熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

最高裁判決

2008-06-04 21:25:28 | Weblog
結婚していない日本人の父とフィリピン人の母から生まれた子ども10人が、日本国籍の確認を国に求めた訴訟で、最高裁大法廷は4日、10人全員に日本国籍を認めました。

国籍法の2条1項によれば、父母が結婚していない「婚外子」でも、生まれる前の段階で父の認知があれば、子どもは国籍を取得することができます。
しかし、国籍法3条1項は、生まれた後に認知された場合には、父母が結婚していなければ国籍を得られないと定めており、この条文の合憲性が争点となったわけです。

出生後に父から認知されても、両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない現在の国籍法は、憲法14条の「法の下の平等」に反すると判断したものです。
結婚しているかによる区別が違憲とされたのは初めてで、法務省は国籍法の改正を迫られることになります。

最高裁が法律を違憲と判断した判決は、海外に住む日本人に選挙権を認めない公職選挙法を違憲とした05年以来で、戦後8件目になります。

この数を多いと見るか少ないとみるかは、人により異なるでしょうが、私は少ないと思います。

司法試験基礎講座の「憲法」で、「憲法判断回避の原則」があることを学びました。

「憲法判断回避の原則」とは、法律解釈によって当該事件を解決することができる場合に、裁判所が憲法判断を回避して当該事件を解決する手法です。

具体的(付随的)審査制度の下では、憲法判断をせずに事件を処理できる場合には、憲法判断を回避すべきである、権力分立の観点から裁判所は立法権の判断を尊重し介入を差し控えるべきである、等がその理由だそうです。

「憲法判断回避の原則」も理解できますが、裁判所はもっと憲法判断に踏み込むべきだと思います。

当該事件を解決することを優先すると、本来、憲法違反である法律が改正されないことになり、不利益を被る者が多く出て、問題となるからです。

裁判所には、もう少し憲法判断をしてもらい、憲法違反の法律の改正を後押ししてもらいたいと思います。

現在の国籍法が、憲法14条の「法の下の平等」に反すると判断した最高裁の画期的判決が、国民の裁判所への信頼回復につながれば、と思っています。



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