秋の終わりは忙しい。天気の晴れ間に、植えてもらったヤーコンの収穫に尾花沢にいく。旱魃で成長もままならないかと心配したヤーコンであったが、掘り起こしてみると、去年と同等の収穫である。米袋に三つ、ずっしりと重いヤーコンを運び上げる。サラダ、漬物、キンピラと、ヤーコンの利用の範囲は広い。親戚でも、作ったヤーコンを食べた人のあいだに、おいしさの輪が広がっている様子である。
ヒラタネナシの柿を貰ってくる。焼酎で渋をぬいて漬け込む。雪までの季節の果物が、ありがたく確保できた。これから出てくるリンゴやラフランスも気になる。
尾花沢では米の収穫も終わり、そろそろ越冬準備に入っている。新米は農家が一年をかけて作った稲が、これから次の秋までの主食となるので最も大切なものである。そのため、秋には刈り上げ餅を親戚に振舞う習慣が根付いている。この時期に、一周忌、三周忌といった法事を繰り上げて営む家も多い。
新米の持ち味はみずみずしさと透明感である。研ぎ方もゴシゴシではなく、チャッチャという感じでかき回す。水は米の分量にたいして1対1か、1対0.8ぐらい、少なめにして炊く。それだけ新米に水分が多いので注意が必要だ。この秋、山形の「つや姫」は豊作で、食味もよくできたという情報である。一年の終わりは、おいしいお米のご飯で、日本人であることの
幸せを確認したい。
新米のまだ草に実の匂い哉 与謝 蕪村