きょう、笹谷峠にシシウドを採りに行った。
シシウドはセリ科シシウド属の多年草で、山中の湿った谷沿いに分布する山菜である。別名アマニュウ。海岸の塩をかぶらない暖地に出る明日葉は同じ属の仲間である。山菜で人気の高いウドは、葉の形は似ているが、こちらはウコギ科で全く種類を異にしている。
私は山菜入門というブックレットで、シシウドについての知識を得て月山で採ったことがあった。当時、伊豆のアシタバが健康にいい野菜だということがテレビで紹介され、八百屋さんからアシタバがなくなるという現象が起きていた。きっと、このシシウドも食べられるに違いないと思って、茹でておひたしにして口に入れると、何とその灰汁の強いこと、口中がしびれるようではき出してしまった。
それから、しばらくして山中でシシウドを採っている人に出会った。葉を取り、つるんとした茎を一抱え大事そうに持っている。聞いてみると、大好きな山菜だという。「これは、さっと茹でて灰汁を抜くのよね。炒めに煮にするととても美味しいよ」
山菜の王様と言われるウドが見つけづらく、中々採りづらいところに出ているのに比べ、シシウドは山道から見えるところにいくらでも自生しているし、何しろこれを採る人はめったにいないので、誰に遠慮することもなく採り放題なのだ。笹谷は霧雨で気温は13℃と、肌寒く、ときおり強風が吹きぬけた。小一時間で、妻と二人で抱え切れないほどのシシウドが手に入った。
さっと茹でて、水を張って灰汁を抜いている状態のシシウドである。1~2日、灰汁が抜けて色の変わった水を半日おきに取りかえ、皮をむいてフキのようにナナメ切りにして炒め煮にする。コンニャク、サツマアゲなどを加えた煮物がより美味しい。
ネットの検索で調べると、生で味噌をつけて食べたり、古い根を干して風呂に入れて薬湯にするなど、シシウドは古くから用いられてきたことがわかる。