常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ストレプトカーパス・サクソルム

2012年06月14日 | 日記


梅雨に入って、紫の花が咲き始める。ひときわ輝きを見せるのは、紫陽花である。
紫陽花が日本古来の種であることは、この花が万葉集で詠まれていることからもわかる。それゆえ、寺院のある古都京都に似合う花である。

あぢさゐの 八重咲くごとく 八つ代にを
  いませ我が背子 見つつ偲はむ (巻20・4448)

京都府井出町地福寺境内には、橘諸兄夫妻の供養塔があり墓もある。歌は八重に咲く紫陽花の花のように、諸兄へ弥栄を寿ぐ歌である。

紫陽花の花は、飾り花で実を結ばない。花に見えるのはがくで、4、5枚ある。がくは咲きはじめは白く、やがて青になり、しだいの青紫に変化する。こんなことから「七変化」とも呼ばれる。



わが家のベランダには、紫陽花ならぬサクソルムの花(写真)が満開である。一つの花茎から、2,3輪の紫の可憐な花をつけ、こちらはしっかりと実を結ぶ。原産地は南アフリカはタンザニア、ケニア地方である。イワタバコ科で同じ科のセントポーリアは花を咲かせるのは、なかなか難しいが、サクソルムは比較的簡単だ。但し、鉢植えでは根が廻りすぎると、花が咲かなくなるので、植え替えなどしっかりとした管理が必要だ。

ストレプトカーパス・サクソルムは園芸種として、昭和初期にイギリスから輸入された。花言葉は主張。ストレプトカーパスとは牛の舌の意味だ。そういえば、花びらがどこか牛の舌に似ている。

紫陽花の咲く里へ出かけるまえに、ベランダのソクソルムの花で一時癒されていたい。


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散歩の途中で

2012年06月14日 | 日記


畑仕事が忙しくなって、散歩のパターンも変化し始めた。
乾燥した日が続くと、迷わずに自転車にまたがって畑へ行く。片道20分、畑の水遣りと除草などで1~2時間。伸びた野菜を収穫する。

次のパターンは千歳山。自転車で山の麓まで30分、山頂往復1時間、約2時間弱のパターンだ。3番目は、家を出て芸工大方面へ、街路を約1時間20分周遊する。
今日はこのパターンだ。街路樹にヤマボウシが植えられていることを知るのはこの季節だ。梢に大きな星型の白い花を一面につけるから、いやでも道行く人の目を引く。

街路樹の下を通って、小学生が三三、五五集団を作って登校する。余り話し声もせず、学校を目指して黙々と歩いている。すると、後方から前の集団を追いかけるグループが、声を立てて走ってくる。黙々と歩くグループと対照的に笑い声で話しながら駆けている。ふと、娘たちが小さい頃、家の前を列を作って登校していたころを思い出す。子どもたちが出て行ったあと、わが家に来て朝のお茶を飲むのが毎日の習慣であった。

芸工大の正面に一枚の看板があった。「異人たち」と題する看板は、6月30日まで7階ギャラリーで開かれている美術展のテーマであった。階段を下りると、また、一枚のポスターが目を引く。「生涯学習支援プログラム」と題する、地域の高齢者にむけた市民講座の案内であった。どんな内容だろうか。ふと興味が湧く。

一匹の犬を連れた初老の男性が、和綴じの本を片手に、なにやら声を出している。近くにいくと、ぴたりと声がやむ。しばらくたって、また男性の声が聞える。謡曲である。

花の雲路をしるべにて。花を雲路のしるべにて。吉野の奥を訪ねん。
これは都がたに住いをる者にて候。さてもわれ春になり候えば。ここかしこの花を
一見仕り候。

街路樹のの陰から公園に行く路で、謡の声が低く響く朝の光景は実にのんびりとして、きょうの一日をゆたかな時間にかえる魔法のような一瞬であった。
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