古川宇宙飛行士:ソユーズ打ち上げ成功
2011年6月8日 5時24分 更新:6月8日 11時48分


【バイコヌール宇宙基地(カザフスタン)大前仁】古川聡宇宙飛行士(47)が搭乗するロシアの宇宙船「ソユーズTMA02M」は8日午前2時12 分(日本時間同日午前5時12分)、バイコヌール宇宙基地から国際宇宙ステーション(ISS)へ向けて打ち上げられた。約9分後、高度約200キロの予定 軌道に乗り、打ち上げは成功した。
古川さんは99年に宇宙飛行士候補に選ばれてから12年4カ月待ち、初飛行をかなえた。待機期間は日本人飛行士では最長。47歳での初飛行は、日 本人宇宙飛行士では最年長だ。日本人のソユーズ搭乗は、90年、TBS記者だった秋山豊寛さん(68)、09年末から半年間ISSに長期滞在した野口聡一 飛行士(46)に続き3人目。
ソユーズには古川さんのほか、ロシア人のセルゲイ・ボルコフ船長(38)と米国人のマイケル・フォッサム飛行士(53)が乗り組んでいる。古川さんは船長補佐の役割も担う。
数日間続いた強風が打ち上げ直前には収まり、ソユーズロケットは星空に突き刺さるように飛び立った。少し遅れてごう音が、1キロ近く離れた取材場 所まで地響きのように伝わってくる。約90秒後、第1段ロケット分離。オレンジ色の炎がくっきりと見える。5分近くたって第2段ロケット分離が伝えられる と、居合わせた人々から拍手が起こった。
ソユーズは日本時間10日早朝、ISSにドッキングする。古川さんは11月下旬まで約5カ月半滞在し、日本実験棟「きぼう」の維持管理のほか、抗 がん効果が期待される物質の結晶実験などを担当する。医師として、無重力空間を活用した宇宙医学研究にも取り組む。日本人飛行士のISS長期滞在は、09 年の若田光一さん(47)、09~10年の野口さんに続き3人目。
これまで多くの飛行士を宇宙へ運んだ米スペースシャトルは、7月の最終飛行で引退が決まっており、人間を宇宙へ送る手段は当面、ソユーズだけになる。
★古川聡さん(ふるかわ・さとし) 64年横浜市生まれ。89年、東京大学医学部卒業。同年から東大病院外科で医師として勤務。99年、星出彰彦 さん(42)、角野(現・山崎)直子さん(40)らとともに、宇宙開発事業団(現宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士候補に選ばれた。00年、医学博士号 を取得。08年、国際宇宙ステーションの長期滞在クルーに選ばれる。趣味は野球、ソフトボール。