秋は花ばかりではなく、実を観賞するもの楽しみのひとつにになっているようだ。ナナカマドの実が赤い実をつけている傍らで紫式部が方々の家の庭に植えられ、可憐な実をつけている。紫の色は古来から尊重されてきた。万葉集に紫式部ではないが、紫草を詠んだ有名な歌がある。
あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る 額田王
この紫野というのは、紫草を植えている畑で、人の立ち入りを禁ずる標を張った畑でもある。紫草の根が、染料として使われ、朝廷でも貴重な植物として特別に扱われていた。ものの本によると、紫草というのは、その色からきた名ではなかった。夏に白い花を咲かせる紫草は、花がむらがって咲く、叢咲きということであったらしい。この花の根を染料として、染まった色を紫としたという説明があった。
紫式部も源氏物語の作者として名高い名であるが、ムラサキシキミからきているらしい。シキミとは、実が連なって生ることである。何気なく覚える植物の名であるが、その由来をしると、興味深いものがある。