みどりの一期一会

当事者の経験と情報を伝えあい、あらたなコミュニケーションツールとしての可能性を模索したい。

わたしのことは、わたしが決める/「日本女性学会による、柳澤大臣発言に関する意見書」

2007-02-05 11:46:22 | ジェンダー/上野千鶴子
せんじつ、「モレラ岐阜」で買ってきたのは、
「豆富屋さんのチーズケーキ」だけでなく、
輸入食品専門店「ジュピター」のチョコレート。



バレンタインのチョコを買おうと思ったんだけど、
ちょっと早いので板チョコとトリュフチョコにした。
  

朝のコーヒーといっしょに、まずはトリュフを味見。


口当たりがなめらかで、甘くて苦いチョコの味。
おいしーい。うーん、満足。

と、一息ついて、今日のブログに取りかかる。

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ここからは、柳沢大臣発言と、選挙の結果のつづき。

「柳沢大臣の辞任を求める署名」は6日まで続いていますので、
ここで一気に辞任に追い込むために、ぜひあなたもご協力を!

柳澤大臣の発言の撤回と辞任を要求します(署名フォーム)

申し入れ書や抗議文が載っている「againstGFB」 

わたしたちの申し入れについて、信濃毎日新聞に記事が載っていたと
友人からFAXが届きました。

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地方議員48人ら厚労相辞任要求

柳沢伯夫厚生労働相が女性を「産む機会」に例えた問題で、愛知、長野など16都府県の地方議員48人らが2日、厚労相の辞任と首相による罷免を求める申し入れ書を、厚労省と首相官邸にファックスで送った。
 厚労相発言について「子どもを産んだ人、安心して産み育てたいと願う人、産みたくても産むことができない人、産まないことを選択した人、すべての女性に対する暴言で、同時に、生まれてくる子どもに対しての侮辱だ」と批判している。
 無党派の市議や町議らが中心で、愛知県日進市の後藤尚子市議らが呼び掛け、女性を議会に送るグループなど19団体と市民205人も名を連ねた。長野県内からは、小林純子・安曇野市議ら市町村儀5人と県民10人が名を連ねた。
(2007.2.3 信濃毎日新聞)
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以下に、日本女性学会第14期幹事会および会員有志
の「日本女性学会による、柳澤大臣発言に関する意見書」を紹介します。

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        日本女性学会による、柳澤大臣発言に関する意見書

                            2007年2月2日
               日本女性学会第14期幹事会および会員有志

柳沢伯夫厚生労働大臣が2007年1月27日、松江市で開かれた集会で、女性を子どもを産む機械に例え、「一人頭で頑張ってもらうしかない」と発言をしていたことが明らかになりました。

 これは、子育て支援を司る行政の長としてまことに不適切であり、即刻辞任されるよう強く求めます。

 大臣の発言には、以下のような問題があると、私たちは考えます。
 第一に、人間をモノにたとえることは、人権感覚の欠如と言えます。

 第二に、女性を産む機械(産む道具)としてみることは、女性蔑視・女性差別の発想だと言えます。また、この観点は、優生学的見地に容易につながる危険性をもっているという意味でも問題です。

 第三に、女性(人)が子どもを産むように、国(国家権力、政治家)が求めてもよいというのは、誤った認識です。産む・産まないの決定は、個々の女性(当事者各人)の権利であるという認識(リプロダクティブ・ヘルス・ライツ理解)が欠如しています。リプロダクティブ・ヘルス・ライツの考え方は、カップル及び個人が子どもを産むか産まないか、産むならいつ、何人産むかなどを自分で決めることができること、そのための情報と手段を得ることができること、強制や暴力を受けることなく、生殖に関する決定を行えること、安全な妊娠と出産ができること、健康の面から中絶への依存を減らすと同時に、望まない妊娠をした女性には、信頼できる情報と思いやりのあるカウンセリングを保障し、安全な中絶を受ける権利を保障すること、などを含んでいます。

 第四に、子どもを多く産む女性(カップル)には価値がある(よいことだ)、産まない女性の価値は低いという、人の生き方に優劣をつけるのは、間違った考え方です。産みたくない人、産みたくても産めない人、不妊治療で苦しんでいる人、産み終わって今後産まない人、子どもをもっていない男性、トランスジェンダーや同性愛者など性的マイノリティの人々など、多様な人々がいます。どの生き方も、平等に尊重されるべきですが、柳澤発言は、子どもを多く産む女性(カップル)以外を、心理的に追い詰め、差別する結果をもたらします。

 第五に、少子化対策を、労働環境や社会保障の制度改善として総合的に捉えず、女性の責任の問題(女性各人の結婚の有無や出産数の問題)と捉えることは、誤った認識です。子どもを育てることは、社会全体の責任にかかわることであって、私的・個別的な家族の責任としてだけ捉えてはなりません。

 第六に、「産む(産まれる)」という「生命に関する問題」を、経済や制度維持のための問題(数の問題)に置き換えることは、生命の尊厳に対する危険な発想といえます。もちろん、出産を経済、数の問題としてとらえることが、社会政策を考える上で必要になる場合はありえます。しかし、社会政策はあくまで人権擁護の上のものでなくてはならず、生命の尊厳への繊細な感性を忘れて、出産を国家や経済や社会保障制度維持のための従属的なものとみなすことは、本末転倒した、人権侵害的な、かつ生命に対する傲慢な姿勢です。

 以上六点すべてに関わることですが、戦前の「産めよ、増やせよ」の政策が「国家のために兵士となり死んでいく男/それを支える女」を求め、産児調節を危険思想としたことからも、私たちは個人の権利である生殖に国家が介入することに大きな危惧の念を抱いています。

 柳澤大臣に発言にみられる考え方は、安倍首相の「子どもは国の宝」「日本の未来を背負う子ども」「家族・結婚のすばらしさ」などの言葉とも呼応するものであり、現政権の国民に対する見方を端的に表しているものと言えます。2001年の石原慎太郎「ババア」発言、2002年の森喜朗「子どもをたくさん生んだ女性は将来、国がご苦労様といって、たくさん年金をもらうのが本来の福祉のありかただ。・・・子どもを生まない女性は、好きなことをして人生を謳歌しているのだから、年をとって税金で面倒をみてもらうのはおかしい」発言も同じ視点でした。産めない女性に価値はないとしているのです。少子化対策が、国のための子どもを産ませる政策となる懸念を強く抱かざるを得ません。
 
 小泉政権に引き続いて、現安倍政権も、長時間労働や格差、非正規雇用差別を根本的に改善しようとせず(パート法改正案はまったくの骨抜きになっている)、障害者自立支援法や母子家庭への児童扶養手当減額、生活保護の母子加算3年後の廃止などによる、障がい者や母子家庭いじめをすすめ、格差はあっていいと強弁し、経済成長重視の新自由主義的優勝劣敗政策をとり続けています。ここを見直さずに、女性に子どもを産めと言うことこそ問題なのです。したがって、今回の発言は、厚生労働省の政策そのものの問題を端的に示していると捉えることができます。

 以上を踏まえるならば、安倍首相が、柳澤大臣を辞職させず擁護することは、少子化対策の改善への消極性を維持するということに他ならず、また世界の女性の人権運動の流れに逆行することに他なりません。以上の理由により、柳沢伯夫厚生労働大臣の速やかな辞職と、少子化対策の抜本的変更を強く求めるものです。
                                   以上
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この柳沢伯夫厚生労働大臣の問題発言の愛知県知事選挙への影響について、
中日新聞が、こんな解説を載せています。

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【解説】柳沢発言、接戦招く

 4日投開票された愛知県知事選を揺さぶった「(女性は)産む機械」とする柳沢厚労相の発言。現職が有利に進めた選挙戦の最終盤で飛び出した失言で戦いは一気に緊迫した。
 無党派層は新人の石田芳弘氏支持に大きく動き、投票率を28年ぶりに50%以上に押し上げた。だが、大半の女性が「発言」に嫌悪感を示したものの、自民党が推薦する現職の神田真秋氏に決定的な逆風とはならず、石田氏を振り切った。
 「自民閣僚の失言と知事選は別物」と考える多くの有権者が、「今を越える」として着実な愛知の総合力アップを訴えた、誠実な神田氏を支持したことが現職の最大勝因となった。
 32年ぶりに政党相乗りが崩れた愛知県知事選は、参院選に向けた中央の与野党対決の”前哨戦”とも言われた。確かにこの知事選の結果は民主党に打撃となり、統一地方選や参院選に少なからず影響を与える。
 だが、失言が勝敗の決定的要因にならなかったのは、「愛知の未来は自分たちで選択する」と考える有権者が、知事選と中央の”前哨戦”などではなく、県民に最も大切な地方選挙だと認識し、政策や人柄を総合判断して一票を投じた結果だ。
 「堅実な県民性を愛する」と言い切った神田氏。「政治はドラマ」と熱く語り、初対面の人の心もわしづかみにする石田氏。庶民の目線を忘れない阿部精六氏。32年ぶりの激戦だけに、魅力的な候補者が揃った。
 
それだげに、投票率は相乗りの前回を13.2ポイント上回る52.11%に達し、愛知は燃えた。「民主主義」の主人公である「民」の一票で政治は劇的に変わりうる。白熱した選挙は、その理を雄弁に物語る歴史的な戦いとなった。
(社会部愛知県政キャップ・加藤直人)
(2007.2.4中日新聞)
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柳沢発言女性怒った
(2007.2.4東京新聞)

愛知知事選 有権者の心刺激
 女性蔑視(べっし)に対する痛烈な批判が愛知県知事選に如実に現れた。与党が推す現職候補の優位は実績の重みから直前まで動かなかった。選挙戦後半で飛び出した柳沢伯夫厚生労働相による「産む機械」発言が“怒りの風”を巻き起こし、厚労相をかばう安倍内閣の是非をも問う戦いに一変。民主党などが推薦する候補をあと一歩まで押し上げた。政権政党への不信と失望が表れたとの見方は強い。北九州市長選では与党側があっさり野党側に敗北した。柳沢氏はなお「職責を全うする」としている。 

 「愛知県知事選の接戦は柳沢発言の影響が絶対あると思う。自民を倒すだけの力にならなかったけど、女たちは怒ったんです」。子育て中の働く女性や出産を望む女性約四千五百人でつくるインターネットサイト「ムギ畑」を主宰する勝間和代さんはこう強調した。

 サイトには柳沢氏の失言が報じられた直後から「少子化問題が女性だけに責任があると批判されたように聞こえた、などと反発の声が飛び交い、『産む機械』という表現の問題性は当然としても、むしろ少子化対策に励むといいながら、適任ではない柳沢氏をかばった任命権者の安倍晋三首相への不信と失望の声が多かった」と話す。

 女性政策研究家で東海大北欧学科講師の三井マリ子さんも「中高年以上の男性も『産む機械』発言から『産めよ増やせよ、国のため』といった戦前の風潮を感じ取り、現政権への不信感を強める人が多い」と話す。

 川上和久・明治学院大教授(政治心理学)も「柳沢発言は女性だけでなく、有権者に広がる政治不信を刺激した」と指摘。「地方では談合が相次いだし、直前には宮崎県知事選でそのまんま東(東国原英夫)さんが当選した。愛知でも『変えなきゃ』というムードが広がる可能性は十分にあった。柳沢発言は政権政党に対する不満を一気に押し上げ、政治不信を強める触媒になった」とみる。

 一方、ジャーナリストの桜井よし子さんは「柳沢発言はばかばかしいし、有権者の感情に火をつけるということは十分に認める」と断った上で、「(北九州市長選の)北橋健治氏の当選は想定範囲。柳沢発言が選挙結果を大きく揺さぶったのかどうかはそう簡単にはいえない。投票率が上がると民主党が強いといわれながら、愛知県知事選で(与党系の)神田真秋氏が勝った。いずれにせよ、一勝一敗が想定の範囲だとすれば、民主党の小沢一郎代表も安倍首相も相手を圧倒するまでに至らなかった」と分析した。
(2007.2.4東京新聞)
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コメント (6)
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