9月4日(日)、山形市民会館において日本詩吟学院の大山理事長を迎えて、「東北吟道山形大会」が開催された。この大会には、日本詩吟学院が認可する6県20団体の詩吟の会が参加し、1000名を越える吟友が一堂に会した。隔年開催となったので、久しぶりに顔を拝見する方も多く見られた。山形県の7団体が共演する構成吟「最上川紀行」は、山形を流れる最上川にまつわる詩が吟じられたが、聞いた方にはどのように響いたであろうか。
春風も沿ひて走らむこの朝 女川駅を始発車いでぬ 美智子皇后
宮城岳風会の石森徳岳さんが「石巻線全線開通」に際して、美智子妃が詠まれたこの和歌を吟じられた。あの東日本大震災によって寸断された、石巻線が全線開通したのは、昨年の3月のことである。東北の被災地に心を寄せられ、女川を訪れてきた両陛下の心が、この歌ににじみ出ている。この歌を、吟道大会に披露されたことは、復興途上の東北地方の人々心が、聞く者に響いてきた。今年の3月には、この歌が女川駅前に碑として建てられたことも報じられている。随分以前のことになるが、同じ東北吟道大会で岩手の方が、宮沢賢治の「雨にも負けず」を吟じられたことを記憶している。その時も、岩手ならでは吟として感銘を受けたが、今回の美智子妃の和歌はそれにまさる感銘を与えてくれた。