆参10人の国会議員が参加。志位和夫委員長があいさつをしました。
実行委員会を代表してあいさつした茂木守全中会長は、TPP参加協議を始めるとした菅内閣にたいし、「絶対に認めることはできない。日本はすでに十分市場開放している。断固阻止のため、本集会を出発点に、さらに大きな国民的運動にしよう」と呼びかけました。
全漁連(全国漁業協同組合連合会)、地方団体、消費者団体の代表も決意を披露。国民の食料と農業、関連産業の崩壊、地域崩壊につながるTPPに反 対行動を広げたいと、訴えました。鹿児島県商工会連合会の森義久会長は、「宮崎県の口蹄(こうてい)疫発生時には南九州経済に大打撃だった。TPPの地域 経済への影響は計り知れない」とのべ、連帯した行動を訴えました。
![]() (写真)むしろ旗を林立させた集会参加者 |
志位氏は、「日本農業を壊滅させるTPP参加に断固反対します」との意見広告を出した日本農業新聞を掲げながら、「最後まで党をあげてたたかいぬ く決意」を表明。「一部輸出大企業のために日本を売り渡す売国政治は許されない」と訴えると「よし、そうだ」の声と拍手が何度もおきました。
与党の民主党から郡司彰参院議員が「慎重に対応する」などとあいさつすると、参加者から「言い訳するな」「信用できない」などのやじが次々に飛びました。
参加者は国会へ請願デモ。デモ隊列に加わったJA大分中央会の佐藤洋会長は、「TPP参加は農業が壊滅し、農村が荒廃し、故郷がなくなる。断固反対の運動を広げたい」と話しました。