原発なくす 選挙で実現
反原連が官邸前抗議200回目
首都圏反原発連合(反原連)が呼びかける首相官邸前抗議は17日夜、200回目になりました。反原連のメンバーは「一刻も早く原発をなくす気持ちは変わらない。今後も行動する」と発言。「原発いらない」「高浜原発再稼働反対」「野党は共闘」と声を上げました。
国会正門前では、開始前から参加者が石垣に座っています。「毎回来ている」と話す70歳の男性は「もう200回か。原発を推進する政府の姿勢は変わらない。選挙で安倍政権を打倒するしかない」といいます。
毎週金曜日に定着した同抗議は、2012年3月29日にスタートしました。今でも、初めて参加した人に出会います。首都圏からだけでなく「一度は来たかった」と、遠方からの参加者も少なくありません。
東京都多摩市の男性(22)は友人に誘われて初めて参加しました。「同世代がデモをしてる姿に刺激を受けて国会前に来た」といいます。「今の政治は原発再稼働ありきで許せない」と話しました。
「ここに来たのは3回目です」。51歳の女性は群馬県吾妻郡から参加しました。「福島の事故までは、原発は安全だと信じていました。国民にうそをつく政治を、参院選挙で変えていきたい」と語りました。
日本共産党の宮本徹衆院議員がスピーチし、大津地裁が高浜原発の再稼働を認めなかったことを紹介。「原発ゼロへ向けてこれからも一緒に頑張りましょう」と訴えました。
この日は800人(主催者発表)が参加しました。
大津地裁 高浜再稼働認めず
命守る決定 再び
支援者ら安堵「うれしくて涙」
「うれしくて涙が出た」―。「原発止めて」と孫の似顔絵の横に書いたボードを大津地裁に向けた女性(72)は語りました。高浜原発3、4号機の運 転差し止め仮処分決定の執行停止を求めた関西電力の申し立てを同地裁が却下した17日、支援者らに安堵(あんど)と喜びが広がりました。
女性(62)=彦根市=は「司法の独立を貫いてくれて感動しています。エネルギー政策転換の一歩になってほしい」、男性(73)=大津市=は「国 民の生命を選んでくれた。勇気づけられました」、自営業の女性(42)は「稼働している原発を止めた仮処分決定のあと、圧力もあったと思います。まともな 判決にほっとしました」と語りました。
記者会見で井戸謙一弁護団長は「福島第1原発事故の原因究明が完遂していない状況では新規制基準に適合しても安全性が確保されたとみるべきでない、と改めて確認された。市民感覚に沿った価値ある決定です」と語りました。
福井原発訴訟(滋賀)の辻義則原告団長は「命、暮らし、琵琶湖を守りたい、との県民の願いにこたえる決定を再び勝ち取ることができました。異議審・本訴でも『再稼働まかりならぬ』の決定・判決を勝ち取るため頑張ります」と語りました。
解説
度重なる判断 関電は受け止めよ
関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)について、大津地裁(山本善彦裁判長)は今年3月、「過酷事故対策などで危惧すべき点があり、津波対 策や避難計画にも疑問が残るのに、関電は主張を尽くしていない」として、運転中の原発では初めての運転停止を命じる仮処分の決定を出しました。
同じ山本善彦裁判長が今回、この仮処分決定の執行停止を求めた関電の申し立てを退ける決定を出しました。決定は、仮処分を命じた内容と重なります。
関電側が立証を尽くさなければ「安全性に欠ける点が推認されるといえる」と指摘し、関電側の主張では「仮処分決定の取り消しの原因とはならない」としています。
また、具体的現実的危険性はないとする関電側に対し決定は、東京電力福島第1原発事故の原因に関する資料は不足し、「現状では原因究明が完遂した と一応にしても認められない」として、原子力規制委員会の新規制基準にもとづいて許可を得ただけで「安全性が確保されたとみることができない」と判断。 「少なくとも原発の設計や運転の規制がどう強化され、それにどう応えたかの主張を尽くすべきだ」としています。
関電は、執行停止と同時に仮処分そのものの取り消しを求めて異議申し立てをしており、第1回審尋が5月に開かれ、即日終結しています。
いずれにしても関電は、司法の度重なる判断を重く受けとめ、再稼働を断念すべきです。
(「原発」取材班)