熟年新米弁理士のひとり言

平成18年に59歳で弁理士試験に合格した企業内弁理士です。弁理士試験、企業での知的財産業務について、気軽にお話します。

イノベーション

2010-03-20 13:23:11 | Weblog
伊丹敬之さんの著書「イノベーションを興す」を読みました。

最近、イノベーションという言葉を本や講演会で良く聞きますが、人によって様々な捉え方をしており、特に、イノベーションと知財戦略との関係については、首を傾げたくなるような考え方が多くあります。

この本は、著者のイノベーションに対する考え方が明確に表現されており、私の考え方とほとんど同じなので、興味を持って読むことができました。

イノベーションとは、「技術革新の結果として新しい製品やサービスを作り出すことによって人間の社会生活を大きく革新することである」と定義して、具体論を展開しています。
現在の社会では、イノベーションが求められていますが、イノベーションが起こっているのではないということです。
このことを認識したうえで、イノベーションと知財戦略を考えることが必要です。

イノベーションの3段階プロセスとして、
①筋のいい技術を育てる
②市場への出口を作る
③社会を動かす
があります。

このプロセスから考えても、大勢の異なる人々が参画することが必須要件であるといえます。

イノベーションと知財戦略との関わり合いを考えるときに、どの段階での関わりかを明らかにすることが重要です。
全てのプロセスを一人で行うようなことを述べている方がかなりいらっしゃいますが、これはイノベーションの意義を誤って捉えられているのでしょうね。

その他に、アメリカ型イノベーションの幻想として、オープンイノベーションへの憧れがあるとも指摘しており、傾聴に値するご意見です。

オープンイノベーションが声高に叫ばれている状況で、その警告ともとれる見解の意味を考えてみることも必要なのではないでしょうか。

「赤信号皆で渡れば怖くない」という状況に対する不安感を持っているのは、著者と私だけでしょうか。




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