夕日に染まった雪景色。
雪の日は、日中でも薄暗い。晴れた朝は、朝日を受けて街が輝いて見える。昨日、雪が降ったと思うと、今日は好天である。しかし、明日はまた天気が崩れるとのことでまことに目まぐるしい。
神無月ふりみふらずみさだめなき時雨ぞ冬の初めなりける 詠み人知らず
「ふりみふらずみ」とは言いえて妙だ。今の言葉にすれば、降ったり止んだりと単純になるが、降ったかたと思えば止んで、止んだかと思えばまた降ってくる。昨日の雪もそうだが、この言葉のように降ったり、止んだりするのが冬の初めの雪である。
清少納言は『枕草子』で、雪を題材に、自らの漢詩の知識を吹聴している。
「雪のいと高かう降りたるを、例ならず御格子まいりて、炭櫃に火おこして、物語などして
集りさぶらふに「少納言よ、香爐峯の雪いかならん」と仰せらるれば、御格子あげさせ、御
簾を高くあげたれば、笑わせ給ふ。」
白居易の
遣愛寺の鐘は枕を欹てて聴き
香爐峯の雪は簾を撥げて看る
の対句を動作に表わしたのである。また同じ白居易の「冬の夜」の句も、宮中で口ずさまれた対句だ。深山の宿で傾ける盃の酒は、春のようだと詠んでいる。
一盞の寒燈は雲外の夜
数盃の温酎は雪中の春