彦根は観光地である
しかし だからこの地を宿泊地に選んだというわけではまったくなかった
旅の行程からして手ごろな位置であったのと 手ごろな宿泊代のビジネスホテルがそこにあったから
それだけのことだった
経済が許せば 琵琶湖ビューが売り物のホテルにだって泊まりたかった
なんて言ったら 半分はウソになるだろう
本当にそれが望みであれば 人生で一回かもしれない事に わずか数千円を惜しむほどの経済でもケチでもない
それは 今の私にはさほど価値があるとは思えないというだけのことなのだ
彦根を拠点と決めてから ここに何があるのかを調べ始めた
そんな具合だった
夢京橋キャッスルロードと四番町スクエアが 城と並ぶ代表的観光名所
古い町並みと景観を生かした場所ではあるが 私にはさほど面白い場所ではなかった
幾分擦れてきたのかもしれない
むしろ 少し離れた商店街や細い路地が走る袋町と呼ばれる歓楽街のほうが 味のある建物が多かった
それにしても この時期にしか長期休暇が無いのだから仕方が無いが やはりこの暑さには参る
本来なら もっと気候の良い時期に徘徊をしたいものだと思う
写真を撮るのでさえ 水分補給をしつつ 汗をふきふきでは億劫になってしまう
歩きながら 時折 これは修行だなと思いつつ それでも面白いものを見ると何もかも忘れてしまう
そのくり返しだった
彦根駅に戻ったところで昼下がりの遅い昼食をとった
数時間後 私は家に帰っているだろう
それはそれで とても嬉しいことだ
旅の間 私は毎日自宅に電話を入れていた
少なくとも 火事にはなっていないだろうと それを確認するためだった
外出した時は 必ず路地を曲がった途端に見える我が家を確認して 安心する
それは 日常 仕事に出ている時もだ
一人になってからの 自分でもほとんど無意識の反応
私が無事に家に帰ること 家もまた無事であること これをもって旅は完結するのだ
会社へのお菓子のお土産以外には 何も買わなかった
美味しい食事にもありつけなかった
相変わらず暑かったし 数時間だが雨にも降られた
温泉も無ければ 琵琶湖めぐりの遊覧船も無かった
思った通りの バカンスとはかけ離れた旅だった
それでも あの広い青い空 清流 湖上を流れる風 そしてセミのおしっこ
多くの人との会話や 過去の人のあり様を知ったことも 皆々深く心に沁みることばかりだった
帰りの新幹線の中 私は反芻しながら帰った
そして 私のこの夏の旅は完結した
お世話になった方々には 陰ながらお礼を言う
私の旅に彩を添えてくれたのは 風景でも建物でもなく 人だった と私は思っているから
しかし だからこの地を宿泊地に選んだというわけではまったくなかった
旅の行程からして手ごろな位置であったのと 手ごろな宿泊代のビジネスホテルがそこにあったから
それだけのことだった
経済が許せば 琵琶湖ビューが売り物のホテルにだって泊まりたかった
なんて言ったら 半分はウソになるだろう
本当にそれが望みであれば 人生で一回かもしれない事に わずか数千円を惜しむほどの経済でもケチでもない
それは 今の私にはさほど価値があるとは思えないというだけのことなのだ
彦根を拠点と決めてから ここに何があるのかを調べ始めた
そんな具合だった
夢京橋キャッスルロードと四番町スクエアが 城と並ぶ代表的観光名所
古い町並みと景観を生かした場所ではあるが 私にはさほど面白い場所ではなかった
幾分擦れてきたのかもしれない
むしろ 少し離れた商店街や細い路地が走る袋町と呼ばれる歓楽街のほうが 味のある建物が多かった
それにしても この時期にしか長期休暇が無いのだから仕方が無いが やはりこの暑さには参る
本来なら もっと気候の良い時期に徘徊をしたいものだと思う
写真を撮るのでさえ 水分補給をしつつ 汗をふきふきでは億劫になってしまう
歩きながら 時折 これは修行だなと思いつつ それでも面白いものを見ると何もかも忘れてしまう
そのくり返しだった
彦根駅に戻ったところで昼下がりの遅い昼食をとった
数時間後 私は家に帰っているだろう
それはそれで とても嬉しいことだ
旅の間 私は毎日自宅に電話を入れていた
少なくとも 火事にはなっていないだろうと それを確認するためだった
外出した時は 必ず路地を曲がった途端に見える我が家を確認して 安心する
それは 日常 仕事に出ている時もだ
一人になってからの 自分でもほとんど無意識の反応
私が無事に家に帰ること 家もまた無事であること これをもって旅は完結するのだ
会社へのお菓子のお土産以外には 何も買わなかった
美味しい食事にもありつけなかった
相変わらず暑かったし 数時間だが雨にも降られた
温泉も無ければ 琵琶湖めぐりの遊覧船も無かった
思った通りの バカンスとはかけ離れた旅だった
それでも あの広い青い空 清流 湖上を流れる風 そしてセミのおしっこ
多くの人との会話や 過去の人のあり様を知ったことも 皆々深く心に沁みることばかりだった
帰りの新幹線の中 私は反芻しながら帰った
そして 私のこの夏の旅は完結した
お世話になった方々には 陰ながらお礼を言う
私の旅に彩を添えてくれたのは 風景でも建物でもなく 人だった と私は思っているから