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常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

食堂かたつむり

2012年06月07日 | 読書


曇り。予報は晴れだが、雲が多い。
散歩の途中でブック・オフに、ぶらりとよってみることが多くなった。先ず、105円の棚を見る。この棚には、時々掘り出し物を見つけることが多いからだ。

きのう、105円の棚から選んだ3冊。小川糸「食堂かたつむり」、瀬戸内寂聴「場所」、かむろたけし「十円玉空」。いずれも、古本とは思えない美本で、これが315円で手に入るとは思いもよらないことだ。もっとも、自分の本を持ち込んでも、大半が値がつかず、ダンボールいっぱいが500円というのもざらだから、それほど喜ぶこともないのかも。

かむろたけしは「山形文学」の同人で、ながく同人誌の発行人を務めた。「ひさし伝」の笹沢信は、この人の後をついで発行人になった。本名は菅原武、私の娘たちが通った滝山小学校で教頭先生を務めていた。「十円玉の空」には昭和32年から平成元年までに書いた7編の短編小説が収められている。

小川糸「食堂かたつむり」もずっと気になっていた小説だ。自分はグルメなどではもちろんないが、食に関する本が好きだ。村井弦斉の「食道楽」、檀一雄「壇流クッキング」、池波正太郎「食卓の情景」、丸谷才一「食通知ったかぶり」、丸元淑生の料理本などをずっと愛読してきた。

小川糸の小説に興味を持ったのも、そんな食の本の系列にいれて読んでみたいと、思っていたからだ。だが、関心を持った本を新刊で買うのは、よほどの決心がないと買えない。すぐに、図書館に入るだろうし、文庫になるかも知れない。そんな考えが頭に浮かぶと、本屋で手にとってもつい買わずに帰ることが多い。

ぶっく・オフの105円棚でこれを見つけたので迷わずに買った。散歩から帰っていっきに読み進める。著者にには申し訳ないが、なんだか漫画の「美味しんぼ」の話を連想する。だが、憎んでいたはずの、「おかん」(母)の知らない姿を知り、癌で余命のないのを知り、その人生の最後の晴れ舞台で買い豚のエルメスをして解体し、最高の豚料理に仕上げていくくだりでは、思わず涙が流れた。

恥ずかしい話だが、映画を見ても、小説を読んでも少し感動的な場面になると涙腺がゆるんで涙が出る。これも加齢のなせるわざなのか。同時に老眼が進んで、小さな字が読みづらい。そういえば、まわりで白内障の手術をする人の話がよく耳にするこのごろだ。
コメント
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