1月17日付で、わたしたちが提出した
「ジェンダー図書排除の経緯に関する公開質問状」に対して、
2月10日、福井県知事より回答(2月9日付、男女第21号)が届きました。
「ジェンダー図書排除の経緯に関する公開質問状に対する回答」(2/10)
昨日、この回答に対するコメントを代表の上野千鶴子さんが公表。
県の回答は、近藤氏がブログで明らかにした事実関係を裏付けたもので、
県は回答書のなかで公式に「議員が関与していた」ということを認めています。
コメントでは同時に、11月に2日に「非公開処分(不存在)」を受けた、
「福井県男女共同参画審議会の会議の音声記録(電磁的データ)」について、
2月17日、福井地方裁判所に「情報非公開処分取消訴訟」の提訴も公表。
この音声記録(電磁的データ)は、昨年11月9日に13人で情報公開請求、
1月20日に「非公開決定(不存在)」処分を受けたものです。
以下に、福井県知事回答に対する上野千鶴子さんのコメント、
および、2月17日の提訴に至る経緯、記者会見日程を紹介します。
2007年2月13日
ジェンダー図書排除の経緯に関する公開質問状に対する福井県知事回答に対する
コメントおよび「情報非公開処分取消訴訟」の提起について
福井「ジェンダー図書排除」究明原告団および有志
代表・上野千鶴子
1.「ジェンダー図書排除の経緯に関する公開質問状に対する回答」に対するコメント
2007年1月17日付で、わたしたちが提出した「ジェンダー図書排除の経緯に関する公開質問状」に対して、2月10日、福井県知事より回答書(2月9日付、男女第21号)が届いた。
福井県の回答は、近藤氏がブログで明らかにした事実関係を正式に裏付けたものだ。
1)近藤氏と「ある議員」とのあいだに連携があった事実
2)「本庁担当課長」宇野氏が「ある議員」と接触した事実
3)図書の「移動」は、「本庁担当課長」宇野氏の指示によって行われた事実
さらにそれに加えて、こちらの要求しない事実関係まで明らかにした。
4)「本庁担当課長」宇野氏が、図書の「移動」を「ある議員」に報告した事実
NHK/ETV特集政治家介入事件をめぐる訴訟でも明らかになったとおり、 これだけの事実では「介入があったと判断するに十分ではない」が、なかったことを証明するにも十分ではない。
事実関係から見て、「本庁担当課長」宇野氏の「ある議員」に対する対応は、NHK裁判同様、「ある議員」の意思の「忖度」にもとづく「自主規制」と疑われてもしかたのないものであり、行政の中立性を守るべき公務員としていちじるしく不適切な行動であると断ぜざるをえない。
このように明確な指示を与えたわけではないが、相手に自分の意思にしたがう行動をとらせる力のことを、通常「影響力」と呼ぶ。「ある議員」は、NHK裁判における政治家、安倍晋三氏と同様、「影響力」を行使した事実は否定できない。議会での公務を離れて、直接公務員に接触し、自分の意向を伝えるというかたちの「影響力の行使」は、 「口利き」と同じと見なされる。したがって「ある議員」の行動も、いちじるしく不適切な行動であり、この「議員」の姓名を明らかにし、責任を問うべきである。
2.「情報非公開処分取消訴訟」の提起について
2006年11月9日、情報公開請求した「福井県男女共同参画審議会の会議の記録(電磁的データ)」について、11月20日、「公文書非公開決定(不存在)」処分を受けた。(非公開処分の取消しを求めて、11月21日、福井県知事に「異議申立」。2007年1月18日、「異議申立」は福井県公文書公開審査会に諮問された)。
音声記録(電磁的データ)不存在の決定でも福井県の隠蔽体質が出た。一連の出来事(撤去本リストをいったん非公開とし、後になってその決定を覆したこと)に「反省」の意を示したにもかかわらず、県はその経験から学んでいないようである。
この件(電磁的データの不存在を争う)はささいなことがらに見えるかもしれないが、徹底した情報公開へ向けて、福井県の決定が他の自治体の悪しき前例とならないようにするため、異議を申し立て、裁判で争いたい。
以 上
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2006年
3月下旬、ジェンダー関連図書153冊が「福井県生活学習館」の書架から撤去。
5月 2日「事件に関するすべての文書」を福井県に情報公開請求した。
5月11日、福井県に対して「住民監査請求」と「抗議文」(2団体44名)を提出。
5月16日、153冊のジェンダー関連図書は書架に戻る。
5月18日、福井県から「抗議文に対する回答書」。
6月12日、書籍リストは「非公開」。関連文書は「一部公開」および「不存在」。
直後に処分変更し、書籍リストの「非公開」が「一部公開」に
関連文書は、「不存在」の取消なしで10枚が「一部公開」に。
6月26日、原告ら「書籍リスト」のみを情報公開請求。
7月 7日、書籍リストの「一部公開」処分(黒塗りで公開)決定。
7月27日、書籍リストの「情報非公開処分取消訴訟」提起を公表。
8月11日、福井県は突然、書籍リストを「一部公開」処分変更、「全面公開」処分に。
福井県に対して「抗議文」と「公開質問状」提出。
8月25日、公開質問状に対する「福井県知事」回答。
37冊の書籍リストと図書選定基準が任意公開される。
8月26日、「ジェンダー図書排除を問う抗議集会」開催。
8月29日、「福井県男女共同推進条例」第20条第2項に基づく
「苦情申出」書を原告ら80名(42人は福井県民)で提出。
10月30日、「男女共同参画審議会の公開を求める申し入れ書」(92名1団体)提出。
11月 1日、福井県から「審議会公開」の回答書。
11月 2日、「苦情申出」を議題とする「福井県男女共同参画審議会」開催。
11月 6日、審議会の会議の記録(電磁的データ)」情報公開請求。
11月 9日、「苦情申出」に対する福井県の回答書。
11月20日、被告は、音声記録の「公文書非公開(不存在)決定」をした。
11月21日、「音声記録」非公開に対する「異議申し立て」。
「『ジェンダー図書排除』苦情申出への福井県知事回答に対する声明」公表。
2007年
1月17日、福井県知事に「ジェンダー図書排除の経緯に関する公開質問状」提出。
1月18日、「異議申立」が「福井県公文書公開審査会」に諮問される。
1月23日、「福井県公文書公開審査会」から「意見書について(県の理由書)」届く。
2月 9日、公開質問状に対する知事回答。
2月13日、知事回答に対するコメントおよび提訴の公表。
2月17日、「情報非公開処分取消訴訟」提訴予定。
【情報公開請求日】
2006年11月6日(請求人13名。請求代表者・寺町みどり)
【情報公開請求に係る公文書の名称または内容】
●「2006年11月2日開催の福井県男女共同参画審議会の
会議の記録(電磁的データ・テープなど)」
●公文書非公開決定通知書(2006年11月20日)
(公開しない理由)不存在
◎訴訟は、福井県知事が「非公開」(不存在)という処分を決定したので、
これを全面公開するよう、裁判所に前記公文書非公開(不存在)決定
「男女県第313号」(別紙-1)の取消命令をするよう求めるものです。
【提訴予定日】
2月17日(土)午後 福井地方裁判所に
「情報非公開処分取消訴訟」提訴。
原告13名(原告代表・上野千鶴子)
選定当事者・寺町知正
提訴後、「記者会見」を設定(福井県民会館)
経過説明 寺町みどり
訴訟の意義 上野千鶴子
訴訟の内容説明 寺町知正
質疑応答
事前に事務局・寺町みどりまで、メール(midori@kenmin.net)、
またはお電話(0581-22-4989)でご連絡ください。
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「情報非公開処分取消訴訟」のカンパは、
郵便振替 00880-5-35806
「市民派議員アクションフォーラム」へ
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会議音声記録 公開を
蔵書撤去問題 提訴へ
県生活学習館で2006年3月に上野千鶴子・東大教授らの著書など役150冊の蔵書が撤去された問題で、同11月に開かれた県男女共同参画審議会の会議の音声記録を県が非公開としたのはおかいしいとして、上野教授らは13日、知事を相手取り、非公開決定を取り消すよう17日にも福井地裁に提訴する考えをあきらかにした。
上野教授らは「県は情報公開条例の解釈・適用を誤っている」と主張。「徹底した情報公開に向け、裁判で争いたい」としている。
上野教授らの公開請求に対し県は昨年11月20日付で、音声記録の不存在を理由に非公開を決定。上野教授らはよく21日に異議申し立てをした。対象の審議会は一般に公開され、席上で県側は「疑念を招いたことは不適切で反省している」と述べ、議事録は県のホームページでも閲覧できる。県は「音声記録は議事録作成のための補助的なもので、公文書として管理していない」と説明している。
(2007.2.14 日刊県民福井)
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県生活学習館図書撤去問題
議事の録音非公開
公開を求め提訴へ 市民団体
県生活学習館(福井市)がジェンダーや性教育に関する図書150冊を書架から一時撤去した問題を議論した県の審議会で、県が議事録作成に録音したテープを市民団体に非公開としたことについて、市民団体は13日、県を相手取って非公開処分を取り消すように求める訴訟を17日に福井地裁へ起こす、と発表した。
提訴するのは、一時撤去された図書の著者である上野千鶴子・東大大学院教授が代表を務める「福井『ジェンダー図排除』究明原告団および有志」。
同会によると、昨年11月にあった男女共同参画審議会で、県の担当者が録音したテープを同会が県情報公開条例に基づいて公開請求したところ、非公開(不存在)決定となった。
田島和子県男女参画・県民活動課長は朝日新聞の取材に対し、録音テープの存在を認めた上で、「担当者があくまで議事録を作成するため補助的に記録したもので、公開すべき文書に当たらない」としている。
同会は「県は撤去した図書のリストをいったんは非公開とし、その後公開して反省の意を示したにもかかわらず、この経験から学んでいないようだ。あしき前例にならないためにも裁判で争う」としている。
(2007.2.14 朝日新聞)
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